SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて


*10/15/2018に「ブラックムービー ガイド」本が発売になりました!よろしくお願いします。(10/15/18)

*映画秘宝 7月号にてジョン・シングルトン追悼記事を寄稿。(5/22/19)
*ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 6月号にて「ブラックムービーとアカデミー賞」の記事を寄稿。(5/7/19)
*ユリイカ5月号のスパイク・リー特集にて2本の記事を寄稿。(4/27/19)
*映画秘宝 6月号の「サノスの倒し方大全!」特集でサノスの倒し方を寄稿。(4/20/19)
*Fridayデジタルにて「激ヤバで面白い『ブラック・クランズマン』はトランプへの挑戦状!」というコラムを寄稿。(3/20/19)
*映画秘宝 5月号にてブラックムービー、スパイク・リー、『ブラック・クランズマン』、『ヘイト・ユー・ギブ』を寄稿。(3/20/19)
*映画秘宝 4月号にて『ビール・ストリートの恋人たち』&『グリーンブック』レビューを寄稿。(2/21/19)
*DU BOOKS 「ネットフリックス大解剖 Beyond Netflix」に『親愛なる白人様』について寄稿。(1/25/19)
*映画秘宝 3月号秘宝ベスト&トホホ10&ドラマ・オブ・ザ・イヤー2018に参加。(1/21/19)
*リアルサウンドにて「ブラックムービーの今」というコラムを寄稿。(1/3/19)
*『ブラック・クランズマン』マスコミ向け試写会用プレスにスパイク・リーについて寄稿。(12/19/18)
過去記事

Shaft / シャフト (2000) 1695本目

2000年版『シャフト』の意味をやっと理解した瞬間

哀れな私をお許しください。この映画公開時、私は全くと言って良い程理解していなかったように思います。今回、『Shaft / 黒いジャガー (1971)』から順番を追ってしっかりと再見してようやく私の間違いに気づきました。その間違い、今回キッチリと正させて頂きます!ジョン・シングルトン監督、大変申し訳ございませんでした。そして、私の間違い、シングルトン監督存命中に気づけていたら... もっともっと…もっと長生きして欲しかったです。

夜、NYの街にパトカーの音が鳴り響き、ジョン・シャフト・II(サミュエル・L・ジャクソン)が現場のバーに到着した。現場検証を開始し、目撃者である筈のバーテンダーの女性ダイアン(トニ・コレット)と話すが何もしゃべらず埒があかない。しかし彼女の顎に血がついていることに気づく。別の女性の証言で、バーに居たウォルター(クリスチャン・ベール)が捕まり、そしてダイアンは忽然と消えた。ウォルターの裁判が始まるが、彼の裕福で権力のある実家が保釈金を払い、そしてスイスへと逃がした。2年後、戻ってきたウォルターを逮捕したシャフト。その留置所でウォルターはヒスパニック系麻薬元締めピープルズ・ヘルナンデス(ジェフリー・ライト)と出会う。そしてウォルターはまたもや保釈金で自由になる。苛立つシャフトは警察を辞職してでも、ウォルターを執拗に追っていくが...

