SOUL * BLACK MOVIE

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて

ブラックムービー ガイド

本日(2018年10月15日)から拙著「ブラックムービー ガイド」が発売になります。

1980年代にスパイク・リー監督がスクリーンに誕生してから、2018年に世界中を席巻した大ヒット作『ブラックパンサー』にまでの繋がりを書きました。なぜ、ブラックムービー誕生から書かなかったのか?とお思いかもしれません。それは、私にとってのバイブルとも言える井上一馬氏の「ブラック・ムービー―アメリカ映画と黒人社会」に載っていることなので、いいかな?と。とはいえ、説明程度でそれまでの流れを軽く触れておりますし、随所でブラックムービーの歴史は触れております。そして何と言ってもスパイク・リー監督のスクリーンに登場した瞬間から、近代のブラックムービーは始まっていると思うのです。もちろん、70年代のブラックスプロイテーションも重要なので、随所で話題は出てきます。

色んな作品を紹介したくて、色々と詰め込もうと試みましたが、それでも限度があり、ページ数の関係で削除した箇所・項もあります。削除しなかったら500ページ位書いていたかもしれません。正直、削除してしまって心残りな作品もあります。『The Five Heartbeats / ファイブ・ハートビーツ (1991)』とか『Candyman / キャンディマン (1992)』とか。『Cool Runnings / クール・ランニング (1993)』は、日本でも知名度が高いので載せなきゃダメなんですけどね。御手に取って頂いた方の中にも「あれ?あの作品は?」と思う事もあるかもしれません。本当に申し訳なく思います。

その割には『Malcolm X / マルコムX (1992)』に19ページ、そして『Black Panther / ブラックパンサー (2018)』には18ページと、扱いが違い過ぎるだろ!という感じなのですが、ご了承いただきたい。『ブラックパンサー』については、書きたいと思っていた事を全て出し切った感があります。

これは読んでくださった皆様には全く興味のない事なのですが、実は執筆中、ずっと禁酒しました。書くまで死ねないなと。死んでしまう危険を少しでも自分なりに回避しました。3月か4月位から書き始め、発売日に飲もうと思っていたのですが、『ブラックパンサー2』が発表された日に、ブラックパンサーのコップで祝杯をあげました。もう完成していたので、今日死んでも出版社さんにご迷惑はお掛けしないと思い解禁しちゃいました。実に美味しかったです。

このような夢のようなお話を頂いたスモール出版の三浦さまには大変感謝しております。色々とご迷惑もお掛けしたことと思います。長きに渡って色々なアドバイスをありがとうございました。三浦さまのお陰で最後まで完走することが出来ました。そして、デザインを担当して頂いた餅屋デザインの折田さま。この本を最後まで読んで頂いて、表紙などの色に注目して頂くと、その素晴らしさに改めて気づいてもらえると思います。そのような素敵な装丁デザインありがとうございました。映画秘宝の馬飼野さま。何度感謝を述べても足りない位であります。今回も含め、いつも為になるアドバイスや金言を誠にありがとうございます。他にも感謝を述べたい恩人が沢山おります。いつもメールやツイッターフェイスブックなどでメッセージを送って頂いたり、リツイートやハートマークを付けてくださる方々にも大変感謝しております。思っている以上に励みになるのですよ。ページ関係で削除してしまったんですが、「EXILE三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEの岩田剛典(ふりがな付きで本に出てくる...うふ😘あの映画のインパクトを語る上でこんな好例は他に居ないでしょ!)」が語られている部分で、当時あの映画が公開された時にその映画に影響を受け、岩ちゃんと同じように大学でダンスをしているとメールを頂いたのが、今でも忘れられません。あの時、私はまだ若く尖っていたので、あまりうまく励ますことが出来なかったという心残りと共に。御活躍されていることを祈っております!覚えていたら是非またメール送って頂けたら光栄です!

