SOUL * BLACK MOVIE

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて

Quincy / クインシーのすべて (2018) (VOD) 1654本目

音楽の神様が愛し微笑む偉人『クインシーのすべて』

クインシー・ジョーンズ。Q御大。そういえば、何で今まで映画になっていなかったんだろう?ドキュメンタリーだけでなく、ドラマ作品として自伝映画が作られるべき人物である。頭で彼の偉大さを理解していたつもりだけれど、このドキュメンタリーを観て、改めてその偉大過ぎる偉大さにひれ伏した。この映画を語る上で欠かせない映画が『Keep on Keepin' On / 日本未公開 (2014)』。Q御大の師匠でありメンターであり憧れの人物、クラーク・テリーを追ったドキュメンタリー映画。Q御大がプロデューサーを務めた。そんな事もあり、その映画の監督アラン・ヒックスが、Q御大の娘ラシダ・ジョーンズと共に共同で監督した作品。

クインシー・ジョーンズスミソニアン博物館のアフリカン・アメリカン館のオープニングセレモニーのプロデュースの話が舞い込む。そのセレモニーが無事に終了するまでが追われ、それと同時にクインシーの人生が語られていく...

いきなり映されるのが、Q御大の家に飾ってある超一流エンタテイナーたちとの写真や、夥しい数のプラチナ&ゴールドディスクのフレーム、そして映画のポスター。広い部屋の壁一面に飾ってあるが、恐らくそれはQ御大にとってはごく一部に過ぎない。ポッドキャストの録音でQ御大の自宅に訪れたドクター・ドレが「わーお!」とそれを見て感嘆の声を上げる。ドレは「自分が誰だかご存知ですか?クインシー・ジョーンズですよ!」と、あのドクター・ドレのテンションを上げてしまうQ御大という存在。っていうのが冒頭の2-3分。ここから怒涛のQ御大伝説が語られていく。愛娘ラシダ・ジョーンズが撮影した映像も多く、実にフランクにありのままを話していく。「いつでも書けるように音楽帳とペンは常に自分の側に置いておくんだ。じゃないと神様は(ヘンリー・)マンシーニの方に持っていっちゃうんだ」とか、そんなQ御大の語る言葉こそ、全てメモ書きして自分の周りに残しておきたくなる言葉ばかり。

そんな風に音楽の神に愛されたQ御大は、クラーク・テリーのドキュメンタリーでも感じたけれど、音楽への強い愛を感じる。そして先駆者への愛も非常に強く感じた。この映画の中でも何度もクラーク・テリーの名前が出てきて、クラーク・テリーが微笑む姿が私の頭に浮かびました。そして後輩とか後続へは本当に優しい。ちゃんとアドバイスするし、しかも褒め上手。オープニングセレモニーで歌った若い2人の女の子が褒められた時の彼女たちのリアクション良かったですよねー。彼女たちはQ御大のあの褒め言葉があるから、これからどんな辛い事があっても音楽を嫌いには絶対にならないと思うし、続けると思う。

それにしてもラシダ・ジョーンズが、お母さんのペギー・リプトンにそっくり。特に声。同じだね。2パックの話が出てくるけれど、2パックと姉キタダの話は無かった。2パックと話し合った事は語られているが、揉めたというか、2パックに言われた事は語られていない。何ていうか、この映画を観たら、ラシダがQ御大の子供の中で一番発言力があるのかな?と思った。

レスリー・ゴアの曲がビルボードで1位になった時、2位が坂本九の「上を向いて歩こう」だった!のを私は見逃しませんでしたよ。これから見る方はそのシーンをチェックしてみてください。あと、ケンドリック・ラマーだは会話中になぜかQ御大に毎回聞き返されるのが、ちょっと面白かった。そして写真撮影の時のQ御大のお茶目さも素敵でした。

