SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて


*10/15/2018に「ブラックムービー ガイド」本が発売になりました!よろしくお願いします。(10/15/18)

*『サンクスギビング』のパンフレットにコラムを寄稿。(12/29/23)
*『コカイン・ベア』のプレスシート&コメント&パンフレットに寄稿。 (09/27/23)
*ブルース&ソウル・レコーズ No.173 ティナ・ターナー特集にて、映画『TINA ティナ』について寄稿。 (08/25/23)
*『インスペクション ここで生きる』へのコメントを寄稿。(8/01/23)
*ミュージック・マガジン1月号にて、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のレビューを寄稿。(12/2/22)
*12月2日放送bayfm「MUSIC GARAGE:ROOM101」にて『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』についてトーク。(12/2/22)
*10月7日より上映『バビロン』にコメントを寄稿。(10/6/22)
*奈緒さん&風間俊介さん出演の舞台『恭しき娼婦』のパンフレットに寄稿。(6/4/22)
*TOCANA配給『KKKをぶっ飛ばせ!』のパンフレットに寄稿。(4/22/22)
*スターチャンネルEX『スモール・アックス』オフィシャルサイトに解説を寄稿。(3/29/22)
*映画秘宝 5月号にて、連載(終)&最後のサイテー映画2022を寄稿。(3/21/22)
*「This is Charles Burnett チャールズ・バーネット セレクション vol.1」にコメントを寄稿。(3/19/22)
*キネマ旬報 3月上旬号の『ドリームプラン』特集にて、ウィル・スミスについてのコラムを寄稿。(2/19/22)
*映画秘宝 4月号にて、連載&オールタイムベストテン映画を寄稿。(2/21/22)
*映画秘宝 3月号にて、ベスト10に参加。(1/21/22)
過去記事

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761st Tank Battalion: The Original Black Panthers / 日本未公開 (2023) 1864本目

He got so much history that we don't know about.


Half American: The Heroic Story of African Americans Fighting World War II at Home and Abroad (English Edition)』という第2次世界大戦時の黒人軍人たちについての本に出あってからというもの、緩いミリオタである。今年、この本とキング牧師の『King : A Life』という2冊に出合えたことが、私にとって大きな出来事である。ベテラン俳優モーガン・フリーマンにとってもこの第761戦車隊を知ることは大きな出来事となったようである。第2次世界大戦のアメリカ陸軍第761戦車隊についてのドキュメンタリー。モーガン・フリーマンは製作者で、そして出演し、ナレーションする場面もあり、がっつりと参加している。なんでも『プライベート・ライアン』を見ていたら、黒人兵士がいないことが納得出来なかったという(ヴィン・ディーゼルの父は不明で養父は黒人)。だったら彼らについての作品をと、本作に至った。

ちなみに私の義祖父が第2次世界大戦時に徴兵されて、アメリカ陸軍に在籍している。だが祖父は、ヨーロッパではなく、南太平洋に行っているので、この第761戦車隊ではないことは分かっているが、どの部隊にいたか調べたが分からなかった。義曽祖父は第1次世界大戦時にやはりドラフトでアメリカ陸軍在籍で、どこの部隊かまで分かっているので、どのキャンプで訓練し、戦争中にどこに滞在したかまで分かっている。

モーガン・フリーマンの叔父2人も第2次世界大戦に参加。ウィリーについては消息すら分からないらしい。そして知られている通り、高校卒業後にモーガン自身が空軍に所属。その頃ですら大変だったので、叔父たちのことも知りたくなったようである。知るために、モーガンのスターパワー、名声、才能、お金、全てをフル活用している。現在の国防長官ロイド・オースティンにペンタゴンを案内させて語らせたりしている。恐らくここで語られる歴史も、モーガンのスターパワーがあったからこその情報もあった筈である。情報量、人脈、CMにも使われるほどのモーガンの声でのナレーション... これほどないまでに豪華で十分すぎるほどである。

もちろんそれらは、第761戦車隊についてたっぷりと語られるためである。部隊誕生前から歴史を検証。どういう経緯で出来たのか、そしてどのように訓練され、扱われたのか、これほどないまでに研究結果が発表されている。『Half American』はアメリカ軍全体だったので、第761戦車隊についてはより詳しく追われている。そして本のタイトルになった「Half American」という言葉についても語られている。