6か月間ほど、あまり発達していない脳を酷使し、午前中に集中して書いて、午後にヘロヘロになっておりましたが、それでもやっぱりブラックムービーが好きなんだなーと改めて思いました。

是非、御手に取って一読頂けたら、非常に幸せであります。よろしくお願いいたします。

Uncle Drew / アンクル・ドリュー (2018) 1649本目

NBAの仲間意識を感じたが疎外感は感じない『アンクル・ドリュー』

カイリー・アーヴィング。NBA界のスーパースター!!!と言っても、正直NBAを余り知らない人は彼の事は知らないんじゃないかというのは、私も理解している。凄い選手なのですよ。NBAを余り知らない人でも、レブロン・ジェームスやコービー・ブライアント位までは知られている筈。そしてNBAを全く知らない人でもマイケル・ジョーダンは知っている事と思う。カイリーはまだそこまでではないのは承知。レブロン・ジェームスの元同僚。同じチームのクリーブランド・キャバリアーズに所属し、チーム優勝に貢献した一人。現在は歴史あるボストン・セルティックス所属。ドラフト1位(これって超凄い事なんです!)。そんなカイリー・アーヴィングが出演していたペプシのコマーシャルでアーヴィングが扮したのがバスケが超上手い老人「アンクル・ドリュー」。そのキャラクターを映画化したコメディ作品。『Get Out / ゲット・アウト (2017)』で有名になったリルレル・ハウリーが出演。他の元NBAWNBA選手もわんさか出演。

ESPNの人気映画シリーズ『30 for 30』でニューヨークの有名なストリートバスケの聖地ラッカーパークについて放送していた。その中心にいた伝説的な選手がアンクル・ドリュー(カイリー・アーヴィング)。ディケンべ・ムトンボ等がドリューの伝説を語っているが、アンクル・ドリューは突如として消えてしまったいう。そして、今年もラッカーパークのストリートバスケのトーナメントの時期になった。ダックス(リルレル・ハウリー)はコーチとして優勝を目指していたが、ライバルのムーキー(ニック・クロール)にいつも邪魔され負けてしまう。今年は恋人ジェス(ティファニー・ハディッシュ)やチームまで奪われた。落ち込むダックスの目の前で凄いプレーを連発する老人が現れた!半信半疑だったが、その老人がアンクル・ドリューだった。ダックスはアンクル・ドリューに頼み込み、チームの一員になって貰おうとした。アンクル・ドリューは、「俺が選んだ選手のチームならば」と承諾する。アンクル・ドリューが選んだチームとは、彼とかつて一緒にプレーしていたお爺ちゃん選手だった...

分かっている。NBA映画ってどうも内輪受け映画になりがち。NBAを知らないと笑えないジョーク連発されるし、選手の詳細を知っていないと笑えない映画が少なくない。今回は、意外とそれがない。正直、上で書いたカイリー・アーヴィングがアンクル・ドリューになった経緯なんて知らなくても笑えるし、何ならカイリー・アーヴィング知らなくてもオッケー!『Drumline / ドラムライン (2002)』のチャールズ・ストーン3世監督らしくテンポ良くぽん、ぽーん、ぽーーーんと進むので笑える。ちなみにチームメイトとなるお爺ちゃん軍団には、元LAレイカーズで元『Steel / スティール (1997)』のハンマー野郎シャキール・オニールはもう説明不要の巨人、元ワシントン・ウィザーズのクリス・ウェバーは大学バスケの申し子(色々スキャンダルありますが...)、元インディアナ・ペイサーズレジー・ミラーは3ポイントの達人でスパイク・リーの喧嘩相手、元NYニックスのネイト・ロビンソン175㎝と小さいながらスラムダンクコンテスト3勝!と、個性派軍団。なのだけど、何度も書くけど、そんな知識要らない映画。ただ一つ、知っていると笑えるジョークがあったけれど、クリス・ウェバーの超ーーーーーーーーーーマニアックなネタ(大学時代のタイムアウト・ミスで優勝逃したヤツ)で、アメリカ人でも知っている人少ないわ!と思いました。唯一ある内輪ネタが超難しいって... シャックのフリースローネタとかの方がまだ知っている人は多い。そしてクリス・ウェバーの奥さん役で出ていたのがWNBAのリサ・レスリー!モデルとしても活躍したスレンダー美人。WNBA発足の頃を支えたスター選手です。