そうかー、レッド・フォックスの『Sanford and Son / 日本未放送 (1972-1977)』のテーマ曲もQ御大でしたね!私の人生、これまでに随分と意識せずともQ御大の音楽に触れ、そして楽しんできたんだなーと改めて思いました。音楽の神に愛され続けている偉大過ぎる偉人。

Quincy / クインシーのすべて (2018)(4.75点:1654本目)

2019年ゴールデン・グローブ賞ノミネート

2019年ゴールデン・グローブ賞ノミネートのまとめ
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2019年1月6日発表のゴールデン・グローブ賞のノミネートが発表。今年は映画ドラマ部門作品賞でブラックムービーが3作も入るという快挙を成し遂げたのと、140字じゃ収まり切らないので、ブログでまとめます。

まずその映画ドラマ部門作品賞にノミネートしたのが、『Black Panther / ブラックパンサー (2018)』、『BlacKkKlansman / ブラック・クランズマン (2018)』、『If Beale Street Could Talk / ビール・ストリートの恋人たち (2018)』(発表順)の3作品。他はブラッドリー・クーパーの『アリー/ スター誕生』とクイーン自伝映画『ボヘミアン・ラプソディ』。『ブラックパンサー』に関しては、マーベル映画での作品賞ノミネートは確か異例で快挙。『ブラック・クランズマン』は、スパイク・リー監督にとって『Do the Right Thing / ドゥ・ザ・ライト・シング (1989)』以来ぶりのゴールデン・グローブ賞ノミネート!『ビール・ストリートの恋人たち』はまだ全米公開前なので、私も未見の為深い事は書けませんが、バリー・ジェンキンス監督は『Moonlight / ムーンライト (2016)』以来、ハリウッドで確実に信頼を得た監督となった証拠である。

そして映画ドラマ部門主演男優賞には、『ブラック・クランズマン』のジョン・デイヴィッド・ワシントンがノミネート。あの偉大なる俳優であり、ジョン・デイヴィッドの父であるデンゼル・ワシントンですら、初主演作品でノミネートは果たしていない。ちなみにデンゼルの初主演映画アメリカ作品は『The Mighty Quinn / 刑事クイン/妖術師の島 (1989)』。初主演映画はイギリス映画『For Queen & Country / 女王と祖国のために (1988)』。ちなみに初主演作品はTV映画の『License to Kill / ライセンス・トゥ・キル 殺しのライセンス (1984)』。と、デンゼル父はジョン・デイヴィッドほど恵まれていなかった。デンゼルが初のゴールデン・グローブ賞ノミネートとなったのは、『Cry Freedom / 遠い夜明け (1987)』の助演男優賞。その時はノミネートだけで、2年後に『Glory / グローリー (1989)』にて助演男優賞受賞。主演に至っては、『Malcolm X / マルコムX (1992)』にて初ノミネート。主演男優受賞は7年後の『The Hurricane / ザ・ハリケーン (1999)』にて。その後5回ノミネートしているが、受賞はたった1度きり。偉大なる父を超えられるのか?非常に楽しみである。ちなみにジョン・デイヴィッドは母似だと私は思う。(どうでもいい事だが)
『ブラック・クランズマン』は、スパイク・リーが監督賞ノミネート、共演のアダム・ドライバー助演男優賞ノミネートと、4部門でのノミネート!日本では3月から公開!首を長ーーーーーーーくして待っていて欲しい。

ブラックパンサー』は作品賞、そして最優秀オリジナルスコア、最優秀オリジナルソングの3部門でノミネート。という事で、作品と曲の良さが認められている。が、私は不満だ。ライアン・クーグラー監督は監督賞と脚本賞(ジョー・ロバート・コールと共作)に選ばれても良かった。あと助演男優賞マイケル・B・ジョーダン助演女優賞ダナイ・グリラが入っても良かった。いやノミネートされるべきであった。ゴールデン・グローブ賞には衣装とかセット部門がないので、オスカーではもうちょっと多くの部門でノミネートされる筈である!

