SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて


*10/15/2018に「ブラックムービー ガイド」本が発売になりました!よろしくお願いします。(10/15/18)

*Cinemoreにて『大逆転』(83)についてを寄稿。(7/17/19)
*Cinemoreにて『星の王子ニューヨークへ行く』(88)についてを寄稿。(7/6/19)
*Cinemoreにて『スタンド・バイ・ミー』(86)についてを寄稿。(7/2/19)
*サイゾー 7月号にて『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』についてコメント出しております。(6/18/19)
*Cinemoreにて『シャフト』(2000年)についてを寄稿。(6/26/19)
*映画秘宝 7月号にてジョン・シングルトン追悼記事を寄稿。(5/22/19)
*ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 6月号にて「ブラックムービーとアカデミー賞」の記事を寄稿。(5/7/19)
*ユリイカ5月号のスパイク・リー特集にて2本の記事を寄稿。(4/27/19)
*映画秘宝 6月号の「サノスの倒し方大全!」特集でサノスの倒し方を寄稿。(4/20/19)
*Fridayデジタルにて「激ヤバで面白い『ブラック・クランズマン』はトランプへの挑戦状!」というコラムを寄稿。(3/20/19)
*映画秘宝 5月号にてブラックムービー、スパイク・リー、『ブラック・クランズマン』、『ヘイト・ユー・ギブ』を寄稿。(3/20/19)
*映画秘宝 4月号にて『ビール・ストリートの恋人たち』&『グリーンブック』レビューを寄稿。(2/21/19)
*DU BOOKS 「ネットフリックス大解剖 Beyond Netflix」に『親愛なる白人様』について寄稿。(1/25/19)
*映画秘宝 3月号秘宝ベスト&トホホ10&ドラマ・オブ・ザ・イヤー2018に参加。(1/21/19)
*リアルサウンドにて「ブラックムービーの今」というコラムを寄稿。(1/3/19)
*『ブラック・クランズマン』マスコミ向け試写会用プレスにスパイク・リーについて寄稿。(12/19/18)
過去記事

Sextuplets / セクスタプレッツ ~オレって六つ子だったの?~ (2019) 1710本目

マーロン・ウェイアンズの良い子、悪い子、普通の子『セクスタプレッツ』

Scary Movie / 最終絶叫計画 (2000)』などで知られる芸能一家ウェイアンズ家第一世代の末っ子マーロン・ウェイアンズ主演・制作・脚本のコメディ作品。Netflixにて制作・配信で、『Naked / ネイキッド (2017)』に続き2作目。今回は、マーロンが1人7役!という挑戦に挑む。

アラン(マーロン・ウェイアンズ)は妻マリー(ブレシャ・ウェブ)の出産が近づき、生き別れとなった自分の母を探していた。マリーの父(グリン・ターマン)は連邦判事で、彼の力添えで母の居場所を突き止めた。その住所に行ってみると、太ったラッセル(マーロン・ウェイアンズ)が居た。どうやらアランとラッセルは同じ日に生まれた兄弟である。そして、アランとラッセルにはもう4人、同じ誕生日を共有する兄弟が居た。そう、彼らは6つ子だったのだ!アランとラッセルは他の4人を探しに出かけるが...

手っ取り早く言ってしまえば、マーロン・ウェイアンズ版『The Nutty Professor / ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合 (1996)』とか『Norbit / マッド・ファット・ワイフ (2007)』ですね。特殊メイクで何役も演じる系のコメディです。芸能一家ウェイアンズ家の中でも演技派として知られているマーロンなので、彼らの中からこの手の映画をやるとしたら、やっぱりマーロンがやるに相応しいと思う。最近では、この手の映画では、マディアおばさんシリーズ『Madea Goes to Jail / 日本未公開 (2009)』などのタイラー・ペリーも人気。だけど、あのエディ・マーフィだって『マッド・ファット・ワイフ』を滅茶苦茶外した。タイラー・ペリーもごくごく一部で絶大な人気であって、しかもマディア引退してしまった。最近では、特殊メイクわざと太らせて容姿を卑下することや、男性が女性を演じたりすることに不快を感じる人が多い。正直、この映画でマーロンが演じた女性キャラは好きじゃない。でも、男性キャラの方は、ステレオタイプを逆に皮肉る『White Chicks / 最凶女装計画 (2004)』に似ていて上手かった。

