SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて


*10/15/2018に「ブラックムービー ガイド」本が発売になりました!よろしくお願いします。(10/15/18)

*映画秘宝 7月号にてジョン・シングルトン追悼記事を寄稿。(5/22/19)
*ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 6月号にて「ブラックムービーとアカデミー賞」の記事を寄稿。(5/7/19)
*ユリイカ5月号のスパイク・リー特集にて2本の記事を寄稿。(4/27/19)
*映画秘宝 6月号の「サノスの倒し方大全!」特集でサノスの倒し方を寄稿。(4/20/19)
*Fridayデジタルにて「激ヤバで面白い『ブラック・クランズマン』はトランプへの挑戦状!」というコラムを寄稿。(3/20/19)
*映画秘宝 5月号にてブラックムービー、スパイク・リー、『ブラック・クランズマン』、『ヘイト・ユー・ギブ』を寄稿。(3/20/19)
*映画秘宝 4月号にて『ビール・ストリートの恋人たち』&『グリーンブック』レビューを寄稿。(2/21/19)
*DU BOOKS 「ネットフリックス大解剖 Beyond Netflix」に『親愛なる白人様』について寄稿。(1/25/19)
*映画秘宝 3月号秘宝ベスト&トホホ10&ドラマ・オブ・ザ・イヤー2018に参加。(1/21/19)
*リアルサウンドにて「ブラックムービーの今」というコラムを寄稿。(1/3/19)
*『ブラック・クランズマン』マスコミ向け試写会用プレスにスパイク・リーについて寄稿。(12/19/18)
過去記事

See You Yesterday / シー・ユー・イエスタデイ (2019) 1696本目

描かなくてもハッキリと見える物『シー・ユー・イエスタディ』

前にも書きましたが、「これ観て欲しいんです!」と言われると嬉しい。信用されているみたいで。Twitterのフォロワーさんに「是非見てください!」と言われて見ました!ありがとうございました。『黒いジャガー』シリーズに溺れていたので、ちょっとだけ時間取ってしまって申し訳ないです。でもその後すぐに見ましたよ。ツイッターに書こうかと思いましたが、敢えて書きませんでした。薦めて頂いて、本当に良かったです!なので、これからも沢山のリクエストお待ちしております。そしてこの作品の監督は、長編映画デビュー作となるステフォン・ブリストルキング牧師スパイク・リーが卒業した名門モアハウス大学を卒業。通っている時にスパイクがやってきて、その時に懇願してスパイクのインターンとなった。そのスパイク先生がまたもや生徒のお手伝いでプロデュースした作品です!

C.J.(エデン・ダンカン=スミス)は、高校生ながらタイムマシーンの実験をしていた。親友のセバスチャン(ダンテ・クリッチロウ)が助手。しかし上手くいかず、学校で科学の先生(マイケル・J・フォックス)にアドバイスを求めた。帰る途中、コンビニで元彼ジャレッド(レイショーン・リチャードソン)とイザコザになったC.J.。近くに居た兄カルヴィン(ブライアン・“アストロ”・ブラッドリー)が助けてくれたが、ジャレッドとカルヴィンにしこりが残った。そして、その夜、ニュースでは誰かが警官に殺されたニュースが流れていた。ようやくC.J.のタイムマシーンのテストが成功した。ジャレッドと揉めた時に戻っていた。C.J.は、ジャレッドに飲み物を投げつけた。その結果、ジャレッドは交通事故に遭ってしまい、そして兄が... C.J,とセバスチャンは過去を変える為、またタイムマシーンで戻るが、今度は...