公開時、実は「あんまり面白くないな」って思っていたのです。やっぱりサミュエル・L・ジャクソンはどう見てもセックスシンボルじゃないので、ジョン・シャフトではないと。でも今回オリジナルから再見で通して見て、それで正解だったんだと、やっと気づけた。この映画でもオリジナルのジョン・シャフトを演じたリチャード・ラウンドトゥリーがジョン・シャフトとして登場する。そうなのだ。ジョン・シャフトが演じられるのはリチャード・ラウンドトゥリーだけ。それを分かっていたから、ジョン・シングルトン監督はサミュエル・L・ジャクソンをジョン・シャフト・IIにした。しかもIIだから2世という意味ではあるが、シングルトン監督は単純にジョン・シャフトの息子と設定しなかったのも上手かった。ジョン・シャフトという男は、結婚もしなければ、子供を作ることはしなかっただろう。その仕事と共に心中する覚悟があった男である筈である。いつ死ぬか分からないギリギリで生きていた男だから、子供や妻を遺すということはしなかっただろう。その設定だけで、私は泣いた。勝手な解釈かもしれないが、私は泣いた。オリジナル『黒いジャガー』10作品見続けた後だからやっとそれに気が付けた。公開当時の私にはそれが瞬時に読み取れるほど大人じゃなかったのだ。許してください、ジョン・シングルトン監督。だからこそジョン・シャフト・IIは、サミュエル・L・ジャクソンのオリジナルキャラクターとなった。口数少ないリチャード・ラウンドトゥリーのジョン・シャフト・Iとは全く違う、それこそジャクソンの十八番であるマザーファッカーの叫びが炸裂するシャフト。元々色気の無いジャクソンなので、セックスシンボルな部分も排除させた。時代もセックス=パワーとかいうそんな時代じゃないから。70年代だったら、ヴァネッサ・ウィリアムス演じたカーメンとのベッドシーンもあったことだろう。でも今はそんな時代じゃない。カーメンとは相棒として同等に協力し合う。

そして、『黒いジャガー』では幾度となく対立したシャフトと警察。警察をも出し抜き、コミュニティの為に奮闘した。今回はそんな警察の一部となっていたシャフトだが、いずれそんな所とは決別する様を描いているのも良い。アクションシーンは銃アクションとカーチェイスが主だが、シャフトらしい渋さがあった。

そう、2000年ジョン・シングルトン版『シャフト』は時代に合った面白いれっきとした『シャフト』だったのだ。2000年に作られた意味を感じた。そういう時代背景の違いがあることで、それぞれの監督・主演が時代を紡いでいっているのも分かる。2019年版も同じように感じられるのか...今回こそはしっかりと見届けたい。

(4.5点:1695本目)
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Shaft / 黒いジャガー (1973-1974) おまけ

ついでにTVシリーズ版『黒いジャガー』をおさらい!

70年代の『黒いジャガー』3部作を追いましたが、黒人映画で3部作というだけでも凄いことなのに、TVシリーズ化までしているのです!これって、本当に…本当に凄い事なんですよ。あり得ない位。しかもアメリカ3大ネットワークの1つであるCBSが放送。日本で言う所の「火曜サスペンス劇場」のCBS版とでも書きましょうか... CBSは1時間半のテレビ映画のような作品を放送する「火曜夜の映画劇場」みたいな感じの枠が当時あったのです。なので毎週放送されていた訳じゃなく、色んな作品が交互に放送されており、この『黒いジャガー』も2-3週間置きに放送されていたみたいです。そして、そうなんです。45分程度ではなく、毎回しっかり75分ほどある。

そして、今回はなんとアイザック・ヘイズのアレ(「黒いジャガーのテーマ」)が使えております!でも歌なしのインストゥルメンタル版ですけどね。でも全然ないよりあった方が全然良い!でもテレビ版には、ゴードン・パークス監督も原作・脚本のアーネスト・タイディマンは関係なし。でもタイディマンは「原案・キャラクター」で毎回クレジットはされていたが、直接的に関わってはいないと思う。お金は入っただろうけど。そして映画3部作の最後『Shaft in Africa / 黒いジャガー/アフリカ作戦 (1973)』も前作の2作とは違う顔ぶれだったけれど、このTVシリーズ版もまた全然違う顔ぶれ。主演のリチャード・ラウンドトゥリー以外はみな新しい人たち。なので、『Shaft in Africa / 黒いジャガー/アフリカ作戦 (1973)』とこのTVシリーズShaft / 黒いジャガー (1973-1974)』は、オリジナル『Shaft / 黒いジャガー (1971)』&『Shaft's Big Score! / 黒いジャガー/シャフト旋風 (1972)』とはそれぞれ別物と考えた方が妥当。