黒人というだけで軍から酷い待遇を受けていた第761戦車隊。183日間、ずっと戦場で戦い、そして結果を遺したのにも関わらず、彼らは勲章を与えられることはなかった。そして、戦争が終わってアメリカに戻ると、そこには相変わらず人種差別「ジム・クロウ」が残っていた。軍服を着ていると余計に嫌がらせを受けたという。第2次世界大戦に従事した第761戦車隊員最後の生き残りであるロバートの言葉が忘れられない。祖父もやっとアメリカに船で戻ってきたと思ったら、黒人だけは中々陸に上げて貰えなかったと聞いている。戦争が終わっても彼らの闘いは終わらなかった。そして後続がそれを何とか実現しようとしていた話にとても胸が熱くなった。

ちなみに先日観た『Come Out Fighting / 日本未公開 (2023)』という映画も同じ第761戦車隊を描いているが、情報量や熱量が全く違う。知りたいと思うならば、こちらの作品を強く推す。ドラマ化された作品のタイトルになっている『Come Out Fighting』という言葉についてもたっぷり語られている。

今回、一番☝で使う言葉を迷ったほどに良い言葉が沢山あった。モーガン・フリーマンがロイド・オースティンに「周りを見回して、自分は黒人なのか?(と自問自答)することはあるか」と聞いた時には、モーガンらしい質問だと思った。彼らがたどり着いた場所は、我々には想像できない所。恐らく黒人が1人という状態が続いているからこそ聞ける。そして最後の生き残りロバートに「自分たちの物語を伝えたい。だから自分で伝えていくのだ」と話すモーガン。どれも彼らしさ、そして彼だから言えることだと感じる。

モーガン・フリーマンが語るアメリカン・ヒストリー。教科書では教えてくれない。本人たちも言っていたが、自分たちが語り続けるしかない。

(5点満点)
761st Tank Battalion: The Original Black Panthers / 日本未公開 (2023)

Boss: The Black Experience in Business / 日本未公開 (2019) 1800本目

I've paid the cost to be the boss


NBA選手ラッセル・ウェストブルックの映画製作会社が製作し、エミー賞にもノミネートされた『Tulsa Burning: The 1921 Race Massacre / 日本未公開 (2021)』の製作きっかけともなった作品。本作で少しタルサ人種殺戮事件に触れている。ウェストブルックは私の推し選手。ならばその作品を観る前の予習に... なんと言っても、ドキュメンタリー映画の鬼才スタンリー・ネルソン監督作品。見るしかないのである。タイトルで分かるように、黒人とビジネス。主にビジネスで活躍した黒人についてのドキュメンタリーである。ネルソン監督作品なので、いつも通りPBSにて放送。

奴隷時代までに溯る。自由を「買う」ためには、お金がないといけない。そして、南北戦争を経て、黒人に与えられる筈だった「40エイカーの土地とラバ」。その希望は、リンカーン暗殺により、「解放黒人の銀行」が潰れてしまう。活動家フレデリック・ダグラスもお金を投資することに積極的だった。自由を手にするのには自立すること。その頃に富を増やしていくのが、理髪店経営のジョン・メリック。彼は黒人のための保険会社を設立。彼が事務所を置いたノースカロライナ州ダーラムは、「黒人のウォール街」として知られるようになる。しかし、そう言った成功を妬む者もいた。テネシー州メンフィスでスーパー経営で富を得たトーマス・モスは、その頃に増え始めたリンチによって殺された。そして始まるグレートマイグレーション(黒人の大移動)。その中で、オクラホマ州タルサも、やはり「黒人のウォール街」として黒人ビジネスが花開く。しかし、とある事件をきっかけにタルサ人種殺戮へと発展してしまい、黒人のウォール街は壊滅する。それでも立ち上がる。車の都デトロイトでは、モータウン・レコードが設立され、世界中の誰もがしるレコード会社になる。ジョン・ジョンソンは、黒人向け雑誌「エボニー」や「ジェット」を創刊。ロバート・ジョンソンは、黒人向けテレビ局「BET」を開局。黒人向けだけではなく、ヴァーノン・ジョーダンのように弁護士として活躍した後、ビル・クリントン大統領のアドバイザーに就任、その後にはレブロンゼロックスなどの大企業の取締役を務めた者もいる。

「黒人にとってビジネスは、黒人解放の理想に不可欠な要素である」と述べていた者がいる。この資本主義国では、全ては金次第。だけど黒人にとっては自由や楽しむものだけではなく、生きるか死ぬかとなってしまうことがある。歴史深く掘り下げていくことが、全てを可視化していくのである。

(5点/5点満点中)

Boss: The Black Experience in Business / 日本未公開 (2019)

Rustin / ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男 (2023) 1875本目

A two-day event will make it clear that we will not back down or back away.