そして、『The Jeffersons / 日本未放送 (1975-1985)』や『ロックフォードの事件メモ』などのテレビシリーズからのネタが多く、日本で生まれ育った私たちには伝わりにくい部分も多い。

さすが10人兄弟の末っ子として育ったマーロンらしい、兄弟それぞれに魅力があることを感じることができる作品。

(3.5点:1710本目)
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Free Meek / フリー・ミーク (2019) 1709本目

俺はバークス通りの奴らと一緒『フリー・ミーク』

ミーク・ミル... と書いてみて、フィラデルフィア、ニッキー・ミナージュ、ドレイクとの確執、法トラブル... が私の頭に瞬時にパッと浮かぶ。本作では、それら全てが詰まっているが、おもに法トラブルを主軸にして、ラッパーであるミーク・ミルの全貌が明らかになっていく。ジェイ・Zのロックネイションが制作、アマゾンプライムにて配信されている、ドキュメンタリーシリーズ。

私の中では、若いと思っていたミーク・ミルも32歳である。若い人たちが早くから活躍できるラップの世界では、割りと中堅に位置する年ごろだ。でも、私には最近の印象しかない。割と下積みが長かったんだと思わされた。このドキュメンタリーでは、デビュー前の映像も豊富だ。私世代のラッパーたちでデビュー前のバトルラップの映像を見た事あるのは、ビギー(ノートリアスBIG)位。なぜなら私たちの10代の頃には、携帯やスマホどころかハンディカメラも普及していなかったからだ。素人が簡単に映像など中々撮れなかった。そう考えると、やはりミーク・ミルは若い世代のラッパーなんだなーと思ったりした。そしてまだひょろっこいミーク・ミールが緊張しながらバトルラップしているのが、何か可愛らしくて、そこから感情移入させられてしまう。序盤はミークの生い立ちが語られており、ミークは決して責任を押し付けたり、告発している訳では決してないのだけど、親の無責任さを少し感じてしまう。それを感じるのは守られて育った私だけで、アメリカ人なら多分そこは感じないだろう。そしてミークが19歳の時に起きた、麻薬密売と武器保持で逮捕された時のことが語られていく。「フリー・ミーク(ミークを釈放せよ)」というタイトルからも分かるように、この部分がこのドキュメンタリーで大きく占める。ミークだけでなく、逮捕され起訴されることは、誰にとってもその人の人生を左右してしまう出来事なので、当たり前と言えば当たり前である。ミークが他の人と違うのは、類まれな才能で富と人気を手に入れた事だろう。この部分がこのドキュメンタリーの肝である。ミークの主張は曲にのせマイクを握れば多くの人に聞いてもらえる。でもそうじゃない人が多数、アメリカ社会には存在している。

このドキュメンタリーで良く分かるのが、ミークが地元フィラデルフィアを愛し、そしてフィラデルフィアもミークを愛しているということ。ミックステープを売っていた時代から、それは変わらないような気がする。NFLフィラデルフィア・イーグルスNFLとなってからスーパーボウルで初チャンピオンとなった時、ミークは刑務所の中だった。観客が「フリー・ミーク」を叫び、そしてミークの曲「Dreams and Nightmares」をチームの応援歌としてファンだけでなく選手も歌った。そして地元のNBAチームであるフィラデルフィア・セブンティシクサーズが2018-19シーズンでプレイオフに進むと、ミークはようやく刑務所から出られる事になり、そのまま試合に向かい、名物である鐘を鳴らす儀式で地元ファンを歓喜させた。どこまで地元に愛されているのだろう... しかし地元の検事には好かれていなかったようで、完全に私情を挟んだ感じで、ずぶずぶと法トラブルの悪循環が進んでいく。そして、ニッキー・ミナージュの事も語られているが、割りとあっさりと語られている。