まあ何が可笑しいって、カイリー以外は本物の...御爺さんとまではまだいかないけれど、オジサン元選手。まだまだ体動きますねー。そして意外とクリス・ウェバーが演技上手くて笑った。一番楽しそうだったー。カイリーも演技も上手いし、歌は上手いし、バスケはもちろんだし、何か下手なのあるんだろうか?何だかんだとNBA映画は、毎回スター選手をわんさかと出演させて、気前が良い。それぞれチームや年齢もキャリアも違うけど、縦も横も風通しが良い感じのNBA仲間意識を感じる。NBA選手同士って老若男女で仲が良い!そして、アンクル・ドリューが主役なんだけど、ストーリーの要となるキャラクターをリルレル・ハウリーにやらせたのも良かった。そのリルレル・ハウリーの昔からの仲間で同時期にブレイクしているティファニー・ハディッシュがサポート役。キャスティングが上手くハマった。

っていうかさ、もう早くNBA始まってくれ!本物のプレーが見たい。(って、これアップする事には開幕しているでしょう...と思ったら開幕に間に合った!来週からNBA開幕だよ。)

Uncle Drew / アンクル・ドリュー (2018)(3.75点:1649本目)

The Equalizer 2 / イコライザー2 (2018) 1648本目

ロバート・マッコール再び参上!『イコライザー2』

トルコ鉄道の車窓から、ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)がいつものように本を読んでいるのが見える。しかし良く見ると、誰かを監視しているようだった。男が食堂車に行ったのをついていくマッコール。タイミングをみて、そこに居た男たちをメッタメッタにしてやった。掛かった時間29秒。彼らもマッコールがお仕置きをしないといけない悪い奴らだったのだ。そしてそれから日は経って… マッコールはボストンでLyftドライバーとして、シェビー・マリブを運転していた...

あの我らの人見知りお助けマンのロバート・マッコールが帰ってきた!!そしてやっぱり凄い人!いきなり、冒頭からアクションをビシバシと決めてくれる。デンゼル様って、あの年になってもアクションをキッカリと決めてくれるのも凄いと思うんですよね。しかもちゃんとスピード感があるのが偉い。たまにデンゼル位のお年の俳優が頑張ってアクションやってくれても、やっぱりどことなく「遅い」「もたついている」っていうのがバレてしまう。でもデンゼル様はそれが一切無い!30秒内に済ませてしまうロバート・マッコールにちゃんと見えるのが、デンゼル様の凄さなんです。アクションシークエンスに関しては、監督のアントワン・フークアとの信頼関係もあるのでしょう。デンゼル様のアクションを魅せることに関しては、フークア監督の右に出るものはいない。

今回、デンゼル様に救われるヒロインは...『Moonlight / ムーンライト (2016)』で一躍有名となったアシュトン・サンダース。『ムーンライト』でもそうでしたが、母性本能をくすぐる何か脆さを感じる青年。彼が『ムーンライト』の前に出ていた『The Retrieval / 日本未公開 (2013)』でもそうでしたが、どうにも助けたくなる青年なのです。私はアシュトン・サンダースを「Mr.母性本能くすぐり犯」と呼んでいる。なのでデンゼル様に助けてもらう為に生まれてきたと言っても過言じゃない程ベストキャスティング。まあ2人が親子じゃないんだけど、それを感じさせるいい感じの雰囲気を出している。そ、そして... 最後泣かせてくれる!デンゼル様は、スーパーヒーローの役は演じた事ないけれど、デンゼル様なりの昨今の「スーパーヒーロー」映画へのアンサーかな!オレこそが!!