見た後の余韻が半端なかった。恐らく、きっちりとした結末を見せていないからだ。その演出ゆえ、評価も分かれているらしい。が、私はこのラストが凄く好きだ。C.J.はタイムマシーンが作れてしまうほど頭脳明晰。でも、負けん気が強いのも事実だし、お転婆な所もあるし、何よりまだ高校生の子供だ。あのマイケル・J・フォックスが出ているのも上手い。私も『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を見て興奮した世代である。ハッピーエンドで終わっておとぎ話のようでワクワクした。でも、過去を書き直す…そんなことはしちゃいけないのだ。同じタイムトラベルでも、『バック・トゥ』がおとぎ話ならば、こちらは非現実的ながら現実的。無実の人々が警官の偏見により銃で亡くなる。あってはならない事が起きてしまう。彼らの日常と化してしまっている。過去はどうしたって変わらない。いずれ悲劇は起きる。そんなことをまだ高校生のC.J.も理解しつつある。とは言え、『バック・トゥ』のような話を信じたい人たちもいる筈。研究って、「無い」って断言してしまったらそこで終わってしまう。あるかもしれない可能性はどこか残しておいて欲しい。だからこそ、人によって何通りもの解釈が出来るあのラストがこの映画にとって最適だと感じた。

C.J.の性格から、彼女は何度でも過去に戻るだろうと私は解釈した。自分がその悲劇の犠牲になっても、彼女はまたあの路地を走り続けるだろう... タイムマシーンを作った者が背負う十字架みたいなものと共に。こんなに切なくなるタイムトラベル映画を私は知らない。そして、いつか無実の人々が警官に殺されるということが無くなることが、C.J.にとって唯一救われる時である。ラストをどう解釈してもそのメッセージは変わらない。

(4.75点:1696本目)
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Shaft / シャフト (2019) 1700本目

今なぜまた『シャフト』なのか?をじっくり考える

この映画が公開前に、私は『Shaft / 黒いジャガー (1971)』から順にTVシリーズShaft / 黒いジャガー (1973-1974)』まで含めて時間を掛けてじっくりと再見した。新しい『シャフト』の前に、それをやったことは実に有意義だった。色々な事がクリアに見えたから。まず、この2019年版『シャフト』制作ニュースを聞いて、「なぜ今に?」と思った。確かに、『SuperFly / 日本未公開 (2018)』もリメイクされたりして、ブラックスプロイテーション映画の波は再び来ているのかもしれない。でもリメイク/リブート制作されると言われていた『Foxy Brown / フォクシー・ブラウン (1974)』や『Get Christie Love! / 女刑事クリスティー (1974-1975)』などは続報なくて、恐らく暗礁したんじゃないかと思う。第一、正真正銘のヒーロー『Black Panther / ブラックパンサー (2018)』があんなに成功したんだから、もうブラックスプロイテーションはいいじゃないか...と、私は思っていた。だからこそ、ジョン・シャフトとは何者で、どうして生まれ、どう愛されたのか... じっくりと再見して理解しようとした。それが分かれば、今なぜシャフトなのか、分かる気がした。

1989年、ジョン・シャフト(サミュエル・L・ジャクソン)はマヤ(レジーナ・ホール)と激しい口論を繰り返していた。車外の異変にシャフトが気付くと、シャフトの車目がけて夥しい数の銃弾が撃ち込まれた。シャフトは反撃して、彼らをやっつけた。車の後部座席には赤ちゃんが乗っていた。その後、マヤは赤ちゃんと共にシャフトの元を離れた。そして時は流れ、現在。NYのFBIにて働くJJ(ジェシー・アッシャー)。FBIで働いてはいるが、エージェントではなく、データアナリスト。捜査を受け持ちたいが、まだ新人で受け持たせてもらえない。JJは、どことなく頼りなく、銃も嫌いだ。久々に学生時代の友人カリーム(アヴァン・ジョーギア)とサーシャ(アレクサンドリア・シップ)と会ったが、カリームはどこか変だった。そしてカリームは... 異変に気付いていたJJは、「ジョン・シャフト探偵事務所」に向かった。