ベイヤード・ラスティン(バイヤード・ラスティン表記が定着しているかもだが、キング牧師書籍の翻訳でも知られる猿谷要氏のベイヤードの方が私にはしっくりくる)。キング牧師に「非暴力」を叩きこんだ先輩運動家。だがその名はキング牧師のようには知られていない。キング牧師の前には、鉄道ポーターたちの労働組合を設立したA・フィリップ・ランドルフも知られた活動家で、そのランドルフキング牧師の橋渡し役がラスティン。ラスティンをキング牧師に紹介したのはリリアン・スミスという『奇妙な果実』を書いた作家。となっているが、実はその前に2人は対面しており、そしてキング牧師の妻コレッタは、学生時代にラスティンの授業を取っていた。そしてラスティンは公民権運動だけでなく、あらゆる差別と闘っていた。ラスティンは同性愛者であり、その偏見とも闘っていたのである。今回、ラスティン役に抜擢されたのが、『Ma Rainey's Black Bottom / マ・レイニーのブラックボトム (2020)』や『Zola / Zola ゾラ (2021)』のコールマン・ドミンゴ。監督は、有名舞台演出家で現在は映画『マ・レイニーのブラックボトム』や『Lackawanna Blues / ブルース・イン・ニューヨーク (2005)』などでも活躍するジョージ・C・ウルフ。

1954年、アメリ最高裁にて「ブラウン対教育委員会」の人種分離した学校は違反との判決が下り、1957年にはリトル・ロック・ナインというセントラル高校での人種分離騒動、1960年には小学生のルビー・ブリッジスによる人種融合運動などが始まり、時代のうねりが押し寄せていた。そんな中、1955年のバスボイコットを率いたキング牧師(アメル・アミーン)は、ロサンジェルスでの運動を先導することを依頼するが断ってしまう。だがベイヤード・ラスティン(コールマン・ドミンゴ)は諦めずに、かつてから構想していたワシントン大行進を成功しようと躍起になるが、同性愛者ということで拒絶されていく...

ワシントン大行進までのベイヤード・ラスティンがギュっと詰まっており、ラスティンという活動家がどういう活動し、成功させたのか、とても上手くまとめて詰め込まれていると感じた。何よりも、コールマン・ドミンゴがベイヤード・ラスティンそのものである。『Zola/ゾラ』であんなに胡散臭い悪い人を演じていたのが今となっては嘘のよう。ラスティンの聡明さ、人を惹きつけるパワー、頭の回転の良さ、面白さ、カリスマ性... そう言った良い部分はもちろんのこと、人間らしい共感できる弱さをも兼ね備えていた。完璧なベイヤード・ラスティンと言っても過言ではないだろう。もうこの先、彼以外にはラスティン役を演じて欲しくないほど。そしてジェフリー・ライトが演じたアダム・クレイトン・パウエル・Jrの太々しさもイメージ通りで最高だし、クリス・ロックが演じたキング牧師に嫉妬しているかのような小賢しいロイ・ウィルキンスは最近出版されたキング牧師の本の中で読んだウィルキンスの印象通りであった。マイケル・ポッツが演じたクリーブ・ロビンソンの登場シーンなどは軽快で明るくなり、今や重鎮グリン・ターマン演じたA・フィリップ・ランドルフの存在の偉大さや暖かさもイメージ通りである。この手の自伝映画だと簡単に2時間を超えてしまいそうだが、1時間40分程度でまとめおり、テンポも良く、そして流れや物語に緩急をうまくつけており、観ていて全くダレることなく飽きない。ニューヨークの街並み、そしてブランフォード・マルサリスのジャズは、まるでスパイク・リーのニューヨーク描写のようで素晴らしい。

こういう観やすい・分かりやすい・とにかく面白い、こんな公民権運動映画を私は待っていた。何よりベイヤード・ラスティンという名前が忘れがたくなる。そして最後はとにかく切ない。胸が締め付けられるが、妙に清々しい。ビタースウィート。彼の人生は甘くも苦い。これこそベイヤード・ラスティンではないだろうか。

(5点満点)
Rustin / ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男 (2023)