この映画のお楽しみと言えば、ロバート・マッコールの読書。毎回、その読んでいる本にも意味があったりする。今回私調べでは...

の4冊。タナハシ・コーツの「世界と僕の間に」に関しては、デンゼル様からの「みんな読め!」の圧を感じましたです。「アメリカの息子」が....も泣けましたね。特別スペシャルな使い方が最高でした。

何はともあれ、ロバート・マッコールの人見知りが徐々に回復してきていて嬉しい。「3」は無さそうだけど、出来ればまたこのスーパーヒーローに会いたい!

The Equalizer 2 / イコライザー2 (2018)(4.75点:1648本目)

Sorry to Bother You / 日本未公開 (2018) 1647本目

お忙しい所恐縮ですが...『Sorry to Bother You』

「お忙しい所恐縮ですが...(Sorry to Bother You)」テレフォンアポイント(通称テレアポ)が多用する言葉。そんなテレアポの世界と現実社会を上手くミックスしながら描いた作品。「The Coup」のブーツ・ライリーによる初長編映画監督作品でもある。2018年のサンダンス映画祭にも出展したが、残念ながら受賞はならず。主演は、『Get Out / ゲット・アウト (2017)』のような話題作から、主演作の『Crown Heights / 日本未公開 (2017)』、更にはTVシリーズAtlanta / アトランタ (2016-Present)』にと大活躍中のラキース・スタンフィールド。共演は『Selma / グローリー/明日への行進 (2014)』にてスタンフィールドと共演しているテッサ・トンプソン。『Fruitvale Station / フルートベール駅で (2013)』を成功させているフォレスト・ウィッテカーがプロデューサーとして参加。そして『Fences / フェンス (2016)』や『Mudbound / マッドバウンド 哀しき友情 (2017)』を成功させて、現在メキメキとプロデューサーとして業界で存在感を出しているチャールズ・D・キングもプロデューサーで参加。

カリフォルニア州オークランドで叔父(テリー・クルーズ)の車庫で寝泊まりしているカシアス・グリーン(ラキース・スタンフィールド)。恋人のデトロイトテッサ・トンプソン)とは上手く行っていたが、定職についておらず、叔父からも家賃を請求されていた。リーガル・ビューという会社のテレアポの仕事を友人のサルヴァドール(ジャーメイン・フォウラー)に紹介してもらって、雇われた。最初は全く上手くいかないカシアスだったが、隣に座っていたベテラン・テレアポのラングストン(ダニー・グローヴァー)から「”白人の声”を使うと良い」というアドバイスを受け、試してみた所、それで大成功を収めるようになっていた。リーガル・ビューの下の階のテレアポから、上の階で特別優遇されるテレアポに昇進するカシアスだったが、下の階のテレアポであるスクイーズ(スティーヴン・ユァン)が労働組合を設立し、サルヴァドールデトロイトもそちらに参加し...

ゲット・アウト』のようなシニカルな笑いや皮肉がたっぷりの作品。『ゲット・アウト』がとても分かりやすい物語だったが、それにフライング・ロータスの『Kuso / Kuso (2017)』的なグロテスクな世界を非常にまろやかにした感じで、その二つの作品の真ん中に位置するような感じで描いた皮肉たっぷりの作品。余りに独特だと観客には伝わりにくいけれど、それがこの映画にはない。独特なんだけど、割りと伝わりやすいメッセージ。でも視覚的にもメッセージ的にも独特でユニークで面白い。そんなブーツ・ライリーの独特な世界にラキース・スタンフィールドとテッサ・トンプソンが非常に馴染み、2人は上手くライリーの世界観を表現している。そして『君の名前で僕を呼んで』のような繊細な映画に出演しながら、この映画では悪役を演じているアーミー・ハマーには驚く。凄い悪い人!『君の名前で僕を呼んで』とのふり幅に思考回路がとまるよ。