とはいえ、エピソードにも寄るけれど、割りと『黒いジャガー』のこと分かってる!という回もある。エピソード1の「The Executioners」などは、シャフトと言えば窓ガラス蹴破りでしょ!って感じで、そんなシーンもあるし、超悪っいシステム側の人たちをやっつける感じがとても良かった。そして、このシリーズ全体で、夜のNYの街をカッコいい車で流すシーンが多かった。でも残念なのがこの時代の映像に多い、暗すぎであまりハッキリと映らない事。ゴードン・パークス監督の時は、暗くても美しく残っているのに。そしてエピソード4「The Kidnapping」では、『黒いジャガー/シャフト旋風』のヘリコプターの名シーンがそのまま使われている!これにはびっくりした。予算的になんでしょうか?でも、ゲストでトニー・カーティスやロバート・カルプなんていう豪華な人たちが出てきたりもする。そして流れるクレジットで最も存在感があるのが、衣装提供の「ボタニー500」。NYの老舗ブランドです。

映画『黒いジャガー』3部作、そしてこのTVシリーズの7作のリチャード・ラウンドトゥリー演ジョン・シャフトを計10作観て思うのは、ジョン・シャフトは立派なスーパーヒーローだと。シャフトは同胞の人たちの為に動くと思っていたけれど、シャフトはそういう区別はしない。悪と善という区別もしない。悪だろうが善だろうが、助けるのに値する人ならば助ける、それだけのこと。計10作で、設定とか色々とブレたところもあるけれど、その芯の部分はブレてない、スーツやケープじゃなくてボタニー500を羽織った真のスーパーヒーローだ!

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Shaft in Africa / 黒いジャガー/アフリカ作戦 (1973) 1694本目

ないない尽くしのアフリカ作戦『黒いジャガー/アフリカ作戦』

シャフト・シリーズ3作目の今回は、もちろん3作目の『Shaft in Africa / 黒いジャガー/アフリカ作戦 (1973)』ですね!今回は、ゴードン・パークス監督も原作・脚本のアーネスト・タイディマンの参加もなし!しかもバンピー親分(モーゼス・ガン)も出てこない!続いて参加しているのはジョン・シャフト役のリチャード・ラウンドトゥリーくらいなものです。監督はジョン・ギラーミン、脚本はスターリング・シリファント。そう2人は『タワーリング・インフェルノ』の名コンビですね!『タワーリング・インフェルノ』はハラハラドキドキ面白かった。OJ・シンプソン出てたし。こちら『アフリカ作戦』が『タワーリング・インフェルノ』よりも先の作品で、次の年に2人が再集結して作ったのが『タワーリング・インフェルノ』。

若い男が豪邸から飛び出して逃げ、そして捕まり暴行を受けていた。その間に若い男は壁に文字を残したが、アマフィ(フランク・フィンレー)の命令で殺された。ところ変わって、ニューヨーク。自宅のアパートに帰ってきたジョン・シャフト(リチャード・ラウンドトゥリー)は何者かに襲われ、見知らぬ所に連れてこられた。アフリカの権力者エミール・ラミラ(サイ・グラント)に、アフリカで横行している奴隷貿易の実態を調べていた彼の息子が殺されたことを告げ、シャフトに捜査の依頼をしてきたのだった。シャフトはラミラの美しい娘アレメ(ヴォネッタ・マギー)からアフリカ文化や作法を教わり、アフリカへと向かっていった...