オブラートに包んで書くのは良くないので、率直に書こう。見た後は正直、複雑な感情が渦巻いた。英語ではこんな感じの映画を「Mixed bag」なんていう良い方をする。良い感情と悪い感情が混ざった状態。まさに、それだ。正直、普通に面白かった。今ぽい面白い軽快な会話や音楽と共に心地よいテンポで進んでいくエンタテイメント性優れたアクション映画。実際に、劇場内も大きな笑いに包まれることが多かった。私も思わず笑った場面もある。でもこれが『シャフト』なのかと訊かれたら、私は目を逸らしてしまうだろう。ジョン・シングルトン監督の2000年版『Shaft / シャフト (2000)』はれっきとしたジョン・シャフトだった。いや、ジョン・シャフトII映画だった。オリジナルを越えられないと分かっていたからこそ、敢えてジョン・シャフトII映画を作り、そして時代を紡いだ名作だった。2000年に『シャフト』を作るならば、あれが一番最適で正解だったのだ。2000年版ジョン・シャフトは、サミュエル・L・ジャクソンの個性を大事にしながらも、どこかオリジナルのジョン・シャフトに寄せた美学と哲学が見えた。冒頭で悪党(クリスチャン・ベール)を2発殴ったシーンでそれを感じた。でも、2019年版ジョン・シャフトIIは、悪いブラックスプロイテーション映画のヒーローそのものだった。腕力の強さだけがパワーの象徴で、言葉遣いも以前よりも悪く威張っていて大袈裟だ。それが、JJという新しい世代を際立たせるためだったとしても、どこか違和感を感じた。2000年版と2019年版はキャラ変していると言っても過言ではないだろう。そして、2000年版で私が書いた良い部分が、見事に... 2000年版の私のレビューを読んで2019年版を見て頂ければ、なぜに私がこのような感情になっているのか容易に分かって貰える事と思う。これが『シャフト』というタイトルを使用しない、新作アクションコメディ映画だったら、ティム・ストーリー監督の『Ride Along / ライド・アロング ~相棒見習い~ (2014)』系の映画だと思って、そこそこ面白いと私は褒めていたことだろう。

最近としては珍しく、久々にニューヨークのハーレムが舞台になっている。セリフでも「110番通り」が出てきたり、ハーレムで長いこと歴史を見つめてきた「アムステルダム・ニュース」の事務所の上にジョン・シャフト探偵事務所を構え、愛読していたりするが、そんなにハーレムの個性を感じなかった。如何にも部外者が一生懸命ハーレムを詰め込みましたという感じを受けた。『黒いジャガー』では、そこまでハーレムらしさを意識して作られていないけれど、それでも若者たちや風景やロケーションに生々しいハーレムの息づかいを感じた。

それでも確かにJJという役に今を感じた。ジョン・シャフトIIは馬鹿にしていたけれど、JJのスマートで脅威を感じさせない気を使った服装とか、頭でちゃんと行動するタイプとかに今の若い世代をとても感じる。恋愛にも奥手で慎重なタイプ。でも実は...っていう所が余計に今の20代ぽい。でも、それだけでは2000年版のように時代の変化を描いているようには思えなかった。ジョン・シャフトIIをキャラ変してまで「家族愛」を安易に描き、そして笑いを取りつつ、結局は昔の「シャフト」と価値観の方が良いと見せられているようだった。そこまでして描きたい今の『シャフト』がこれなのか?20年後、これが2019年だったのだと思えるのか... 私は未だ複雑な感情が拭い去れないでいる。

(3点:1700本目)
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Shaft / シャフト (2000) 1695本目

2000年版『シャフト』の意味をやっと理解した瞬間

哀れな私をお許しください。この映画公開時、私は全くと言って良い程理解していなかったように思います。今回、『Shaft / 黒いジャガー (1971)』から順番を追ってしっかりと再見してようやく私の間違いに気づきました。その間違い、今回キッチリと正させて頂きます!ジョン・シングルトン監督、大変申し訳ございませんでした。そして、私の間違い、シングルトン監督存命中に気づけていたら... もっともっと…もっと長生きして欲しかったです。

夜、NYの街にパトカーの音が鳴り響き、ジョン・シャフト・II(サミュエル・L・ジャクソン)が現場のバーに到着した。現場検証を開始し、目撃者である筈のバーテンダーの女性ダイアン(トニ・コレット)と話すが何もしゃべらず埒があかない。しかし彼女の顎に血がついていることに気づく。別の女性の証言で、バーに居たウォルター(クリスチャン・ベール)が捕まり、そしてダイアンは忽然と消えた。ウォルターの裁判が始まるが、彼の裕福で権力のある実家が保釈金を払い、そしてスイスへと逃がした。2年後、戻ってきたウォルターを逮捕したシャフト。その留置所でウォルターはヒスパニック系麻薬元締めピープルズ・ヘルナンデス(ジェフリー・ライト)と出会う。そしてウォルターはまたもや保釈金で自由になる。苛立つシャフトは警察を辞職してでも、ウォルターを執拗に追っていくが...