ジェイ・Zのロックネイションが制作なので、ジェイ・Zもインタビューに答えている。そのジェイ・Zは、最近NFLと組むことが発表され、色々と批判を浴びている。NFLは、選手であるコリン・キャパニックがアメリカの現状に抗議の意味で国歌斉唱の際に跪いたことで、NFLからつま弾きにされている。そんなNFLと組むなんて...と、ファンやキャパニックと同じ抗議しているエリック・リードから批判されているのだが、私にはジェイ・ZがNFLと「仲良く」組むのではなく、自分がその組織に入ることで内部から改革していくのでは?と期待している。このドキュメンタリーや、その他のジェイ・Zの映画作品への取り組みを感じると、そう感じてしまうのだ。

とはいえ、シリーズではなく、もっとコンパクトに映画にしてまとめれば良かったかな?とは思う。無理に伸ばしてシリーズにした感はある。そしてやっぱり歯痛のためとはいえ、薬の中毒になるのは、同情は出来ない。他にも彼の責任がゼロだったとは思えない部分もある。

ミークがこのドキュメンタリーで伝えたいこと… ミークは有名人となって自分の運命を遠回りしているが変えられる事は出来た。それが出来ない人たちの声を伝える為に、彼はマイクを握り続けるだろう。

(3.5点:1709本目)
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Q Ball / 日本未公開 (2019) (TV) 1708本目

誰も辿り着きたくない場所でバスケをする男たち『Q Ball』

サン・クエンティン州立刑務所。『Redemption: The Stan Tookie Williams Story / クリップス (2004)』のLAのギャング、クリップス創設者の一人スタンリー・”トゥッキー”・ウィリアムスや『Black August / ブラック・オーガスト/獄中からの手紙 (2007)』のブラック・マフィア・ゲリラのジョージ・ジャクソンやチャールズ・マンソンの最後の地となった場所だ。俳優ダニー・トレホもそこで過ごした過去もある。古い歴史もあり、そして完全警備を誇る刑務所で、死刑や終身刑などの重い刑を言い渡された者たちが集う悪名高い刑務所である。私がアメリカ人男性で、もし間違って罪を犯し、サン・クエンティン刑務所に送られたら「私終わったー」と速攻思うであろう。西のサン・クエンティン、東のライカーズね。これ常識。ライカーズは、『When They See Us / ボクらを見る目 (2019)』のコリー・ワイズが入っていた刑務所。でも、サン・クエンティンは終身刑や死刑囚が多い割りには、更生プログラムがしっかりしている。そのお陰でダニー・トレホは人生やり直している。説明が長くなりましたが、サン・クエンティン刑務所の更生プログラムの一つ、バスケットボールを追ったドキュメンタリー映画。Foxスポーツチャンネルにて放送。NBA選手ケヴィン・デュラントが制作総指揮の1人。

サンフランシスコの海沿いにあるサン・クエンティン刑務所。刑務所の副官であるサム・ロビンソンは、小さい頃から色々と噂を聞かされていたので「絶対に来たくない場所」だと語る刑務所だ。しかし更生プログラムは充実しており、その中でもバスケットボールは成果を出していた。同地のNBAチームであるゴールデン・ステイト・ウォーリアーズ(以下GSW)が協力しており、サン・クエンティン刑務所のチームは「サン・クエンティン・ウォーリアーズ」として、GSWと同じジャージを着ているのだ。そんなチームを追う。