『ビール・ストリートの恋人たち』は、『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督最新作。作家ジェームス・ボールドウィン原作の作品。作品賞の他に、ベテラン女優レジーナ・キング助演女優賞ノミネート。レジーナ・キングはTV映画部門の主演女優賞に『SEVEN SECONDS』でもノミネートしている。どちらかの受賞は期待出来る!そして監督でもあるバリー・ジェンキンス監督が脚本賞にもノミネート。という事で、『ブラックパンサー』と並び3部門でノミネート。日本公開は2月22日から。

他には、『グリーン・ブック』のマハーシャラ・アリが映画ドラマ助演男優賞にノミネート。こちらの作品はコメディ・ミュージカル部門の作品賞を含め5部門でノミネート。

これから全米公開予定の『Spider-Man: Into the Spider-Verse』がアニメ部門でノミネートし、監督の1人であるピーター・ラムゼイの監督作品として 2度目ゴールデン・グローブ賞ノミネートとなった。

TV部門では、アマゾン・プライム『Homecoming』にて、ステファン・ジェームスがドラマ部門男優賞にノミネート。ジェームスは『ビール・ストリートの恋人たち』の主演男優でもある。

人気TVシリーズAtlanta / アトランタ (2016-Present)』は、作品賞のノミネートは逃したが、ドナルド・グローヴァーがコメディ・ミュージカル主演男優賞にノミネートしている。グローヴァーは2年前の2017年に同賞を受賞。その時は作品賞にも輝いており、話題になった。

そしてこの部門の常連になりつつある『ウエストワールド』のタンディ・ニュートンTVシリーズ助演女優賞にノミネート。ニュートンは去年エミー賞の方で同じTVドラマシリーズ助演女優賞を受賞している。

と、長くなりましたが、まとめてみました。悔しいのは『ブラックパンサー』の監督と脚本と助演ですかね!

Golden Globes

Slice / 日本未公開 (2018) (VOD) 1653本目

チャンスに巡り合えるチャンス少ない『Slice』

若手ラッパーを代表するチャンス・ザ・ラッパーの本格的スクリーンデビュー作。チャンスのミュージックビデオを手掛けるオースティン・ヴェズリーにとっても長編スクリーンデビュー作。チャンスと言えば、『Get Out / ゲット・アウト (2017)』の劇場公開の時に早い段階で劇場を貸し切って無料開放した有名人の1人。そんな訳もあるのか、無いのか... なんとなく『ゲット・アウト』ぽさを感じるホラー・コメディ!そして『Moonlight / ムーンライト (2016)』や『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』などの佳作を量産しているA24が制作。ちなみに、2019年サンダンス映画祭に正式参加する『Native Son / 日本未公開 (2019)』もA24制作。

キングフィッシャー(架空)は、ゴーストと人間が共存する町。そんな町でピザ屋のデリバリー(オースティン・ヴェズリー)が何者かに殺された。市長(クリス・パーネル)が事件についてリポーター相手に話していた。そして取材をするのが地元新聞社のサディ(リー・グレイ)。ピザ屋の店長ジャック(ポール・シェアー)は、町の団体「ジャスティス40000」のヴェラ(マリリン・ドッツ・フランク)らの集会を横目に、残りの店員たちに仕方なく今日は休んでいいと話した。しかし、ニュースを聞いてアストリド(ザジー・ビーツ)が戻ってきた。アストリドにはある目的があった。

と、プロットに主役のチャンス出てこないしー!だって、映画自体に中々出てこないしー!!!!!!ちゃんとチャンスの顔が披露されるまで40分... 計ったよ。ちなみにこの映画1時間20分ちょいと短めなので、約半分ほど主役のチャンスの顔が拝めない。いくら何でも勿体ぶり過ぎ、焦らし過ぎ!という事で、主役なのに半分も出ていないのです。結論から言うと、チャンスの演技は悪くない。上手い!って程ではないが、下手ではない。演技を積めば上手くなれるレベル。だから勿体ないかな。アイス・キューブとかトゥパック・シャクールみたいに、最初からいい監督や脚本に巡り合っていたら、俳優としても大成したかもしれない。あまり演技には興味を持てなかったという記事見つけたし。でも裏方は好きなので、そっちに進むかも?と。勿体ない!