公開時、実は「あんまり面白くないな」って思っていたのです。やっぱりサミュエル・L・ジャクソンはどう見てもセックスシンボルじゃないので、ジョン・シャフトではないと。でも今回オリジナルから再見で通して見て、それで正解だったんだと、やっと気づけた。この映画でもオリジナルのジョン・シャフトを演じたリチャード・ラウンドトゥリーがジョン・シャフトとして登場する。そうなのだ。ジョン・シャフトが演じられるのはリチャード・ラウンドトゥリーだけ。それを分かっていたから、ジョン・シングルトン監督はサミュエル・L・ジャクソンをジョン・シャフト・IIにした。しかもIIだから2世という意味ではあるが、シングルトン監督は単純にジョン・シャフトの息子と設定しなかったのも上手かった。ジョン・シャフトという男は、結婚もしなければ、子供を作ることはしなかっただろう。その仕事と共に心中する覚悟があった男である筈である。いつ死ぬか分からないギリギリで生きていた男だから、子供や妻を遺すということはしなかっただろう。その設定だけで、私は泣いた。勝手な解釈かもしれないが、私は泣いた。オリジナル『黒いジャガー』10作品見続けた後だからやっとそれに気が付けた。公開当時の私にはそれが瞬時に読み取れるほど大人じゃなかったのだ。許してください、ジョン・シングルトン監督。だからこそジョン・シャフト・IIは、サミュエル・L・ジャクソンのオリジナルキャラクターとなった。口数少ないリチャード・ラウンドトゥリーのジョン・シャフト・Iとは全く違う、それこそジャクソンの十八番であるマザーファッカーの叫びが炸裂するシャフト。元々色気の無いジャクソンなので、セックスシンボルな部分も排除させた。時代もセックス=パワーとかいうそんな時代じゃないから。70年代だったら、ヴァネッサ・ウィリアムス演じたカーメンとのベッドシーンもあったことだろう。でも今はそんな時代じゃない。カーメンとは相棒として同等に協力し合う。

そして、『黒いジャガー』では幾度となく対立したシャフトと警察。警察をも出し抜き、コミュニティの為に奮闘した。今回はそんな警察の一部となっていたシャフトだが、いずれそんな所とは決別する様を描いているのも良い。アクションシーンは銃アクションとカーチェイスが主だが、シャフトらしい渋さがあった。

そう、2000年ジョン・シングルトン版『シャフト』は時代に合った面白いれっきとした『シャフト』だったのだ。2000年に作られた意味を感じた。そういう時代背景の違いがあることで、それぞれの監督・主演が時代を紡いでいっているのも分かる。2019年版も同じように感じられるのか...今回こそはしっかりと見届けたい。

(4.5点:1695本目)
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Shaft / 黒いジャガー (1973-1974) おまけ

ついでにTVシリーズ版『黒いジャガー』をおさらい!

70年代の『黒いジャガー』3部作を追いましたが、黒人映画で3部作というだけでも凄いことなのに、TVシリーズ化までしているのです!これって、本当に…本当に凄い事なんですよ。あり得ない位。しかもアメリカ3大ネットワークの1つであるCBSが放送。日本で言う所の「火曜サスペンス劇場」のCBS版とでも書きましょうか... CBSは1時間半のテレビ映画のような作品を放送する「火曜夜の映画劇場」みたいな感じの枠が当時あったのです。なので毎週放送されていた訳じゃなく、色んな作品が交互に放送されており、この『黒いジャガー』も2-3週間置きに放送されていたみたいです。そして、そうなんです。45分程度ではなく、毎回しっかり75分ほどある。