うーん。元々『黒いジャガー』シリーズはテンポは良くない。ゆったりとした大人の時間が続き、クライマックスで全てを爆発させてスッキリさせる。でもこれは特に遅い。悪い意味で遅い。1作目の時に書いたけれど、この3作目は特に黒人の行き過ぎたイメージというか、そういうセリフが多い。ブラックスプロイテーションで横行していたジャイブトークさながらのセリフばかり。それが凄く気になった。タイディマンならもうちょっとトーンダウンしていたと思う。今回の脚本家は『In the Heat of the Night / 夜の大捜査線 (1967)』も書いていたのが、本当に信じられない位。でもプロットは攻めていて面白い。今も人身売買みたいな形で奴隷にしてしまうケースは少なくないらしいので、そこにチャレンジしているとは思った。悪役もシャフトにこっぴどくやられて欲しいタイプで良かった。

今回のヒロインは『Thomasine & Bushrod / 日本未公開 (1974)』のヴォネッタ・マギー。可憐で凄く可愛いタイプで私は大好きなんだけど、今回は無駄遣い。ゴードン・パークスだったらあのラブシーンを綺麗に撮ってくれたと思う。勿体ない!前作に出ていてくれたら... あと、シャフトが全裸で戦うシーンがあるんだけど、気を抜くとパンツ履いていた。そういうの1&2では無かった。

でもやっぱりゴードン・パークス監督じゃないから、絵の綺麗さがない。目に焼き付くような名シーンもない。5年後には物語は覚えているけれど、シーンを思い出せないタイプの映画。そしてやっぱりアイザック・ヘイズのアレもない(Shut Your Mouth!)。

(3.25点:1694本目)

Shaft's Big Score! / 黒いジャガー/シャフト旋風 (1972) 1693本目

シャフト旋風衰えなし!『黒いジャガー/シャフト旋風』

という訳で、先日の『Shaft / 黒いジャガー (1971)』から引き続きシャフトで、2作目になるこちらの作品を。こちらも引き続き監督はゴードン・パークスで脚本は原作者でもあるアーネスト・タイディマン、主演はリチャード・ラウンドトゥリー。前作から引き続かなかった主要人物は、コンポーザーのアイザック・ヘイズ。O.C.スミスに変更し、監督のゴードン・パークスとコンポーズしております。

カル・アシュビー(ロバート・カヤ=ヒル)は葬儀屋の金庫を開けて大金を出し、そして棺に隠した。男は外を警戒している様子をみせ、そして友人であるジョン・シャフト(リチャード・ラウンドトゥリー)に電話をした。シャフトはカルの妹とベッドの中にいたが、トラブルに巻き込まれたのですぐ来るように言われる。シャフトが葬儀屋に到着してすぐにーー。そしてカル・アシュビーと葬儀屋兼保険業を共同経営しているケリー(ウォリー・テリー)が金庫にあった筈のお金を探しており、ケリーはギャングのガス(ジョセフ・マスコロ)に追われていた。ジョン・シャフトはカルの為に捜査を開始していくが...

これのクライマックスは最高ですよね。ヘリコプターやボートやら。もうジェームズ・ボンド並みですよ。この映画で残念な所があるとしたら、やっぱりアイザック・ヘイズのアレ「黒いジャガーのテーマ」が使えなかった事ですよね。あのヘリコプターのシーンでアレ掛かったら最高だったと思います。いや、新しい曲も渋くてぴったりで最高なのですが、やっぱり黒いジャガーアイザック・ヘイズのアレなんですよね。と、オリジナルの時とは違って軽いタッチで書いております。時代背景はほぼ一緒ですから、あれ以上書くことはありません。3部作まで作られたってこと自体がこの映画の人気を象徴してますから。黒人映画で同じキャラクターで3部作まで作られたことは、かつてなかったことですし。それが全てを物語っておりますね。そしてゴードン・パークス演出も際立っていて最高です。ラブシーンの波打つような映像は、とろけるように美しかった。女性のダンスシーンも前衛的な感じを演出してましたね。そしてなんといってもヘリコプターのシーンですよ!今日の写真に使ったこのシーン。もう本当に名シーン。1作目の名シーンが窓を蹴破るシーンなら、今回のはこのシーンですよ!目に脳に焼き付く。そして名シーン過ぎて... この後『Shaft / 黒いジャガー (1973-1974)』としてTVシリーズ化されるんですが、とある回でそのままこのシーン使い回ししておりました!ま、TVシリーズは別の機会においおい説明します。