2023... and you don't stop

2023... and you don't stop

2023年を振り返るといろいろあった。社会的には、イスラエルパレスチナ問題とかかなり大きいし、ロシアとウクライナの戦争も終わらない。日本では政治家は腐り切っていることが良く分かった1年でもあった。エンタメだって、ウィル・スミスの暴行とかあったし、相次ぐ性的暴力報道。ジム・ブラウンとリチャード・ラウンドトゥリーというブラックスプロイテーションの2大巨頭の訃報は、私にとって時代の終焉を感じるとても悲しいニュースだった。日本でも深刻で改善すべき問題やスキャンダルが沢山あった。明るいことは少なく感じて、何か燻っている&悪い空気が淀んでいる感じ。どんよりというのが一番近い。

私的にも、なんかどんより。あまり思い出したくないけれど、私の1年半は無駄だったなーということがあったりした。思い出すだけで本当にどんより燻っている。

と、超暗い1年のまとめ。でも過去のを読み返すと、結構毎年そんな感じ~。『ブラックパンサー』の2018年以外はそんな感じ~。

こんな時には何か新しいものに夢中になれれば、少しはどんより解消できたのかもだが、それもなかった。あ、1つだけ。まだ始まったばかりではあるけれど、夫がTCMで放送している小津安二郎の映画を録画して、2人であーだこーだと歓談しながら観るのが楽しい。「ダメダメ~」が結構出てくるので真似したり、「楢山」が英語字幕ではMt. Narayamaだけだったので、分かりにくいだろうなーと、日本では老人を置き去りにする山があるというフォークロアがあるなど説明して、「日本人酷い~」と言われたり。楢山に関しては、私も曖昧な部分があったので後で調べたら、実は息子が母の愛を再確認して出来なかったという話なんだよと話した。そして母はたったの69歳だったことに衝撃を受けた。今は、69歳なんて若いのにとか。そして、小津映画常連の佐田啓二にハマった。中井貴一のお父さん。中井貴一は、『トラベルナース』で滅茶苦茶良い演技するな~と感心していたけれど、お父様もかなり素敵。『お早よう』の最後まで言えない感じにキュンときた。という訳で、今年は佐田啓二中井貴一親子にハマったかも。

今年の漢字
本家は「税」。どこかの私物化された流行語✖賞と違って、日本漢字能力検定協会が一般から募集するだけあって、ちゃんと世相を反映していて上手いよね。
私的には「燻」。燻っているの「燻」でもあって、BBQにハマったのでその「燻」の意味でもある。

今年の推しごと
今年もまあそれはそれはブラックパンサーのグッツを買いまくりましたが、最近はあまりないんですよね。最近マーベル関係であるのは、スパイダーマンのみっていうのが多い。あとはアベンジャー的にみんなそろっているやつ。でもそこにはブラックパンサーの姿なしというのが多かった。やはり『2』が『1』ほど成功していないのもあるのでしょう。寂しい。寂しいですぞ!

アラバマ大!!!!!!! (アメフトの話です。念のため)今年はどうなることかと思っていたけれど、期待以上! テキサス大に負けて、順位が13位とかまで落ちて、私も心底落ち込んだけれど、それでも選手たちは己の力を信じて踏ん張って這い上がってくれた。今年は、そういう底力を見せてくれた頼もしい良いチーム。これだからアラバマ大が好き。そんな感じで愛を再確認。来年も楽しみなのです。NFLでもプレーしたドレー・カークパトリックの息子がなんともうリクルートされて、来年からチーム入り。2世代でニック・セイバンとか嬉しいし、楽しみ。そして元旦、あなたたちの力を信じている。応援するのみ!

ラッセル・ウェストブルック。シーズン始めは、もうクリッパーズの優勝で間違いない! くらいに感じておりましたが、今は吉凶入れ混じった感じではありますし、もうカワイ・MVP・レナード次第だなというところはありますが、プレイオフを楽しみにしております。今季がラス様の最終目標に一番近いかなとは感じている。応援するのみ!

玉木宏 正月すぐ以外は、映画が多くて中々観れない日々が続き寂しかったー。けれど、2024年は年明け早々2か月?3か月??は観れそうなのでうふふです。応援するのみ!