そして、今回はなんとアイザック・ヘイズのアレ(「黒いジャガーのテーマ」)が使えております!でも歌なしのインストゥルメンタル版ですけどね。でも全然ないよりあった方が全然良い!でもテレビ版には、ゴードン・パークス監督も原作・脚本のアーネスト・タイディマンは関係なし。でもタイディマンは「原案・キャラクター」で毎回クレジットはされていたが、直接的に関わってはいないと思う。お金は入っただろうけど。そして映画3部作の最後『Shaft in Africa / 黒いジャガー/アフリカ作戦 (1973)』も前作の2作とは違う顔ぶれだったけれど、このTVシリーズ版もまた全然違う顔ぶれ。主演のリチャード・ラウンドトゥリー以外はみな新しい人たち。なので、『Shaft in Africa / 黒いジャガー/アフリカ作戦 (1973)』とこのTVシリーズShaft / 黒いジャガー (1973-1974)』は、オリジナル『Shaft / 黒いジャガー (1971)』&『Shaft's Big Score! / 黒いジャガー/シャフト旋風 (1972)』とはそれぞれ別物と考えた方が妥当。

とはいえ、エピソードにも寄るけれど、割りと『黒いジャガー』のこと分かってる!という回もある。エピソード1の「The Executioners」などは、シャフトと言えば窓ガラス蹴破りでしょ!って感じで、そんなシーンもあるし、超悪っいシステム側の人たちをやっつける感じがとても良かった。そして、このシリーズ全体で、夜のNYの街をカッコいい車で流すシーンが多かった。でも残念なのがこの時代の映像に多い、暗すぎであまりハッキリと映らない事。ゴードン・パークス監督の時は、暗くても美しく残っているのに。そしてエピソード4「The Kidnapping」では、『黒いジャガー/シャフト旋風』のヘリコプターの名シーンがそのまま使われている!これにはびっくりした。予算的になんでしょうか?でも、ゲストでトニー・カーティスやロバート・カルプなんていう豪華な人たちが出てきたりもする。そして流れるクレジットで最も存在感があるのが、衣装提供の「ボタニー500」。NYの老舗ブランドです。

映画『黒いジャガー』3部作、そしてこのTVシリーズの7作のリチャード・ラウンドトゥリー演ジョン・シャフトを計10作観て思うのは、ジョン・シャフトは立派なスーパーヒーローだと。シャフトは同胞の人たちの為に動くと思っていたけれど、シャフトはそういう区別はしない。悪と善という区別もしない。悪だろうが善だろうが、助けるのに値する人ならば助ける、それだけのこと。計10作で、設定とか色々とブレたところもあるけれど、その芯の部分はブレてない、スーツやケープじゃなくてボタニー500を羽織った真のスーパーヒーローだ!

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Shaft in Africa / 黒いジャガー/アフリカ作戦 (1973) 1694本目

ないない尽くしのアフリカ作戦『黒いジャガー/アフリカ作戦』

シャフト・シリーズ3作目の今回は、もちろん3作目の『Shaft in Africa / 黒いジャガー/アフリカ作戦 (1973)』ですね!今回は、ゴードン・パークス監督も原作・脚本のアーネスト・タイディマンの参加もなし!しかもバンピー親分(モーゼス・ガン)も出てこない!続いて参加しているのはジョン・シャフト役のリチャード・ラウンドトゥリーくらいなものです。監督はジョン・ギラーミン、脚本はスターリング・シリファント。そう2人は『タワーリング・インフェルノ』の名コンビですね!『タワーリング・インフェルノ』はハラハラドキドキ面白かった。OJ・シンプソン出てたし。こちら『アフリカ作戦』が『タワーリング・インフェルノ』よりも先の作品で、次の年に2人が再集結して作ったのが『タワーリング・インフェルノ』。