ちなみにこの映画に出てくる「白人の声」、黒人同士の会話にも良く出てきます。黒人にとっての「作り声」。『Bad Boys / バッド・ボーイズ (1995)』でも、ウィル・スミスとマーティン・ローレンスが豪邸に侵入する時に、ウィルがお邪魔しますと言ったあと、マーティンが「お前の声にはベース音が効きすぎで、白人を怖がらせちゃうぞ!」って怒るシーンありましたよね。声質だけでなく、言葉遣いとかも含めた「白人の声」。社会に馴染む為に仕方なく作る声だけど、黒人同士となると「お前、何白人ぶってるんだ?」と言う意味でもある。こういう黒人社会と白人社会の微妙な違いの面白さのある映画。

Sorry to Bother You / 日本未公開 (2018)(4.5点:1647本目)

Black Sun / 黒い太陽 (1964) 1646本目

何だかもう色々と凄い映画『黒い太陽』

何と申しますか... 死ぬほどブラックムービーを見てきた。アフリカ映画も大好きで見るけれど、アメリカに於けるアフリカ映画は現在は映画祭が主流で、中々一般にまで届くには時間が掛かる。なので圧倒的にアメリカ映画が多い。所が見続けると、一周するというか、何と言うか... 自分の祖国でのブラックムービーはどうなの?と思ってくる。私が初めて日本のメディアで見た黒人... 全然覚えていない。けれど、調べるとちゃんと居るんですよね。ちゃんと覚えている人では、反町版『GTO』のスペシャルにネジネジ校長中尾彬の娘役の馬渕英俚可の新しい彼として登場してきたサミ・ポップ。「この人だあれ?」とあの反町鬼塚に向かって言っていたあの人。今でもドラマとかでも見かけるよね。そういうのを考えていると、歴史好きな血が騒ぎ、ルーツを見つけたくなるものです。探していている時に出会ったのが、チコ・ローランド。そして見つけたこの作品。アメリカでも見られると知り、そりゃもう見るでしょ!

東京の焼け野原。何かを盗み追いかけられた明(川地民夫)。そんな明の趣味はジャズ。人生そのものをジャズに捧げていると言ってもいい。廃墟の教会に住み、全財産をジャズのアルバムに使っている。盗みや脅しもその為。ジャズに傾倒しているので、黒人も好きだ。なぜなら大半のジャズ演奏家が黒人で、大好きなセロニアス・モンクも黒人だから。国も話す言葉も違っても、ジャズさえあれば分かり合える、そう思っていた。そんな時、白人殺しの容疑で追われていた黒人脱走兵ギル(チコ・ローランド)が明の住まいとなっている廃墟の教会に逃げ込んできた...

生々しい。明がジャズで全てが通じ合うと思っていたのに、通じなかった時の態度や言葉使い... そういうのが生々しい。割と平気で差別語も言ってしまう。好きなのは、セロニアス・モンクのジャズであって、黒人ではない。というか、明の頭の中では黒人はみんな同じだったのだ。黒人はみなジャズが好きで、踊りも出来て、トランペットが上手い。そんな明の一辺倒な考えが子供じみていて、明の短絡的な行動を裏付けている。そして好きだからこそ、色眼鏡で見ていたのだ。何かそういう所にガツンとやられました。そしてそこを通り超してからの人間・明と人間・ギルになってからの葛藤とか心の通じ合いの描かれ方がこれまた素晴らしかった。何となくリチャード・ライトの「アメリカの息子」を思い出させる。けれどその結末の違い。

そしてこの映画の前章的な作品『灼熱の季節』(1960)が奇跡的に、私が『黒い太陽』を見た直後にTV放映されておりまして、夫が録画していたので観ました。こちらにも明とギルが出てくるし、同じシーンすらある。