そしてツイッターで書いてしまいましたが、1作目と2作目のこちらには、モハメド・アリのトレーナーだったドリュー・”バンディーニ”・ブラウンが出ています。『Ali / アリ (2001)』ではジェイミー・フォックスが演じた役の人です。あのアリの名言「蝶のように舞い、蜂のように刺す」を言った本人。なんで映画に俳優として出ているのかは分からないけれど、シャフト・シリーズの名物キャラであるハーレムを牛耳る首領バンピー(モーゼス・ガン)のボディガード役。でもね、バンディったらボディガードの癖に、すぐ部屋に入れたりと隙だらけ。ダメじゃん。

そしてもう1人大事な出演者が!それは、今回刑事役を演じたジュリアス・W・ハリス(のオヤジ)ですね。あの『Super Fly / スーパーフライ (1972)』ではスキャターのオヤジ役、『Black Caesar / ブラック・シーザー (1973)』ではフレッド・ウィリアムソンのオヤジ(父)役、『Trouble Man / 野獣戦争 (1972)』ではギャングのオヤジ(親分)役、極め付けにはジェームズ・ボンドブラックスプロイテーションぽく撮った『007 / Live and Let Die / 007/死ぬのは奴らだ (1973)』は悪役カナンガの右腕ティー・ヒーのオヤジを演じております。どんだけブラックスプロイテーション出てるんじゃい!しかもみんな名作じゃないか!って感じの、ブラックスプロイテーションには欠かせない「オヤジ」であります。でもこの映画では珍しく善の方。

細かい事を書けば、悪役ガスの手下の1人が、『Mo' Money / モー・マネー (1992)』のウォルシュ刑事役だったジョー・サントスです!ジョニー(主役デイモン・ウェイアンズ)とシーモアマーロン・ウェイアンズ)兄弟の父は警官で殉職してしまっていて、父の元相棒のウォルシュ刑事が2人のことを気に掛けてましたよねー。あの人です!この映画ではシャフトにこっぴどくやられてます!

書き足らない事があるとしたら、ゴードン・パークス監督!監督は、マーベル映画のスタン・リー御大のように、1作目も2作目も作品内に紛れ混んでおりますので、探してみてくださいね。意外と出たがりでお茶目です。

2作目はエンタテイメント性バッチリ。色々と良い物・面白い物が足されていっている。ゴードン・パークスの演出も冴えまくっている。ただアレがないのだけが残念 (Shut your mouth)。

(4.5点:1693本目)
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Shaft / 黒いジャガー (1971) 1692本目

なぜジョン・シャフトは70年代に誕生し愛されたのか?『黒いジャガー

6/14からアメリカでは劇場公開、日本では配信開始予定の『Shaft / 日本未公開 (2019)』を前に、今なぜまたシャフトなのか?じっくり考えたいと思った。『Moonlight / ムーンライト (2016)』のような繊細な作品がオスカーを獲得し、そして『Black Panther / ブラックパンサー (2018)』という待望されたヒーローが登場し興行的に成功したばかりなのに、なぜ今ブラックスプロイテーションをリブートするのだろう?と、制作決定ニュースを聞いて思った。ホームページでもシャフト関係全然アップしていないし、『Shaft / シャフト (2000)』のジョン・シングルトン監督が他界して非常に悲しいし、リブートはなぜ今なのか分からなかったけれど、でも旧作を見直すならば、今だと思った。1作目となる『Shaft / 黒いジャガー (1971)』は、ライフ誌の写真家と知られており、『The Learning Tree / 知恵の木 (1969)』の監督・脚本・制作を担当したゴードン・パークス監督作品。70年代流行したブラックスプロイテーションの先駆けとも言われている作品。アイザック・ヘイズが音楽を担当し、なんとアカデミー歌曲賞を受賞している。