若い男が豪邸から飛び出して逃げ、そして捕まり暴行を受けていた。その間に若い男は壁に文字を残したが、アマフィ(フランク・フィンレー)の命令で殺された。ところ変わって、ニューヨーク。自宅のアパートに帰ってきたジョン・シャフト(リチャード・ラウンドトゥリー)は何者かに襲われ、見知らぬ所に連れてこられた。アフリカの権力者エミール・ラミラ(サイ・グラント)に、アフリカで横行している奴隷貿易の実態を調べていた彼の息子が殺されたことを告げ、シャフトに捜査の依頼をしてきたのだった。シャフトはラミラの美しい娘アレメ(ヴォネッタ・マギー)からアフリカ文化や作法を教わり、アフリカへと向かっていった...

うーん。元々『黒いジャガー』シリーズはテンポは良くない。ゆったりとした大人の時間が続き、クライマックスで全てを爆発させてスッキリさせる。でもこれは特に遅い。悪い意味で遅い。1作目の時に書いたけれど、この3作目は特に黒人の行き過ぎたイメージというか、そういうセリフが多い。ブラックスプロイテーションで横行していたジャイブトークさながらのセリフばかり。それが凄く気になった。タイディマンならもうちょっとトーンダウンしていたと思う。今回の脚本家は『In the Heat of the Night / 夜の大捜査線 (1967)』も書いていたのが、本当に信じられない位。でもプロットは攻めていて面白い。今も人身売買みたいな形で奴隷にしてしまうケースは少なくないらしいので、そこにチャレンジしているとは思った。悪役もシャフトにこっぴどくやられて欲しいタイプで良かった。

今回のヒロインは『Thomasine & Bushrod / 日本未公開 (1974)』のヴォネッタ・マギー。可憐で凄く可愛いタイプで私は大好きなんだけど、今回は無駄遣い。ゴードン・パークスだったらあのラブシーンを綺麗に撮ってくれたと思う。勿体ない!前作に出ていてくれたら... あと、シャフトが全裸で戦うシーンがあるんだけど、気を抜くとパンツ履いていた。そういうの1&2では無かった。

でもやっぱりゴードン・パークス監督じゃないから、絵の綺麗さがない。目に焼き付くような名シーンもない。5年後には物語は覚えているけれど、シーンを思い出せないタイプの映画。そしてやっぱりアイザック・ヘイズのアレもない(Shut Your Mouth!)。

(3.25点:1694本目)

Shaft's Big Score! / 黒いジャガー/シャフト旋風 (1972) 1693本目

シャフト旋風衰えなし!『黒いジャガー/シャフト旋風』

という訳で、先日の『Shaft / 黒いジャガー (1971)』から引き続きシャフトで、2作目になるこちらの作品を。こちらも引き続き監督はゴードン・パークスで脚本は原作者でもあるアーネスト・タイディマン、主演はリチャード・ラウンドトゥリー。前作から引き続かなかった主要人物は、コンポーザーのアイザック・ヘイズ。O.C.スミスに変更し、監督のゴードン・パークスとコンポーズしております。

カル・アシュビー(ロバート・カヤ=ヒル)は葬儀屋の金庫を開けて大金を出し、そして棺に隠した。男は外を警戒している様子をみせ、そして友人であるジョン・シャフト(リチャード・ラウンドトゥリー)に電話をした。シャフトはカルの妹とベッドの中にいたが、トラブルに巻き込まれたのですぐ来るように言われる。シャフトが葬儀屋に到着してすぐにーー。そしてカル・アシュビーと葬儀屋兼保険業を共同経営しているケリー(ウォリー・テリー)が金庫にあった筈のお金を探しており、ケリーはギャングのガス(ジョセフ・マスコロ)に追われていた。ジョン・シャフトはカルの為に捜査を開始していくが...