それにしてもマックス・ローチがこの映画の為に曲を作ったというのも凄い。しかもアビー・リンカーンが歌っている。何だかもう色々と凄い映画だった。

Black Sun / 黒い太陽 (1964)(4.75点:1646本目)

SuperFly / 日本未公開 (2018) 1645本目

割りとオリジナルに忠実な『Superfly』

あの『Super Fly / スーパーフライ (1972)のリメイク作品だ。そう、オリジナルには「あの」を付けたくなるし、太文字にし、更には文字を大きくして目立ちさせたくなるほどの名作だ。ピンプが主役でブラックスプロイテーションだけど、誰が何と言おうと名作だ。どこの何が名作かって、やっぱりカーティス・メイフィールドサウンドトラックは「オールタイム・ベスト・サウンドトラック」のトップテン...どころか、ベスト3にすら入るであろう名曲。こんなにも映画の良さを引き出す曲は中々出会えない。それだけじゃなくて、セリフの随所に70年代にゲトーに住んでいた黒人の生活が垣間見られるのだ。そして主役プリーストを演じたロン・オニールの哀愁。そしてヒロインのジョージア役シーラ・フレイザーの美しさと、それを出し惜しみにしない度胸の良さ。有名写真家でありながら映画『Shaft / 黒いジャガー (1971)』を監督して、ブラックスプロイテーションの新しい波を作ったゴードン・パークスの息子ゴードン・パークス・ジュニアの父親譲りなスタイリッシュさ。全てが見事に融合したのがオリジナル『スーパーフライ』。という訳で、最初にも書いたけれど、今回はそのリメイク作品。舞台はニューヨークのハーレムから、ジョージア州アトランタに変更。

プリースト(トレヴァー・ジャクソン)は、相棒エディ(ジェイソン・ミッチェル)と共にアトランタで麻薬売買で富を築いていた。最近いきがっていて支払いが滞っているリティ(アレン・マルドナド)をしめてきた。女の1人であるシンシア(アンドレア・ロンド)が働いているストリップクラブに出かけて、彼女ジョージア(レックス・スコット・デイヴィス)と落ち合った。そこにはライバル関係ながら良好な関係を築いている「Sno Patrol」の連中が派手に騒いでいた。そのメンバーの1人ジュジュ(カーラン・ウォーカー)がシンシアに軽くあしらわれイライラしていた。クラブから出た所でプリーストにもちょっかいを出すジュジュ。ジュジュは簡単に銃を出し、その銃口をプリーストに向ける...

と、まとめてみたけれど、肝心なスキャターとか新しく登場するメキシコ系カルテルとか入っていない。そう、オリジナルでもジュリアス・ハリス(ブラックスプロイテーションの名バイプレイヤー)が良い味を出していたスキャターのオヤジも出てきます。今回は、『THE WIRE/ザ・ワイヤー』などでお馴染みのマイケル・K・ウィリアムスがスキャター役。なのでスキャターのオヤジとか言えない雰囲気。スキャターのオヤジは、不衛生で不味そうなレストランやっていたけれど、今回のスキャター殿はマーシャルアーツのジムを経営。オシャレな感じでカッコいいし、何しろ強そう。

でもね、現代的にかなりアップデートされてはいるし、舞台も変わったけれど、内容そのものはオリジナルに割りと忠実。プリーストの相棒エディが裏カジノぽい違法ダイスをしていたり、フレディが物語のきっかけになっていたりとか。プリーストのプリティな直毛ロン毛とか。そのロン毛を弄るセリフも面白かった。

が、しかーし!舞台やスケールが広くなった分、黒人コミュニティというのが伝わりにくかった。オリジナルでは、対警官という対立がハッキリとしていて、それで最後にああなるものだから凄くスッキリして最高なのだけど、今回はそれに現代的にメキシコ系カルテルまであったのもある。この話は話で面白かったのではあるが... 黒人コミュニティの声がハッキリとは聞こえてこなかった。このリメイク作ではプリーストとエディの仲間意識は凄く感じるのだけど、オリジナルではそれだけじゃなくて黒人全体の仲間意識が垣間見られたんです。そ、そして!ジョージア役には思い切って欲しかった!オリジナルのあのラブシーンには全然達していない。オリジナルのラブシーンにはそうなるしかない男と女を感じたし、哀愁すら感じた。今回のジョージアにはお高く留まっている感を感じ忠誠心を感じなかった。シンシアのDo or Die感の方が良かった。