42番街を歩くジョン・シャフト(リチャード・ラウンドトゥリー)。盗品の時計を売っている男やデモに出くわしながらも、情報をもらうために靴磨きに行った。シャフトは私立探偵だったのだ。そして事務所に戻ると、見知らぬ男たちに襲われ格闘の末に男を窓から投げ捨てた。どうやらハーレムを仕切る大物ギャングのバンピー(モーゼス・ガン)が送り込んだ男たちで、バンピーに呼ばれているらしい。刑事(チャールズ・シオフィ)にこっぴどく絞られ、6ヶ月間銃を使わせないようにすると言われるが、48時間の猶予をもらった。バンピーの所に向かうと、娘が誘拐されたので探して欲しいという依頼を受けたのだった。ギャング同士のいざこざに巻き込まれ、ニューヨークの街で死闘の救出が始まる...

今なぜまたシャフトなのか?を考える前に、なぜこのオリジナルが70年代に誕生したのか?を紐解く方が答えに近づく気がした。先に書いたように、この作品はブラックスプロイテーションの先駆けとなり、この映画を機に増えていく。監督こそ黒人のゴードン・パークスだが、脚本は白人のアーネスト・タイディマン。そのタイディマンの同名の小説が原作である。黒人の私立探偵が、黒人のギャングのボスから助けを求められる。警察には相談出来ないからだ。そしてシャフトも若い黒人活動家グループの助けを借りることになる。黒人脚本家が書いたような筋書である。1968年、キング牧師が暗殺され、西海岸ではブラックパンサー党がコインテルプロで苦しみ闘争が激化していた頃。善も悪も黒人同士が結束して巨大なシステムに立ち向かい女性を救い、悪を出し抜きシャフトが高らかに笑う。まるで古くから伝わる黒人民話のようである。でもセリフの節々やセックスアピールで、やはり行き過ぎた黒人像を感じてしまう。今と当時の意識や価値観の差もあるのだろう。当時は、セックスアピールもしない言葉もしっかりした真面目な男は、誰にでも従うショーケースの中の男と呼ばれ、アンクル・トム(主人に従順)とまで呼ばれる始末なのだから。非暴力を訴えたキング牧師の命を銃弾が奪った後、「ブラックパワー」という言葉が持て囃されたことでも分かるように、黒人が欲したのがパワーだった。アカデミー賞を取った「黒いジャガーのテーマ」の歌詞に「シャフトは複雑な男で誰も理解しないけれど、奴の女だけは理解してくれている」にもあるように、人種関係なくモテモテで遊んでいるbad mother...なセックスシンボルという価値観だったのは仕方ないことかもしれない。そしてそれが当時の黒人男性にとっての自由でありパワーの象徴だったのかもしれない。そして、そんな男性像をたった29歳の新人俳優リチャード・ラウンドトゥリーが演じている。20代とは思えないほどの貫禄と余裕は強さを感じ、シャフトをよりセックスシンボルへとしている。そしてそのセックスアピールで感じるパワーこそ、若者たちを惹きつけた。だから劇中でも若者たちがシャフトの味方になり助ける。

危険を顧みず同胞の為に戦う男って誰だっけ?(シャフト!)だろ?

(5点満点:1692本目)
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Juanita / ライフ・アズ・ファニータ (2019) 1691本目