これのクライマックスは最高ですよね。ヘリコプターやボートやら。もうジェームズ・ボンド並みですよ。この映画で残念な所があるとしたら、やっぱりアイザック・ヘイズのアレ「黒いジャガーのテーマ」が使えなかった事ですよね。あのヘリコプターのシーンでアレ掛かったら最高だったと思います。いや、新しい曲も渋くてぴったりで最高なのですが、やっぱり黒いジャガーアイザック・ヘイズのアレなんですよね。と、オリジナルの時とは違って軽いタッチで書いております。時代背景はほぼ一緒ですから、あれ以上書くことはありません。3部作まで作られたってこと自体がこの映画の人気を象徴してますから。黒人映画で同じキャラクターで3部作まで作られたことは、かつてなかったことですし。それが全てを物語っておりますね。そしてゴードン・パークス演出も際立っていて最高です。ラブシーンの波打つような映像は、とろけるように美しかった。女性のダンスシーンも前衛的な感じを演出してましたね。そしてなんといってもヘリコプターのシーンですよ!今日の写真に使ったこのシーン。もう本当に名シーン。1作目の名シーンが窓を蹴破るシーンなら、今回のはこのシーンですよ!目に脳に焼き付く。そして名シーン過ぎて... この後『Shaft / 黒いジャガー (1973-1974)』としてTVシリーズ化されるんですが、とある回でそのままこのシーン使い回ししておりました!ま、TVシリーズは別の機会においおい説明します。

そしてツイッターで書いてしまいましたが、1作目と2作目のこちらには、モハメド・アリのトレーナーだったドリュー・”バンディーニ”・ブラウンが出ています。『Ali / アリ (2001)』ではジェイミー・フォックスが演じた役の人です。あのアリの名言「蝶のように舞い、蜂のように刺す」を言った本人。なんで映画に俳優として出ているのかは分からないけれど、シャフト・シリーズの名物キャラであるハーレムを牛耳る首領バンピー(モーゼス・ガン)のボディガード役。でもね、バンディったらボディガードの癖に、すぐ部屋に入れたりと隙だらけ。ダメじゃん。

そしてもう1人大事な出演者が!それは、今回刑事役を演じたジュリアス・W・ハリス(のオヤジ)ですね。あの『Super Fly / スーパーフライ (1972)』ではスキャターのオヤジ役、『Black Caesar / ブラック・シーザー (1973)』ではフレッド・ウィリアムソンのオヤジ(父)役、『Trouble Man / 野獣戦争 (1972)』ではギャングのオヤジ(親分)役、極め付けにはジェームズ・ボンドブラックスプロイテーションぽく撮った『007 / Live and Let Die / 007/死ぬのは奴らだ (1973)』は悪役カナンガの右腕ティー・ヒーのオヤジを演じております。どんだけブラックスプロイテーション出てるんじゃい!しかもみんな名作じゃないか!って感じの、ブラックスプロイテーションには欠かせない「オヤジ」であります。でもこの映画では珍しく善の方。

細かい事を書けば、悪役ガスの手下の1人が、『Mo' Money / モー・マネー (1992)』のウォルシュ刑事役だったジョー・サントスです!ジョニー(主役デイモン・ウェイアンズ)とシーモアマーロン・ウェイアンズ)兄弟の父は警官で殉職してしまっていて、父の元相棒のウォルシュ刑事が2人のことを気に掛けてましたよねー。あの人です!この映画ではシャフトにこっぴどくやられてます!

書き足らない事があるとしたら、ゴードン・パークス監督!監督は、マーベル映画のスタン・リー御大のように、1作目も2作目も作品内に紛れ混んでおりますので、探してみてくださいね。意外と出たがりでお茶目です。

2作目はエンタテイメント性バッチリ。色々と良い物・面白い物が足されていっている。ゴードン・パークスの演出も冴えまくっている。ただアレがないのだけが残念 (Shut your mouth)。

(4.5点:1693本目)
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Shaft / 黒いジャガー (1971) 1692本目