その「サン・クエンティン・ウォーリアーズ」のスタメンである5人+コーチを主に追っていて、彼らの犯した罪からチームでのそれぞれの活躍ぶりを追っていく。コーチが一番エグイ犯罪を犯していた。一番温厚そうな雰囲気なのに。でもあのサン・クエンティンなのだから、『Oz / OZ/オズ (1997-2003)」みたいなおどろおどろしい雰囲気なんでしょ!と思ったけれど、割りとみんな和気あいあいとしている。バスケをすることで、そういう穏やかな感じになるのか(とは本人たちも言っていたけど)、わざと和気あいあいとした感じを見せたのかは分からない。でも、彼らが試合をする時には遠征する訳にはいかないので、普通の一般のチームが塀の中まで遠征してやってくる。唯一、刑務所ぽいなーと思ったのが、観客の野次。観客は全員囚人。野次が怖い。そして、GSWもやってくる!と言っても、試合に来るのはGリーグよりも下のGリーグの控え選手たち。でもアシスタントコーチの人たちは本物なので、サン・クエンティンのメンバーたちは張り切る。その中でも、元々バスケットで大学の奨学金まで貰っていたハリー・”ATL”・スミスは、気合の入れ方が違う。彼はもうすぐ出所するので、その後はGリーグで...ゆくゆくはNBAで活躍したいと思っているのだ。と、ここで急にドラマチックになってきますよね。正直、私も心躍ってしまいました。ネタバレはしませんが、まあそうですよね。前々から書いているように、NBAで活躍出来る人なんて、ホンの一握りの選ばれし者たちだけ。冒頭でバスケをやっている最中に喧嘩かと思ったら、最後まで見るとそうではなかったというのがあって、それは演出的に行き過ぎだ。

スタメン5人のうちのテルヴィン・フォーネットも気になりました。彼は犯した罪が映画の中では語られていない。そして最後にギターが上手い他の囚人とコラボしてラップをやっている。上手かった。そしてそのギターの人が歌も物凄い上手かった!Waleみたいな感じ。そういえば、「Lifers Group」のメンバーってどうなったんだろう?囚人で構成したラップグループ。ふと思い出した。

この映画でハッとさせられたのが2か所ある。一つは、刑務所内の教会で説教師をしているハリー・”ATL”・スミスに「俺の十字架は重い」と食い下がる別の囚人とのシーンと、そのスミスが出所する前に別の囚人に「ここの事は忘れるんだ」と言われるシーン。残念ながらバスケットのシーンではなかった。忘れろ言われたスミスともう1人の会話がズシンと残る。私も彼らは忘れるべきではないと思う。別の囚人が食い掛かったように彼らの十字架は重い。その重い十字架を背負いながらも彼らが更生して、これからの人生をまともに生きてくれることを願う。

(4.25点:1708本目)
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The Lion King / ライオン・キング (2019) 1707本目

アイ・アム・ユア・ファーザー『ライオン・キング

一番好きなディズニーのオリジナル物語は、やっぱり『ライオン・キング』!でも、1994年版『ライオン・キング』は、私のサイトに入っておりません。そして拙書『ブラックムービー ガイド』では、その『ライオン・キング』の項もあったのですが、ページ数の問題で敢え無くカット!でも、そこに書いたことを元にすると、うちのサイトに入れていて良い筈の作品でして、なら何で入れていないんだ!と言われると、すっかり忘れていたというのが、正直なところです。そのうち入れます。1994年版の『ライオン・キング』は少年時代の歌声を担当したジェイソン・ウィーバーが最高だった!マイケル・ジャクソンの『The Jacksons: An American Dream / 日本未公開 (1992)』という映画で、マイケル・ジャクソンの6-14歳を演じているのがジェイソン・ウィーバー。後にレコードデビューもしている。そして、やはりジェームズ・アール・ジョーンズですよね!なんでこの方はこんなにアフリカ王が似合うのでしょうか...

動物たちが共存するプライド・ランドの王様ムファサ(ジェームズ・アール・ジョーンズ)と女王サラビ(アルフレ・ウッダード)の元に息子シンバ(JD・マックラリー)が誕生した。継承者の誕生に皆が喜ぶが、ムファサの弟スカー(キウェテル・イジョフォー)がそれを喜んでいなかった。成長していくシンバ。仲のよいナラ(シャハディ・ライト・ジョセフ)と遊んでいたところ、行ってはいけない場所まで行ってしまい、ハイエナのシェンジ(フローレンス・カサンバ)らに囲まれたところ、ムファサが助けてくれた。そしてスカーに仕組まれシンバはまた危機に。その末に父が... スカーの差し金もあり、シンバは1人でプライド・ランドを離れる。そして成長したシンバ(ドナルド・グローヴァー)は、助けてくれたプンバァ(セス・ローゲン)とティモン(ビリー・アイクナー)と「ハクナ・マタタ(心配いらないさ)」の精神でのんびりと暮らしていたが...