映画は確実に『ゲット・アウト』の影響が見られる。冒頭の市長のキャンペーンCMとかがそう。それに、フライング・ロータスの『Kuso / Kuso (2017)』みたいなグロテスクさもある。なので今時な独特な雰囲気を感じるけれど、それに付随する物語が意外と普通。

Slice / 日本未公開 (2018)(3点:1653本目)

The Bobby Brown Story / 日本未公開 (2018) (TV) 1652本目

ありのままのボビー『The Bobby Brown Story』
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ボビー・ブラウンティーンから絶大な人気を誇ったニュー・エディション(以下NE)でデビューし、早々にソロに転身。2枚目のソロアルバムが大ヒットしソロとしても成功。しかし一方でプライベートのトラブルも絶えず「バッド・ボーイ」としての印象が強かった。そしてR&B界のプリンセスと言われたホイットニー・ヒューストンと結婚。と、色々あったボビー・ブラウンの自伝映画。去年、ボビーが所属していたNEの自伝映画『The New Edition Story / 日本未公開 (2017)』と同じくBETにて放送。NEは3夜連続、ボビーのは2夜連続で放送。ちなみにNEの放送は、BETの歴史を変える程の視聴率を獲得している。(NEの時にも書きましたが)大のNEファンの私が見た『The Bobby Brown Story』。

ボビー・ブラウン(ウディ・マククレイン)は、ストレッチャーで手術室に運ばれていた。ボビーは自分が11歳の頃、故郷ボストンの公園で友人と遊んでいた頃を思い出していた。友人のジミーとバスケットボールで遊んでいた所、盗まれそうになった自転車を守ろうとしたジミーはその時・・・・・・ それから時は過ぎ5年後、ボビーはNEから謹慎させられ、またボストンの実家に戻ってきていた。母はNEがボビーを脱退させるのではないか?と不安になっていた。大学でジャーナリズムの学士を取得した兄トミー(メキー・ファイファー)を自分のマネージャーにして、ソロ活動していく。

という感じで、ソロ転身後が主に描かれ、兄トミーや家族との関係、そしてホイットニー、ホイットニーとの娘ボビー・クリスティーナとの関係も描かれている。なのでNEは殆ど出てこない。ラルフ・トレスヴァント(アルジー・スミス)とジョニー・ギル(ルーク・ジェームス)とリッキー・ベル(イライジャ・ケリー)だけ、特別カメオ出演ロニー・デヴォーとマイケル・ビヴィンスは出てこない。でもNEのメンバーが出てきた時には、ファンにとって「ああやっぱりボビーとラルフって仲が良いんだ」とか、「リッキーにしかあれは止められなかったかもしれない」とか「あの時ジョニーが居てくれて良かった」と、それぞれに深い絆を感じる良いシーンなのです。そして終盤でボビーが1人で「キャンディ・ガール」を踊るシーンも最高だった!と、NE絡みは本当に良い場面になってこの映画を盛り上げてくれた。

そしてソロ転身後の2枚目のレコーディングシーンも最高だ。ベイビーフェイスとLAリードを見た時のボビーの反応とか無茶苦茶笑える。レコーディングでボビーが勝手に歌詞変えちゃったり、そしてボビー自らテディー・ライリーを切望した所などは、ファンも知りたかったところ。「My Prerogative」の衣装の秘話も笑えた。こういう所は、ミュージシャンの自伝映画の醍醐味。最高だった!