ヒップホップ50周年となり、お祝い事が多かったのが嬉しい。やっぱり好きだなーと再確認した。でもそれで余計に50年の間で色々と形や姿は変わってきたなとは感じた。いつでも私は、A hip-hop, the hippie, the hippie to the hip, hip-hop and you don't stop the rockin' to the bang-bang boogie, say up jump the boogie to the rhythm of the boogie, the beatですよ。

今年の宝物
今年は、『King: The Life of Martin Luther King』と『Half American: The Epic Story of African Americans Fighting World War II at Home and Abroad (English Edition)』という2冊にであえた事が宝物。この2冊はこれからの私にも多大な影響を与えてくれる筈。図書館で借りて読んだ本なので、『Half American』の方が1/10にペーパーバックが発売されるタイミングで2冊とも買いました。が、『King A Life』の方はペーパーバックの方が高い。なんでーということで、結局ハードカバーを買いました。

今年の総まとめ
今年は燻った年ではありましたが、家族も元気だし、それが一番かなーと。お仕事もありまして、ありがとうございました。とてもありがたく嬉しいことです。そして毎年書いていますが、来年こそは頑張る(笑)。とは言え、来年からはもっと時間が無くなりそうなのは、今から分かっているので、ブログとかはあんまり書けないかもです。先に書いておきます。ツイッターも改悪ばかりなので、あんな感じで申し訳ない。あとは、願うは減税&世界平和。毎年書いてますが、それに尽きると年々感じております。

今年も色々と話しかけて頂いたり、反応して頂いたりと、ありがとうございました。2024年も皆さまにとってよい年となりますように。

Biggie: I Got a Story to Tell / ノトーリアス・B.I.G. -伝えたいこと- (2021) 1799本目

East Coast Don in the house. I just wanna let everybody know that I'm here. You know what I'm saying?


1997年3月、ビギーことノートリアス・BIG、本名クリストファー・ウォレスは24年という短い生涯を閉じた。銃弾という残虐なものが生んだ悲劇。今さらながら、まだ24歳だったのかと驚く。たった24年の人生なのに多くの物を遺した。今回は、親友D-ロックが撮影した珍しい映像と共にその短い生涯を追うドキュメンタリー映画Netflix作品。

本作が配信された2021年、24歳で亡くなったビギー没後24年となった年である。もうそんなに経つのかと思い耽る。没後24年間の間に多くのビギー、そしてトゥパック関連の映像作品が誕生した。映像や新たにインタビューした話には、まだまだ我々が知らないビギーが存在していた。小さい頃に母の故郷ジャマイカに行った話は面白かった。おじがミュージシャンだったというから才能が受け継がれているところはあるのだろう。近所に住んでいたジャズミュージシャンのドナルド・ハリソンが、ビギーの才能を見出してジャズミュージシャンにしようとしていたのも面白い。あの圧倒的な才能は、やはり積み重ねて出来たものだと知る。そしてジャズミュージシャンになっていたら今頃... とも思う。

24年経った今でも語りたくなる人物。そしてタイトルが示す通り、ビギー側にもまだまだ伝えたいことがあったのだ。今回は親友が録画した珍しい映像とともにそれらが明らかになっていくのである。

(4.25点/5点満点中)
Biggie: I Got a Story to Tell / ノトーリアス・B.I.G. -伝えたいこと- (2021)

Thanksgiving / サンクスギビング (2023) 1876本目

This Thanksgiving, there will be NO LEFTOVERS!

www.thanksgiving-movie.jp
私が使っているカレンダーには、本日12月21日はピルグリムプリマス岩に降り立った日と書いてある。これまた諸説色々あるのか、プリマスのサイトは21日、ブリタニカは26日と書いてあるので、ウィキをはじめ最近は曖昧に12月と書いてあるのが多い。とにかく、ピルグリムマサチューセッツ州プリマスに足を踏んだのが、この辺りなのだ。なのでちょっと早いかもだけど、今日という日がこのお知らせをするのに一番の吉日な筈。なぜか? それは...

12月29日から日本公開予定イーライ・ロス監督の最新ホラー作『サンクスギビング』のパンフレットに寄稿したからです。なぜサンクスギビング、すなわち感謝祭という日にマサチューセッツ州プリマスにて惨劇が起きたのか... それはピルグリムがメイフラワー号に乗ってアメリカ大陸にやってきた1620年にまで遡り歴史を紐解くことになる... 的なことを書いております。今回書くに当たって滅茶苦茶それに関する本(メイフラワー号とかピルグリムとか)を読みました。図書館にもそれ関連がわんさかありました。おススメは、ワンパノアグの視点に立って書かれた「This Land Is Their Land: The Wampanoag Indians, Plymouth Colony, and the Troubled History of Thanksgiving (English Edition)」。プリマスの歴史を紐解くと、この作品が余計に面白くなります。なぜなら、本作の重要人物ジョン・カーヴァーに関連しているからです。