やっぱり泣いた。ムファサのセリフに号泣。そして終盤のラフィキ(ジョン・カニ)!あのシーンは何度観てもたまらないのです。これから起きることが分かっているのに涙出るんですよね。この2人のキャラクターへの息を吹き込む声の演技が凄い。ジェームズ・アール・ジョーンズに至っては、彼だけは1994年のアニメ版同様にムファサ王を担当。『ライオン・キング』は絶対にジェームズ・アール・ジョーンズ無しには考えられない!誇らしい強さと威厳に満ちていて、その中にはちゃんと愛も感じられる。『Coming to America / 星の王子ニューヨークへ行く (1988)』のザムンダ王のジョフィ・ジャファ王もそうでしたね。す、ス...『スター・ウォーズ』でも(多分...震え声)。ジャファ王は厳しめだけど、やっぱり愛は感じられた。ああいうお父さん良いなって思わせてくれた。ムファサは現在アラサーの黒人男性に人気ですよね。

悪役スカーの声を担当したキウェテル・イジョフォーも迫力が凄かった。1994年版ではジェレミー・アイアンズが担当していたけれど、やっぱりアメリカ人からするとイギリス訛りというのは気難しさを感じて悪役に聞こえるのでしょうか?イジョフォーの歌声があんなに凄いとは知らなかった。ポール・ロブソンばりの力強さで凄い迫力。スカー怖いよー!イジョフォーの底知れぬ才能を感じました。演技でも悪役やって欲しい。

とは言え、『シンデレラ』や『美女と野獣』が実写化されるのは分かる。実際の人が演じることで、物語が現実味みたいのを帯びるから。だからなんで『ライオン・キング』が実写化されるのかは分からなかった。結局また人が声優を務めるだけなので。でも、シンバの毛が...のシーンは、ナショナルジオグラフィックみたいだし、それにまたジェームズ・アール・ジョーンズの凄さを知れたし、楽しんてしまったので、まあいいかなーとも思っている。

(4.5点:1707本目)
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The Intruder / 日本未公開 (2019) 1706本目

ま、そうですよね!が続くけどデニス・クエイドが驚きの『The Intruder』

年に2・3度やってくるエロサスペンススリラーの時期。それだけ作られるってことは、需要はあるってことですよね。前は、プロデューサーのウィル・パッカーがこの手の作品を低予算で沢山作っておりました。今も『Breaking In / 日本未公開 (2018)』など作ってましたが、最近は『Girls Trip / ガールズ・トリップ (2017)』やケヴィン・ハートとの作品などのコメディが多い。そこに出てきたのが、今回の映画の監督でもあるディオン・テイラー。『Traffik / セックス・トラフィック 悪夢の週末 (2018)』も彼の作品で、その時にちょこっと彼について書いているので、詳細はそちらをご覧ください。今回は、『Barbershop / バーバーショップ (2002)』に登場してきた時には目も心も奪われたマイケル・イーリーと、『Eve's Bayou / プレイヤー/死の祈り (1997)』から子役として活躍していた今や人妻のミーガン・グッドが主役。

スコットとアニー(マイケル・イーリー&ミーガン・グッド)という若い夫婦は、ナパバレーにある家を買おうと見学していた。現在の住民であるチャーリー(デニス・クエイド)が色々と家の中を見せてくれ、チャーリーが「ジギタリス(Foxglove)」と呼ぶその家を気に入った。小鹿を殺した姿を見たチャーリーをスコットは少し警戒していたが、アニーは彼の妻が2年前に妻をガンで亡くしたと聞き、同情する姿を見せた。アニーに押され、家をチャーリーから購入することにした。チャーリーは娘と住む為にフロリダに越すと言っていたが、なぜかチャーリーはまたジギタリスに姿を見せた...