そしてボビーと言えば、ホイットニー。ホイットニーの映画でもそうだし、今回もそうなのだけど、2人は本当に愛し合っていたというのはよーく分かる。しかも何だか楽しそう。ボビー親族の葬儀でボビーじゃなく、ホイットニーが歌い独壇場になっていたのは面白かった(しかも離婚後)。ホイットニーの遺族は、麻薬関係はボビーのせいだと罵り、ボビーはホイットニーは自分と会う前からやっていたと言う。麻薬関係は、2人とも悪かったんだと思う。けれど、この映画の中である時期を境に、ボビーは麻薬をきっぱり絶ったと描かれている。そしてそれ以降の法トラブルは、なぜか運悪く巻き込まれた的にぼんやりと描かれている。娘のボビー・クリスティーナの晩年の部分も、そういう感じで自分は何も知らないという感じでぼんやりと描かれている。ボビーと今の妻アリシアとの出会いから交際に至るまでも随分とクリーンに描かれている。この映画はボビーとアリシアがプロデューサーとして参加しているので、都合の悪い所は自分たちの描きたいように描いているのが透けて見えてしまった。なんていうか、アリシアが出てきてから物語がご都合主義なんです。

そりゃ、私だってホイットニーとの事は知りたい。でもそれだけじゃなくて、あの時期にだってボビーは良い曲作っていた。ホイットニーとのデュエット曲も好きだったし、かなり後半にダミアン・マーリーだったかジギー・マーリーだったかとの共作もかなり好き。そういうのも見たかった。ミュージシャンの自伝映画なんだけど、「Don't Be Cruel」のアルバム以降は自分の曲が映画のサウンドトラックになっていないのが辛い。あと、ボビー・クリスティーナ役の人が、あの特徴的な歯まで一緒で(特殊メイク?)似ているし、ビックリした。

最後は良かった。ボビーの曲で息子(本人!)が踊り、ボビーも踊っているけれど、みんなは息子に注目して、誰もボビーを見ていない。それでもボビーは満足そうに笑顔。ボビーのヒット曲「My Prerogative」もそうだけど、ボビーは良くも悪くもありのままの自分でいたいと常に願う人。この映画でもそれは凄く感じた。

The Bobby Brown Story / 日本未公開 (2018)(3.5点:1652本目)

映画秘宝 1月号

11/21(水)発売の映画秘宝1月号にて、ハル・ベリー主演『マイ・サンシャイン』について寄稿と、オールタイム・アメコミ映画キャラ総選挙!に参加させて頂いております。
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『マイ・サンシャイン』は、ロサンゼルスのサウスレントラルで頼る親が居ない子供たちの面倒を見ているフォスター・マザーを演じているのがハル・ベリー。1992年に起きたロサンゼルス暴動の最中のその家族を描いた作品。暴動が起きた事で、その家族にも色々な事が起きてしまいます。私の一押し若手俳優たちが出ております。ちなみにこの↓ツイートのJujuくん役が、この映画ではウィリアムくん役です。この映画の中でもチョイ悪で色々と引っ掻き回す役。

と、詳しくは紙面にてよろしくどうぞ。

オールタイム・アメコミ映画キャラ総選挙!では、読者の方たちに交じって私も好きなアメコミキャラ3人を選出。って、ばればれー(笑)。もうあの人しかいないっしょ!と思っている貴方!!さてどうでしょー。ま、2位3位を楽しんでくださいな。原稿はスタン・リー他界の前に書きました。あの悲しいニュースを聞いたあと、本当に好きなヒーローはスタン・リーだったかもしれない...と、思いました。1位は驚きですよ!本人に伝えたい!物凄く喜ぶだろうなー。

という訳で、ジャック・ニコルソンのジョーカーが憎々しい最高の笑顔で降臨している映画秘宝1月号をよろしくお願いいたします。

映画秘宝 2019年 01 月号 [雑誌]

映画秘宝 2019年 01 月号 [雑誌]

BlacKkKlansman / ブラック・クランズマン (2018) 1651本目

大好きなスパイク・リーが戻ってきた!!!

