American Skin / 日本未公開 (2019) 1790本目
ブラック・ライヴズ・マターは語る『American Skin』
本作の主演であり監督でもあるネイト・パーカーは干された。なぜ彼が干されたのかは、本作には無関係のため書かない。本作はその後の作品(恐らくプレプロダクションはその前)である。今後、彼の作品数は減少どころか見れなくなる可能性の方が高い。そんなネイト・パーカーが今回挑んだのは、「ブラック・ライヴズ・マター」。
2017年7月の夜、元海兵隊で父リンク(ネイト・パーカー)と息子カジャーニ(トニー・エスピノーザ)と車で走行中に警官に呼び止められた。保険が切れていることで、警官の態度が豹変し、状況がエスカレートしていった。その末、カジャーニは亡くなった。1年後、リンクの元に映画学校に通う生徒たちが、ドキュメンタリーを撮りたいと訪ねてきた。裁判は公正に行われず、リンクは失望していたが、カメラを持った学生たちを連れて出かけると、学生たちは信じられない光景をカメラに収めることとなった...
最初の30分くらいは、「あ、普通のブラック・ライヴズ・マター映画かな」と思っていたら、急展開する今までにない感じの作品。モキュメンタリー調なのがリアリティさを際立たせる。とは言え、現実的なストーリーでは全くない。リアリティぽさがありながらも、物語はどことなくファンタジーだ。本作を見ながら、キング牧師が「黒人問題は、白人の問題」と言っていたことを思い出していた。本作のように幾らこちらが感情的になっても、罪を犯した白人が実直に語ることはないと思われる。そこにファンタジーさを感じた。それでも劇中語られた言葉は、恐らく彼らが思っていることであろうとは想像できた。彼ら(白人全員ではなく罪を犯した人たち)にはキング牧師の言葉が理解できない。
そして、素直に実直に語ったところで、この問題が解決するわけでもない。それでも、本作の語りは聞かれるべきではある。
(4点:1/26/21:1790本目)
www.blackmovie-jp.com