という訳で、なんとあのデニス・クエイドがまさかの「侵入者(Intruder)」役!デニス・クエイドって、私の中では今でも『インナースペース』でして、好感度が高い役が多いイメージ。『オーロラの彼方へ』が最高でしたよね。だから、こんな狂気じみた役で、こういう映画に出てくれるのがビックリした。それ以外は、驚きはないかな?ああ、こういう感じの映画だよねって、分かっていたことが続く感じ。でも、そのデニス・クエイドが演じたチャーリーが中々しぶといのは良かった。全然諦めないというか。今日の写真もよーく観てくださいね。写ってるので。っていうか、なんで家を売ろうとした?という根本的な疑問は拭いきれなかったけれども。

ところでロジャー・コーマン監督作でウィリアム・シャトナーが主役の全く同じタイトルの『The Intruder / 侵入者 (1962)』という作品がありますが、全く関係はありません。コーマン作の方が見ごたえあるので、近々観て書きますね。

(3点:1706本目)
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Beats / ビート -心を解き放て- (2019) 1705本目

青年と大人が負ったそれぞれの傷『ビート -心を解き放て-』

シカゴのサウスサイドを舞台にしたヒップホップ映画。しかも元々ミュージックビデオ監督として有名で、その後は『ATL / 日本未公開 (2006)』でヒップホップ映画の実績、そして『The New Edition Story / 日本未公開 (2017)』でも音楽映画の実績のあるクリス・ロビンソンが監督。『ふたりの男とひとりの女』や『Hustle & Flow / ハッスル&フロウ (2005)』のアンソニー・アンダーソン主演。Netflixにて配信開始。

高校生のオーガスト(カリル・エバレージ)は、友人と遊んでいた所、迎えに来た姉(ミーガン・ソーサ)と共に銃弾の被害に遭い、姉は亡くなり、オーガストには胸の傷痕とPTSDが残った。オーガストの通う高校で学校のセキュリティをしているロメロ(アンソニー・アンダーソン)は、同校の校長であり別居中の妻から登校拒否している生徒の中から5人連れ戻してきて欲しいと頼まれ、そのリストに入っていたオーガストの家に向かう。オーガストはドラムマシンなどで「ビート」を作っており、その音色にロメロは夢中になった。ロメロは、元有名音楽マネージャーだったのだ。事情があって離れているが、ロメロはオーガストの音楽の才能を開花させようと躍起になるが...

これ観た時思ったのが、『ハッスル&フロウ』のキー(アンソニー・アンダーソン)が出世して、そしてシカゴに行って失敗してるぅうううう!でした。カップホルダーを壁に貼りつめていたのが懐かしい。そして、シカゴのサウスサイトが舞台で音楽プロデューサーということで、あの人の名前が何度も出てきます。Kanye Westですね。Kanyeは大学中退で、交通事故からの復活だった訳ですが、この物語は「今のアメリカ」を反映して、銃暴力による傷痕となっている。そんな「今のアメリカ」の傷を負った青年がどのように立ち上がっていくか?がメインなのだけど、アンソニー・アンダーソン演じたロメロという大人の過去も明らかになって、業界の影なんかも描いているので、割りと重め。というか、長いですね。それを一番感じた。クリス・ロビンソンはテンポ良く音楽の良さと楽しさを、土地柄などを含めたその語る人物の個性を見せるのが上手い監督だと思っていたけれど、今回はそのロビンソンの良さが生かされていないと思った。テンポが悪い。そしてアンソニー・アンダーソンは、セリフの面白さと真面目なドラマ要素のバランスが上手く取れる俳優の1人。今回は最初の方で高校生に絡むセリフが面白い。「オークタウン’ズ357」とか高校生知らないって!でも終盤のドラマぽいところが湿っぽいかな。と、監督も俳優も良い所が生かされていない。でも、「今のアメリカ」の現状をこの映画にも反映させようとしているのは伝わった。オーガストのお母さん(ウゾ・アドゥバ)が、オーガストをあのようにしてまで必死に守ろうとするのは理解出来た。だって娘を失っているんだもの。残された息子は必至に守ろうとするよね。お母さんも十分にPTSDな訳です。

「今のアメリカ」のせいで高校生の傷痕と大人が過去の過ちから負った傷痕。その両方の傷痕は中々癒えることはない。せめてオーガストのような傷を負う人々が減りますようにと祈るだけだ。

(4点:1705本目)
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Quiet Storm: The Ron Artest Story / 日本未公開 (2019) (TV) 1704本目