とても優しく分かりやすく書いたつもりではありますが、そもそもピルグリムって何? メイフラワー号って?? ワンパノアグとは? とかありましたら、どんどん調べてもらえると、もっとこの映画の面白さが広がっていくんだと思います。ちょーーーっとジョン・カーヴァーを調べただけで、「おぉおー」と思うことがありまして、それもチラッとパンフレットにも書いております。偶然なのかな? 監督に聞いてみたい。あと文字数の関係で泣く泣く削除したのですが、カーヴァーは働き者だったようで、プリマスの人々にも愛されていた。ウィリアム・ブラッドフォードがそのように記していた。ブラッドフォードの本も図書館にあって驚いた。そして、まさにサンクスギビングの祝日辺りに一生懸命書きました。図書館の人には、「サンクスギビングについて滅茶苦茶調べるじゃん、真面目か!」と思われた筈。クランベリーソースが並ぶ訳が分かった! 最初のサンクスギビングプリマスという海に近い土地柄、シーフードなサンクスギビング・ディナーだったようで、タラやバスに加えてカモも並んだかも(これも諸説いろいろあるが、ブラッドフォードはそう記している)。

映画に関連する歴史だけでなく、サンクスギビングとはどんな祝日なのかとかも書いております。鑑賞後に読んでいただけると、「ああ、あのシーンはそういうことか」と思うこともあるかもしれません。意外と私らしくまとまったと思います。プリマス岩と聞くと、やっぱりあの映画のあのセリフを思い出してしまうので... パンフにも載っているのでご確認くださいませ。

ところで映画館で鑑賞後、全身黒ジャージの60代くらいのオジサマと劇場で2人きりになってしまい、出口ですれ違ったのですが、何だか無茶苦茶怖かった~。オジサマはただただ映画を観てご満悦で少し笑みがこぼれただけなのに、私は完全にザ・疑心暗鬼で「ヤバい、ヤバい!」と超ウルトラ足早にオジサマと目を合わせずに去りました。そういう感じでチキンな私をザ・疑心暗鬼にさせてくれる映画でした。80年代や90年代ホラーぽく思わずスクリーンに「後ろ! 後ろ!」と話しかけたくなる仲間意識を誘う共感性、そして今の最新ホラーぽいこれでもかというエッジな描写もあり、流石イーライ・ロスという感じです。それこそ映画の中のティーンみたくサンクスギビングの日に集まって観たい作品。友人とあーだこーだ言いながら観るのが楽しい筈(私は1人でした...)。好評のようで、もう続編製作も決まっているとか

公開は12月29日からです。何卒よろしくお願いいたします。劇場などの詳細は、☝☟食べ残しはダメダメ。

www.thanksgiving-movie.jp

Concrete Cowboy / コンクリート・カウボーイ:本当の僕は (2021) (VOD) 1798本目

I suggest you giddyup.


コンクリート・カウボーイというか、大都会にカウボーイがいることは、以前にロサンゼルスのコンプトンに存在するという記事を読んだし、『Black Jesus / 日本未放送 (2014-Present)』というTVシリーズにちょこっと出てくるので知っていた。が、フィラデルフィアに歴史あるクラブが存在するのは、今回初めて知った。それにしてもイドリス・エルバx馬とは!! 白馬の王子とは違うのだけど、野性味があって意外にも合う。

デトロイトで母と生活していたコール(ケイレブ・マクラフリン)。学校で喧嘩して母が呼び出される。母はコールをノース・フィラデルフィアで生活している父ハープ(イドリス・エルバ)の所にコールを置いていく。家には馬がいて、カルチャーショックを受ける。そして父は馬に夢中で、コールを気にすることはなかった。幼馴染のスマッシュ(ジャレル・ジェローム)に再会するが、スマッシュのトラブルにコールも巻き込まれていく...

なんというか、『Boyz N The Hood / ボーイズ’ン・ザ・フッド (1991)』ミーツ馬!的な作品。母が車で父の元に息子を置いていき、新しい環境で切磋琢磨し、父と息子が疎遠になっていた時のギャップを埋めていく感じがそのまんまである。それにカウボーイという珍しい要素を足したのだが、意外と目新しい感じを受けないのは、多分そのせいだろう。展開が分かってしまうのだ。だが、ジャレル・ジェロームやケイレブ・マクラフリンにイドリス・エルバの演技が観れるのは嬉しいし、イドリス・エルバと馬の相性が良いとは思っていなかったので、今度はアクション西部劇でじっくり・たっぷりと堪能できることを願う。

(3.75点/5点満点中)
Concrete Cowboy / コンクリート・カウボーイ:本当の僕は (2021)