スパイク・リー久々の話題作!カンヌ映画祭でグランプリを受賞!グランプリっていう名前が1位ぽいけれど、1位に当たるのがパルム・ドールでグランプリは2位。邦画『万引き家族』がパルム・ドールを受賞したので、日本でもかなり今年のカンヌ映画祭が話題になりましたね。もちろん邦画がパルム・ドールに輝いた事は心底嬉しいけれど、正直それ以上にスパイク・リーのグランプリが嬉しかった!何ていうか、最近のスパイク・リー映画は元気も無かったし、何よりも認められる事が少なかった。何かもうダメなのかな?なんて正直思っていた所なので、そのスパイクが元気を取り戻し復活してくれた事が心から嬉しかった。そして認められた事が何より嬉しい。やっぱりこのお方が元気じゃないとブラックムービーは盛り上がらない!という訳で...

Gone with the Wind / 風と共に去りぬ (1939)』の映像が流れ、ケネブリュー・ボーリガード医師(アレック・ボールドウィン)が現れる。ボーリガードは黒人と白人は融合すべきではなく、黒人は著しく劣っていると力説し、リトルロック・ナインキング牧師を侮辱するのだった。時は変わり1970年代初頭のコロラド州コロラド・スプリングスの警察署で、若い黒人のロン・スタルウォース(ジョン・デイヴィッド・ワシントン)が面接を受けていた。街にとって最初の黒人警官となるロン・スタルウォース。早速、街で抗議集会を計画しているクワメ・トゥレ aka ストークリー・カーマイケル(コリー・ホーキンス)たちの集会にスパイとして潜り込めと命令を受ける。その集会で出会ったのが、地元の大学で黒人ユニオンを結成しているパトリース(ローラ・ハリアー)。2人は交際するようになる。そしてロンはインテリジェンス部に移動。刑事として活躍できるようなった。ある日読んでいた新聞にクー・クラックス・クランKKK 白人至上主義結社)のメンバー募集の広告を見つけ、電話すると...

スパイクぽく色々と詰め込んでいる。なのでいつも通り長い。でも今回は無駄がなく、色々と詰め込んだお陰で、最後のスッキリ感とかしてやったり感とかが倍増している。もう随所にトランプ政権への批判を感じる。実は『Black Panther / ブラックパンサー (2018)』にもトランプ批判は潜んでいるのだけど、それよりも実に分かりやすく、この映画には存在している。スパイクとしてはトランプ政権になって、この物語を映画化しようと思ったというのもあるのではないかと思う。そういう部分が随所にあったからこそ、この映画のラストは悔しさで一杯になる。ちなみにこの映画がアメリカで上映開始になった日がシャーロッツビル事件の丁度1年後。観客を凄く悔しくさせる。これでいいのか!こんな奴がトップでいいのか!と。スパイクは、この映画のプロモーション中に、「この映画はKKKのデヴィッド・デュークやトランプにも見てもらいたい」と語っていた。でも、彼らは絶対に見ない。KKKの奴らだって絶対に見ない。それも実に悔しい。

主役を演じたジョン・デイヴィッド・ワシントンが実に活き活きしていて最高だった。明るいというか、天真爛漫というか、迷いが無いというか... いい意味での御曹司の雰囲気や佇まいが、この映画の主人公にピッタリだった。デンゼル・ワシントンの息子という大きすぎる看板を背負っているけれど、それだけじゃなく、彼自身のポテンシャルを最近感じる事が多くて、これからが本当に楽しみ!デンゼル様、DNAレベルで「優秀で持ってるわー」と思いました。

ところで、私が劇場で見た後、長い映画だったので速攻でトイレに駆け込んだのですが、そこで50代・60代であろうご婦人2人が話しておりました。デンゼルの息子なのよねーとか色々。そのうちの1人が「2時間ある映画だから寒さ対策でパンツにした!」と仰っており、流石長年スパイク・リー映画を楽しんできた達人、分かってらっしゃる!と思いました。

