Big George Foreman / 日本未公開 (2023) 1853本目
Nothing ever came easy. Every day was a fight.
福顔ジョージ・フォアマン。モハメド・アリの「キンシャサの奇跡」の対戦相手としても知られるボクシングのヘビー級チャンピオン。その自伝映画なのだが、アメリカでは劇場公開されたが割りと小規模で公開されたため、配信まで待たされた。これは小規模上映が悔やまれる佳作。『Soul Food / ソウル・フード (1997)』や『The Hate U Give / ヘイト・ユー・ギブ (2018)』などのジョージ・ティルマン・ジュニア監督作品。
1950年代にテキサス州ヒューストンに母と兄弟で古い家に引っ越してきたジョージ・フォアマン一家。母の稼ぎだけだったので、食事にも苦労し、衣服もボロボロだった。その事でいじめられてもジョージは人一倍体が大きかったので、拳でやり返していたが、その分トラブルも多かった。成長したジョージ(クリス・デイヴィス)は、街中で強盗を繰り返し相変わらずトラブルになっていたが、偶然に観たジョブ・コープス(労働省による職業訓練)のCMで、入ることにする。そこには、”ドク”・ブローダス(フォレスト・ウィッテカー)がいた。彼は元ボクサーで、今はジョブ・コープスの教官だった。激高するジョージにボクシングを勧めるのだが...
キンシャサの奇跡とかは流石にリアルタイムではなく、ジョージ・フォアマンといえば、愛想よく売りまくるジョージ・フォアマン・グリルのCM、またはイベンダー・ホリフィールドとの対戦頃がリアルタイム。コロナ禍が始まってスポーツが中止になったりした頃にESPNが昔のスポーツ対戦を再放送していて、その時にもフォアマンvsホリフィールド戦が再放送していて、えらくカッコ良かったのを覚えている。何度も書いているが、キンシャサの奇跡辺りのフォアマンはカッコいい。だが今は愛想のいい笑顔が絶えない丸い福顔の印象。そんなカッコいいフォアマンと福顔のフォアマンを1人の俳優クリス・デイヴィスが演じている。これが素晴らしかった。10代後半(前半だけは別の役者)の反抗期から、ちょっと大人になりボクサーとして成功していく20代、そしてキリスト教に目覚めてすっかり丸くなる30・40代のフォアマン... どれも違和感がないし、ただ単に似ているとかではなく、「嗚呼、フォアマンだな」と思わせてくれた。演技がすこぶる上手いという感じではないのだけれど、そのふり幅に切れ目がないというか、その性格や環境の移ろいがとてもスムーズ。そして、ジョージ・ティルマン・ジュニア監督の演出も素晴らしい。何が素晴らしいかって、選曲。歌詞と物語が一体化していて見事。そして、2時間9分映画だが物語の進み具合もテンポも良くてあっという間に終わってしまう。キンシャサの奇跡、そして友人の裏切り... 色んなことから学んで更に強くなったフォアマンの姿に何より勇気づけられる。アリとの対戦から学んで昇華させたフォアマンには感化される。
貧しさゆえに笑われ、バカにされ... そんな人を救ったのが恨むことではなく才能。だけどその才能も、彼の勇気と努力がなかったから開花することはなかった。そして何よりも幾つになっても学び、挑戦することを恐れなかった人の物語。あの福顔は自らが作り上げた努力の証だ。
(4.75点/5点満点中)
Big George Foreman / 日本未公開 (2023)