戦いに勝って平和が訪れる『Quiet Storm: The Ron Artest Story』

今年2019年のNBAドラフトにて、八村塁が初の日本人選手が10位内でドラフトされた。それを機に、日本でもNBAやバスケットボールの話題が増えて、NBAファンの私にとって、とても嬉しいことである。そんな状況はマンガ『月の夜 星の朝』の遼太郎(私の初恋)だけで、私が生きている間に日本人で活躍出来るNBAプレイヤーなんて現れないものだと思っておりました。本当にありがとう、八村くん。そんな私は、夫との会話の70%はNBAであるけれど、最近話題になったのが「最近のNBA選手って真面目でおとなしくて良いよね」という話。最近は、みんな真面目にバスケットボールに取り組んでいる、そんな印象だ。昔は、気性が荒かった。その60%は、この映画の題材となったロン・アーテスト、又の名をメッタ・ワールド・ピース... だった気がする。でもそれには訳があった。

1979年ニューヨークのクイーンズに生まれたロン・アーテスト。両親の離婚によって怒りをコントロール出来なかった少年は、カウンセラーの勧めでバスケットボールを始めるようになる。ニューヨークの子供たちにとって、それが一番身近だったからだ。父との真剣勝負のトレーニングもあり、才能を発揮していくロン・アーテスト。バスケットのお陰もあり、不良たちとは関わらずに済み、そして高校に入る頃には注目選手となり、AAU(高校とは別のアマチュア運動連合のチーム)でも話題となっていた。地元ニューヨークのバスケの名門大学に進み、そして1999年NBAドラフトにて16位で選ばれ、シカゴ・ブルズでプロ生活を開始する。しかし、試合中の彼の怒りは抑えられず、試合中の乱闘騒ぎで度々話題になっていた。そして2004年11月19日、「パレスの騒乱」と呼ばれるNBA史上最悪の乱闘騒ぎを起こしてしまう...

この手のスポーツドキュメンタリーは、最近はESPNばかりが作っていたけれど、これは違う。有料チャンネルShowtimeが放送した。インタビューを受けた人たちが独特で、NBA選手だけでなく、同じクイーンズ出身のOnyxのフレドロ・スターとかLost Boyzのミスター・チークスとかCapone-N-Noreagaの2人とかヒップホップ色が強い。もともと音楽方面にも興味があり、彼らとも仲が良く事情を良く知っているからだ。でも知りたいのは、やっぱり彼のバスケのこと。コービー・ブライアントや、元チームで仲が良かったジャーメイン・オニールらが語っている。ジャーメイン・オニールとは、その後にトレードなどを巡って確執があるけれど、それでも出てきて話してくれるジャーメイン・オニールの器の大きさよ!その間に居たスティーヴン・ジャクソンとかの話も面白い。私も当時、ロン・アーテストは面倒を起こしてばかりのトラブルメイカーという認識しかなかった。関わりたくない選手のナンバーワン。「私は普通にNBAの試合が見たい」そう思っていた。でも不思議とこうやって通して彼の人生を知っていくと、そんな私の偏見も壊れていく。最後、ようやくバスケットに集中した結果、コービー・ブライアントと共にチャンピオンシップを獲得する。しかも、試合で大事なポイントまで決めている。その時の試合後のインタビューでの「コービーがボールをパスしてくれたんだ!」は、NBAファンならば思わず爆笑してしまう名言だ(コービーはパスしない事でも有名)。でも、一つだけ不満だったのが、メッタ・ワールド・ピースという名前に改名したのは、かなりの衝撃的なニュースだったのに、なぜかそれについてはこのドキュメンタリーで特に触れていないこと。それも知りたかった。そして、映画タイトルはメッタ・ワールド・ピースじゃなくて、ロン・アーテストなのかも知りたかった。

彼が改名したメッタ・ワールド・ピースのメッタは、パーリ語で、慈の意味があるそうだ。NBAチャンピオンになって引退した彼はとても充実しているように見えた。現在の彼の慈しみの心は世界を平和にするかは分からないけれど、少なくとも彼自身と彼の周りは平和にしていると感じた。

(4.25点:1704本目)
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