そして、いつも行く劇場だったのですが、チケット切る所でいつもは無い荷物検査がこの時だけありました。最初戸惑ったけれど、席についた時に「そういう事か」と分かりました。凶器チェックだったんですね。そしていつも通り前の方の席を陣取っていた私は、「私が一番最初に殺されるわ」と思い、初めて劇場で怖い思いをし、ゾッとした。そういえば、うちの近所のNAACP(全国有色人種向上委員会)の事務所に、つい先日「出ていけ、ニ×ー!」という落書きが見つかったばかり。KKKがまだまだアクティブな情けない州に住んでいるんです。彼らは見に来る訳じゃなく、攻撃しにやってくる可能性があるという事だ。悔しい。実に悔しい!!

BlacKkKlansman / ブラック・クランズマン (2018)(5点満点:1651本目)

Blindspotting / 日本未公開 (2018) 1650本目

ダヴィード・ディグスのオークランド物語『Blindspotting』

ヒップホップを取り入れて話題そして人気となったリン=マニュエル・ミランダの舞台『ハミルトン』に出演し、一躍有名となったダヴィード・ディグス主演・脚本・制作の作品。ディグスは、ブラウン大学では陸上もやっていたが、専攻は演劇で学位を取得。実験的なヒップホップもやりつつ、そのまま演劇の世界に進み、地元サンフランシスコの舞台に立っていた所、リン=マニュエル・ミランダに見い出され、『ハミルトン』に出演。生まれも育ちもカリフォルニア州オークランド。そのオークランドで共に青春を過ごした親友で俳優のラファエル・カサールと共演、そして脚本を共作したのがこの作品。

カリフォルニア州オークランド。コリン(ダヴィード・ディグス)は、あと3日で保護観察が終わる。ハーフウェイ・ハウスに住みながら、引っ越し屋の仕事を真面目にこなし、3日を無事に過ごそうと思っていた。一緒に仕事をしているのが親友のマイルス(ラファエル・カサール)。マイルスは自分が法の世話になっていないこといい事に、衝動的でコリンをトラブルに巻き込ませる。やっと一日が終わる...引っ越しトラックで戻ろうとした時、交差点で止まっていた所、黒人男性が警官に追われ、そして目の前で背中を撃たれて死んだ... あと2日間、コリンの保護観察が終わる予定だが...

ちょっと分かりにくいかな?保護観察中にトラブルになると、また刑務所にすぐ戻される。普通の社会生活の準備期間みたいな感じ。普通に戻れるのか「試される」という意味合いが強い。ハーフウェイ・ハウスも普通の生活に戻る前の準備期間ではあるが、「監視されている」感じが強い。この映画でもそうだったけれど、門限とかある。まあでもこの映画のハーフウェイ・ハウスはまだマシな方。LAでハーフウェイ・ハウス見たけれど、隣に酒屋があったりで日中から死んだ目をした人が路上でボーっとしていたり喧嘩していたりと、色々とカオス。ゾンビの館ぽかった。あまり更生させる気を感じさせない。

そしてこちらはダヴィード・ディグスの生まれ故郷だからという理由ですが、何でしょう、このオークランド舞台映画ブーム!火付け役はもちろん『Fruitvale Station / フルートベール駅で (2013)』や『Black Panther / ブラックパンサー (2018)』のライアン・クーグラー監督。この映画でもマック・ドレとかMistah F.A.B.、さらにはタワー・オブ・パワーなんてオークランド出身アーティストの曲がふんだんに使われている割りには、ライアン・クーグラー作みたいに急にE-40の真似で「hella」とか言いたくなるようなオークランドぽさを感じなかった。町が映画の個性になっていない。何か「使いました!」って感じなんですよね。

物語は、最近の警察官による行き過ぎた暴力、そして判断の悪さを描いた見ごたえある作品。肝心な所はラップになっているのも『ハミルトン』で鍛えられたダヴィード・ディグスという感じ。

Blindspotting / 日本未公開 (2018)(4.25点:1650本目)