一番は、カーティス・メイフィールドとフューチャーの違いですかね。もちろんフューチャーはアトランタを代表するラッパーで素晴らしい楽曲を提供している。現代版にアップデートされていた本作にはピッタリ。でも、やっぱりカーティス・メイフィールドの曲が掛かると「やっぱ、これぇえええええええええええ!これがスーパーフライ!!!!!!」となったのも事実。

SuperFly / 日本未公開 (2018)(3.25点:1645本目)

Breaking In / 日本未公開 (2018) 1644本目

ガッツでタフで敵にはしたくない『Breaking In』
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はい、お約束通り、黒人女優が主役のサスペンス映画第3弾。最終回です。今回の主役はガブリエル・ユニオン。映画ファンには『Bad Boys 2 / バッド・ボーイズ2バッド (2003)』や『チアーズ!』などでお馴染みですね。NBAファン的には、ドウェイン・ウエイドの嫁。NFLファン的にはクリス・ハワードの元嫁。最近、自伝で高校時代にジェイソン・キッドとも付き合っていたと知り、びっくりした。しかもジェイソン・キッドの奪い方が結構エグイ。そこまでガッついてないと、ハリウッドでは埋もれてしまうんだろうなーとは思いました。何ていうか、ガッツがあるというか、タフというか、敵にはしたくないタイプ。友達になるのも怖いタイプ。そんなガブリエル・ユニオンが、2人の子供たちを守るべくガッツがあってタフで敵にはしたくない母親を演じたサスペンス映画。

父が亡くなったショーン(ガブリエル・ユニオン)。遺品や家を整理するために、父の家に2人の子供と向かった。夫は仕事の関係で後から合流する予定。家に着くなり、アラームが鳴っていたが、誰も居ないようだった。夫にも無事に到着した事を伝えると、息子がドローンで遊び始めた。しかし、息子がその時に何者かに捕まった。そして娘も捕まり、ショーンは何とか逃げ切るが、子供2人が捕まり、ショーンは犯人たちに一人で立ち向かっていく...

こちらもハリ・ベリーちゃんの『Kings / マイ・サンシャイン (2018)』同様、母ちゃんは強し!のパターンです。まあ実際に、ガブリエル・ユニオンは上で書いたイメージでガッツがありそうで、実際に腕っぷしも強いんじゃないかと思ってしまっている。なので肝っ玉母ちゃんはピッタリ。この母ちゃんに任せておけば大丈夫だとは思った。

でもストーリー的にはありきたりかと。お約束が多い。最後に「遅い!」みたいな。まあ大体が予定調和。驚きとかはない。

で、黒人女優が主役のサスペンス映画第1弾の時にも書きましたが、なぜこのような映画が増えているのか?ですよね。この映画のプロデューサーの1人がウィル・パッカー。ケヴィン・ハートとの映画でもお馴染みだけど、この人はサスペンス映画が得意で、最初の作品もサスペンス映画。そんなウィル・パッカーの映画が増えているのと、そして黒人女性=強いみたいなイメージがそうさせているんだと思う。彼女たちが主役を演じるならば、そういう役だ!みたいのもあるんだろうと思う。それプラス、サスペンスってドキドキハラハラ、たまにエロみたいなシーンもあったりと娯楽要素も高い。なので、余計に女性が主役のサスペンス映画に需要があるんじゃないかな。(あくまで)イメージとジャンルがピッタリ合ってしまったのです。

Breaking In / 日本未公開 (2018)(3点:1644本目)