恐るべしベテラン女優アルフレ・ウッダード『ライフ・アズ・ファニータ』

アルフレ・ウッダード主演。最近だと、『Marvel ルーク・ケイジ』のマライア役と書けば分かりやすいかな?ベテラン女優の1人で、マーティン・リット監督の『クロスクリーク』(1983年)という作品で、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされている実力派。これね、本当に凄いことなんですよ。80年代に黒人役者がアカデミー賞の主演・助演の演技部門でノミネートされたのはたった10人。そのうち女性は4人で、他3人は『The Color Purple / カラーパープル (1985)』でのノミネート。それから随所で、ウッダードは良い作品に出演している。賞レースに絡む作品から、娯楽作品、そしてカルト作品まで。私のNBA好きに火をつけた『Blue Chips / ハード・チェック (1994)』では、アンファニー・”ペニー”・ハーダウェイのお母さん役だし、『Miss Evers' Boys / ミス・エバーズ・ボーイズ〜黒人看護婦の苦悩 (1997)』は本当に好きな作品。これから公開の『Clemency / 日本未公開 (2019)』も楽しみで仕方ない!いい人から不埒な人まで幅広くて、大好きな女優さんの1人です。今回も、もちろん彼女の名前を見つけたから見た。シーラ・ウィリアムズ原作の『Dancing on the Edge of the Roof』をNetflixで映画化。

ファニータ(アルフレ・ウッダード)は結婚、妊娠、そして離婚を経験して今に至る。3人の子供たちと共にオハイオ州クリーブランドで生活。娘のバーティ(ジョーダン・ニア・エリザベス)はシングルマザーで、子育てをファニータに押し付けて夜遊び。ランディ(マーカス・ヘンダーソン)は良い子だけど、今は刑務所。ラショーン(アコーエ・ホワイト)もそのうち刑務所に入りそうだ。そんな状況の中、憧れの俳優ブレア・アンダーウッド(ブレア・アンダーウッド)との妄想と、親友のケイ=リタ(ラタンヤ・リチャードソン)との会話で何とか我慢している。けれど、今回ばかりは... 爆発しそうなファニータは、グレイハウンド(長距離バス)に乗って、モンタナ州にあるペーパームーンという所にたどり着く...

ウッダード買いで、何の情報も入れずに観ました。なんていうか、アルフレ・ウッダード的『How Stella Got Her Groove Back / ステラが恋に落ちて (1998)』でした。ブレア・アンダーウッドが、ブレア・アンダーウッド役で出てくるのが面白かった。しかし、ブレア・アンダーウッドって、やっぱりあの年代のセックスシンボルなんですね。60ドルの所、最高でした。原作読んだことないけれど、原作でもブレア・アンダーウッドなのかな?

そして、辿りついたモンタナで、ネイティブ・アメリカンの男性ジェスと知り合い、そして変化していくストーリー。正直、おばさんが(失礼!)が主人公のストーリーって、アピール出来る世代が同じおばさんだけになっちゃうと思うんですよね。若い子にはもちろん、同じ世代のおじさんたちもこのストーリーは興味ないと思う。でも男性と出会って変わっていくだけじゃないので、どの層が見ても好感度が高い筈。思い立ってグレイハウンドに乗るまでの過程とかもしっかり描かれていて、そして徐々にファニータが変わっていくのも良いですね。その過程をウッダードの演技力でしっかり見せるタイプの映画。ジェス役のアダム・ビーチも良かった。ネイティブアメリカンアフリカ系アメリカ人って、昔から密接に関わっているのに、映画ではあんまり描かれないので、今回はそれが少し見えたのも良かった。そして、ランディ役のマーカス・ヘンダーソン、どこかで名前を聞いた...と思ったら、『Get Out / ゲット・アウト (2017)』の直線走り男ウォルターくんではありませんか!そしてサミュエル・L・ジャクソンの嫁ラタンヤ・リチャードソンの親友ぷりもグッときました。良い役者が揃っていた。そして『S.W.A.T. / S.W.A.T. (2003)』のクラーク・ジョンソン監督作品。正直、こういう作品を作るとも思っていなかったので、新鮮でした。

アルフレ・ウッダードの実力を見せつけられました。長年、この業界で活躍し続ける人は、やっぱり凄い。恐るべしです!

