You will find other kind That has been in search of you Many lives has brought you to Recognize, it's your life now in review
Earth, Wind & Fire "Fantasy"

オバマ前大統領が、就任後初の公式晩餐会「知事会晩餐会」にパフォーマンス演者として招いたアース・ウィンド&ファイアー(以下EWF)。1969年にオバマの御膝元シカゴで結成したEWFは、数々の名曲を送り出してきた。本作は、同じミュージシャンであるクエストラブが彼らの歴史や全貌を解き明かしていくドキュメンタリー。映画祭で公開された数日後には、HBOで全米放映された。
1941年、テネシー州メンフィスで生まれたモーリス・ホワイト。5歳の時、母は仕事を求めてモーリスを別の女性に託し、一人シカゴへ旅立ってしまう。11歳の時には、演奏経験のなかったドラムのオーディションに合格し、バンドメンバーに。高校卒業後、ようやく実母とシカゴで再会を果たすが、母はすでに新しい家庭を築いており、そこで異父弟となるフレッドやヴァーダインと出会うこととなる。その後、モーリスは音楽業界で頭角を現し、ラムゼイ・ルイスのバンドなどでプレイを重ねていく...
と、このようにモーリスの生い立ちから遡り、徐々にEWFのメンバーが集まっていく過程には胸がワクワクする。
どうでもいい話なのだが、不思議なことに私がこれまで恋をした人は、なぜか夫も含めて全員EWFが好きではない。あまりに謎だったので夫に理由を聞いてみると、「生まれた時代かな」と言っていた。なるほど、このドキュメンタリーを観て納得がいった。ちょうど夫の思春期頃に彼らは活動休止していたのだ。とはいえ、夫と歳が1つしか違わないものの、日本育ちの私はリアルタイムのトレンドに縛られなかったためEWFが大好きだ。特に「Fantasy」はいくらでも聴いていられる。ものすごく宇宙を感じる、まさにアフロフューチャリズムだ。歴代の好きになった人たちは皆『スタートレック』などが好きなアフロフューチャリスト寄りだったのに、なぜEWFが刺さらなかったのかはいまだに理解に苦しむ。
という余談はさておき、ヴァーダインやフィリップ・ベイリーなどがざっくばらんに、そして率直にインタビューに答えていて面白かった。モーリスの息子も制作に関わっているが、スキャンダルや失敗談までも包み隠さず描かれているのには驚かされた。ベイリーの「Reasons」が実はラブソングではないというエピソードには驚いたし、笑ってしまった。「Shining Star」の制作過程も、EWF結成の物語と同じくワクワクが止まらなかった。ベイリーとフィル・コリンズのコラボも納得だった。コリンズも好きなので、「Easy Lover」は鬼のように聞いたくらい好き。スティーヴィー・ワンダーの秘話も、同じミュージシャンのクエストラブだから引き出せた話だったように感じる。クエストラブの演出は、アフロフューチャリズムの雰囲気作りも上手かった。この時代(それよりちょっと前と後)のミュージシャンは、皆黒人コミュニティにとどまらずクロスオーバーできるアーティストを目指していたことがよく伝わってくる。この手のドキュメンタリーなどでいつも聞く。『Michael / マイケル (2026)』も然り。
唯一、唯一つ... 私的に残念だったのが、『Sweet Sweetback's Baadasssss Song / スウィート・スウィートバック (1971)』のエピソードがなかったこと。ジャケット写真こそスクリーンに映し出されたものの、メンバー本人たちの口から秘話を聞いてみたかった。
知っているようで知らない彼らの秘話、苦労、面白さ、音楽が沢山つまった美味しい所どりで盛りだくさんのベストアルバム並みの充実感ある一作。
(4.75点/5 点満点中)
Earth, Wind & Fire (To Be Celestial vs. That's the Weight of the World) / 日本未公開 (2026)