なぜジョン・シャフトは70年代に誕生し愛されたのか?『黒いジャガー

6/14からアメリカでは劇場公開、日本では配信開始予定の『Shaft / 日本未公開 (2019)』を前に、今なぜまたシャフトなのか?じっくり考えたいと思った。『Moonlight / ムーンライト (2016)』のような繊細な作品がオスカーを獲得し、そして『Black Panther / ブラックパンサー (2018)』という待望されたヒーローが登場し興行的に成功したばかりなのに、なぜ今ブラックスプロイテーションをリブートするのだろう?と、制作決定ニュースを聞いて思った。ホームページでもシャフト関係全然アップしていないし、『Shaft / シャフト (2000)』のジョン・シングルトン監督が他界して非常に悲しいし、リブートはなぜ今なのか分からなかったけれど、でも旧作を見直すならば、今だと思った。1作目となる『Shaft / 黒いジャガー (1971)』は、ライフ誌の写真家と知られており、『The Learning Tree / 知恵の木 (1969)』の監督・脚本・制作を担当したゴードン・パークス監督作品。70年代流行したブラックスプロイテーションの先駆けとも言われている作品。アイザック・ヘイズが音楽を担当し、なんとアカデミー歌曲賞を受賞している。

42番街を歩くジョン・シャフト(リチャード・ラウンドトゥリー)。盗品の時計を売っている男やデモに出くわしながらも、情報をもらうために靴磨きに行った。シャフトは私立探偵だったのだ。そして事務所に戻ると、見知らぬ男たちに襲われ格闘の末に男を窓から投げ捨てた。どうやらハーレムを仕切る大物ギャングのバンピー(モーゼス・ガン)が送り込んだ男たちで、バンピーに呼ばれているらしい。刑事(チャールズ・シオフィ)にこっぴどく絞られ、6ヶ月間銃を使わせないようにすると言われるが、48時間の猶予をもらった。バンピーの所に向かうと、娘が誘拐されたので探して欲しいという依頼を受けたのだった。ギャング同士のいざこざに巻き込まれ、ニューヨークの街で死闘の救出が始まる...

今なぜまたシャフトなのか?を考える前に、なぜこのオリジナルが70年代に誕生したのか?を紐解く方が答えに近づく気がした。先に書いたように、この作品はブラックスプロイテーションの先駆けとなり、この映画を機に増えていく。監督こそ黒人のゴードン・パークスだが、脚本は白人のアーネスト・タイディマン。そのタイディマンの同名の小説が原作である。黒人の私立探偵が、黒人のギャングのボスから助けを求められる。警察には相談出来ないからだ。そしてシャフトも若い黒人活動家グループの助けを借りることになる。黒人脚本家が書いたような筋書である。1968年、キング牧師が暗殺され、西海岸ではブラックパンサー党がコインテルプロで苦しみ闘争が激化していた頃。善も悪も黒人同士が結束して巨大なシステムに立ち向かい女性を救い、悪を出し抜きシャフトが高らかに笑う。まるで古くから伝わる黒人民話のようである。でもセリフの節々やセックスアピールで、やはり行き過ぎた黒人像を感じてしまう。今と当時の意識や価値観の差もあるのだろう。当時は、セックスアピールもしない言葉もしっかりした真面目な男は、誰にでも従うショーケースの中の男と呼ばれ、アンクル・トム(主人に従順)とまで呼ばれる始末なのだから。非暴力を訴えたキング牧師の命を銃弾が奪った後、「ブラックパワー」という言葉が持て囃されたことでも分かるように、黒人が欲したのがパワーだった。アカデミー賞を取った「黒いジャガーのテーマ」の歌詞に「シャフトは複雑な男で誰も理解しないけれど、奴の女だけは理解してくれている」にもあるように、人種関係なくモテモテで遊んでいるbad mother...なセックスシンボルという価値観だったのは仕方ないことかもしれない。そしてそれが当時の黒人男性にとっての自由でありパワーの象徴だったのかもしれない。そして、そんな男性像をたった29歳の新人俳優リチャード・ラウンドトゥリーが演じている。20代とは思えないほどの貫禄と余裕は強さを感じ、シャフトをよりセックスシンボルへとしている。そしてそのセックスアピールで感じるパワーこそ、若者たちを惹きつけた。だから劇中でも若者たちがシャフトの味方になり助ける。

危険を顧みず同胞の為に戦う男って誰だっけ?(シャフト!)だろ?

(5点満点:1692本目)
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