(4点:1691本目)

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Little / 日本未公開 (2019) 1690本目

え?嘘でしょ???私、戻ってるぅうう~~『Little』

今やヒットメーカーとなったプロデューサーのウィル・パッカー。昔は、エロサスペンス映画を量産していたが、『Think Like A Man / 魔法の恋愛書 (2012)』辺りでコメディアンのケヴィン・ハートを起用してコメディ映画をもうちょっとで1億ドルに手が伸びそうな位の大ヒットさせてからは、コメディ映画を量産。『Ride Along / ライド・アロング ~相棒見習い~ (2014)』で念願の1億ドル突破。『Girls Trip / ガールズ・トリップ (2017)』の主演レジーナ・ホールが今回も主演。共演は、TVシリーズInsecure / インセキュアー (2016-Present)』が好評のイッサ・レイと、TVシリーズBlack-ish / 日本未放送 (2014-Present)』のマーサイ・マーティン。そう、ウィル・パッカーはお馴染みのキャスティングを起用しつつ、新しいスターと組み合わせていくのが上手い。今回もパッカー作品でお馴染みのレジーナ・ホールと、新しく起用されたイッサ・レイとマーサイ・マーティンを上手く組み合わせ、化学反応を起こしている。そして、マーサイ・マーティンは14歳にして、この映画のプロデューサーも務めており、現在最年少プロデューサーの記録となっている。

中学生のジョーダンは、真面目に勉強していたが、見た目は地味で性格もキッチリしていた為、クラスの目立つ女の子から嫌がせを受けていた。そんな姿を見た父は「将来ボスになれば、ああいう子たちを顎で使える」と励ます。その言葉通り、ジョーダン(レジーナ・ホール)の現在はアプリなどのコンピューターソフト関連の会社を経営している。アシスタントのエイプリール(イッサ・レイ)のことも顎で使い、会社ではみんなに恐れ、近づく者すら居なかった。会社の前でトラックでドーナツを売る店の娘の女の子スティービー(マーリー・テイラー)と言い争いになり、スティービーはジョーダンに向かって玩具の魔法の杖と共に「私と同じ位の女の子になりますように。そうしたらぶん殴ってやる」と願った。そして、次の朝、ジョーダンが目覚めると... 中学生ジョーダン(マーサイ・マーティン)に戻っていた...

最近、私はマンガを良く読む。その度に強く思う、「嗚呼、高校生の頃に戻って、こんなキラっキラした高校生活をまた経験したい」と。で、また思う。これがマンガだったら、私は次の日、「え?嘘でしょ???私、戻ってるぅうううううう~~」と、高校生の私に戻っている筈だと。でも、毎朝、高校生からウン十年経ったいつもの自分である。戻る訳がない!でも、映画もマンガもそのあり得ない事が起きてしまうから、ワクワクしてしまう。今回は、マーサイ・マーティンも出演している『Black-ish』の脚本家であるケニア・バリスもプロデューサーの1人で、マーサイを見て、トム・ハンクス主演の『ビック』のような作品を作りたいと思いついたそうだ。そのマーサイ・マーティンが上手い。表情とか大人の女を思わせて、レジーナ・ホール演じる大人のジョーダンままな所が本当に憎たらしい。でも、やっぱり子供な所もあって可愛い。その微妙なさじ加減が上手くて面白かった。『ビック』の時には、大人になってしまった主人公を理解し、そんな姿でも支えてくれたのは子供の親友だったが、今回は設定が逆なのもあるのか、大人のエイプリールが主人公を支える。大人のエイプリールが子供のジョーダンよりも子供ぽかったりするのも面白い。こういう年齢トリップ映画の面白さが出ていた。出演者3人ともにとても魅力的だし、ルーク・ジェームスの使い方も上手い。ジョーダンが開発したAlexaみたいなソフトの名前も面白かった。

夢がある。実際にはもちろん起きない。でも、映画やマンガなどの虚構の世界には、これ位の夢があったっていい。実際には無いからこそ、その虚構の世界で自分も子供に戻って、笑いながらフワっフワした気分で楽しめる。そんな映画だ。

(4.25点:1690本目)
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