SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて


*10/15/2018に「ブラックムービー ガイド」本が発売になりました!よろしくお願いします。(10/15/18)

*Cinra.netにて『黒い司法 0%からの奇跡』について寄稿。(2/28/20)
*FRIDAYデジタルにて「オバマ前大統領は映画プロデューサー」というコラムを寄稿。(2/4/20)
*『黒い司法 0%からの奇跡』にコメントをしました。(2/4/20)
*Cinra.netにて「映画界に進出したラッパー百科」というコラムを寄稿。(1/27/20)
*映画秘宝 3月号秘宝ベスト&トホホ10&ドラマ・オブ・ザ・イヤー2019に参加。(1/21/20)
*Cinemoreにて定期的に映画について書いております。
*映画秘宝 1月号にて『ルディ・レイ・ムーア』について寄稿&インタビュー翻訳手伝い。(11/20/19)
*Cinemoreにて『大逆転』(83)についてを寄稿。(7/17/19)
*Cinemoreにて『星の王子ニューヨークへ行く』(88)についてを寄稿。(7/6/19)
*Cinemoreにて『スタンド・バイ・ミー』(86)についてを寄稿。(7/2/19)
*サイゾー 7月号にて『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ』についてコメント出しております。(6/18/19)
*Cinemoreにて『シャフト』(2000年)についてを寄稿。(6/26/19)
*映画秘宝 7月号にてジョン・シングルトン追悼記事を寄稿。(5/22/19)
*ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 6月号にて「ブラックムービーとアカデミー賞」の記事を寄稿。(5/7/19)
*ユリイカ5月号のスパイク・リー特集にて2本の記事を寄稿。(4/27/19)
*映画秘宝 6月号の「サノスの倒し方大全!」特集でサノスの倒し方を寄稿。(4/20/19)
*Fridayデジタルにて「激ヤバで面白い『ブラック・クランズマン』はトランプへの挑戦状!」というコラムを寄稿。(3/20/19)
*映画秘宝 5月号にてブラックムービー、スパイク・リー、『ブラック・クランズマン』、『ヘイト・ユー・ギブ』を寄稿。(3/20/19)
*映画秘宝 4月号にて『ビール・ストリートの恋人たち』&『グリーンブック』レビューを寄稿。(2/21/19)
*DU BOOKS 「ネットフリックス大解剖 Beyond Netflix」に『親愛なる白人様』について寄稿。(1/25/19)
*映画秘宝 3月号秘宝ベスト&トホホ10&ドラマ・オブ・ザ・イヤー2018に参加。(1/21/19)
*リアルサウンドにて「ブラックムービーの今」というコラムを寄稿。(1/3/19)
*『ブラック・クランズマン』マスコミ向け試写会用プレスにスパイク・リーについて寄稿。(12/19/18)
過去記事

Clemency / 日本未公開 (2019) 1749本目

心に残る静『Clemency』

タイトルの『Clemency』とは、恩赦の意味。大統領やら州知事やら権力のある人が、死刑執行を直前で止めたり、減刑したりすること。ただあまり期待は出来ない。私がこの映画を観て、すぐに思い出したのが、トロイ・デイヴィスのことだ。会った事もない知らない人だけど、今でもふと何気ない時に思い出したりする。詳細は「トロイ・デイヴィスのこと」のリンク先で読んで頂きたい。冤罪ながら死刑で殺された40歳の男性だ。彼も恩赦はされなかった。ジェイミー・フォックスが出演した『Redemption: The Stan Tookie Williams Story / クリップス (2004)』のスタン・トゥッキー・ウィリアムスも恩赦が受けられなかった。こちらもマスコミでかなり取り上げられたのに。そんな「恩赦」を、死刑執行する側である刑務所長を描いた作品。監督は、『alaskaLand / 日本未公開 (2012)』のチノニェ・チュク。ナイジェリア生まれのアラスカ育ち。ダナイ・グリラ制作・脚本、ルピタ・ニョンゴ主演という『Black Panther / ブラックパンサー (2018)』コンビのこれから始まるHBOシリーズ『Americanah』の監督もしている、今注目を集めている新人監督の作品です。

刑務所長であるバーナディン(アルフレ・ウッダード)は、控えている死刑執行の準備を整えていた。死刑が控えているヒメネス(アレックス・カスティーヨ)の妻を宥めたり、死刑台の最終確認をしていた。死刑は注射によるものだったが、中々針が上手く刺さらず、看護師が苦労した。途中、不手際があったが、刑務所長としてバーナディンは冷静に対処し、執り行われた。しかし、この事がバーナディンを蝕んでいく。そして、もう一人、この刑務所で死刑を待っていたのが、アンソニー・ウッズ(オルディス・ホッジ)だった。彼は最後まで無罪を主張し、目撃者と名乗っていた4人のうち3人が目撃情報を覆す発言をしており、証拠不十分なまま死刑を言い渡されていた。彼の弁護士マーティ(リチャード・シフ)は恩赦を求めて策を練るが...

かなり重たいドラマ。しかも、誰もが分かるような単純な作品ではない。所謂、とっつき難い映画だ。しかも淡々と描いているので、余計に見る者を選ぶだろう。キャスリン・ボスティックというブラックムービーでは知られた作曲家がこの映画の為に曲を書き下ろしているが、他の映画に比べたら、最近のヒット曲やアーティストを使っている訳じゃないので地味だ。そして派手なアクションもないし、派手な展開もない。唯一派手さがあるとしたら、ヒメネスのシーンがホラーなところだろう。それでも、私はこの映画のことを、トロイ・デイヴィスのことのように、ふと思い出すことがあるだろう。アルフレ・ウッダードの静かなる激怒を、オルディス・ホッジの真っすぐな感情を、チノニェ・チュクの淡々とした演出を思い出してしまうだろう。アルフレ・ウッダード演じた刑務所長は、死刑を執行しないとならない。その死刑に対してどう思い感じようと、やらなければならない。ロボットのように感情を殺す時だってある。それは他人には分からない/見えない。「殺さないで」という死刑囚家族の一つの感情。刑務所長だってそう思う時だってあるだろう。でもそれは全て感じないようにしている。被害者の家族からしたら「殺せ」という感情しかない。刑務所長もそう思ってしまう時だってある。真っすぐに一つある感情を双方からぶつけられる。そんなうちに刑務所長の感情は壊されてしまい、ロボットになった方が楽なのだ。っていうのを最後になってようやく気付かさせる。最後までは、正直、オルディス・ホッジ演じた死刑囚に肩入れして観てしまうのだ。しかし、それは刑務所長もそうだったと感じた。最後に全てが結びつく。

こんな静かな激怒は観たことない。派手で目立てば心に残るってもんじゃない。この静かさこそが心に残る。

(4.75点:1749本目)
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