Uncorked / ワインは期待と現実の味 (2020) 1748本目
熟成と新鮮さが同居する『ワインは期待と現実の味』
配信後に私界隈では割りと話題になった作品。私界隈って何よ?って感じですよね。私がフォローしている有名人の間。この作品の監督・脚本・制作のプレンティス・ペニーが業界では友達が多いんでしょうね。彼は、TVシリーズ『Insecure / インセキュアー (2016-Present)』とか『ブルックリン・ナイン-ナイン』とかで脚本・制作しております。実際に面白かった!薦めたくなるのは分かる。主演は、『パティ・ケイク$』や『ゲット・ダウン』のママドゥ・アティエ。共演には、『American Crime Story / 日本未放送 (2016-Present)』のコートニー・ヴァンス。
ワイン店にてバイトしているイライジャ(ママドゥ・アティエ)。店にやってきた女性タンヤ(サーシャ・コンペレ)にラッパーを用いてワインを説明しナンパ成功。そんなイライジャの実家はBBQの激戦区メンフィスにて、歌手フランキー・ビバリーが脳卒中を起こしたという逸話があるほどのBBQの老舗。父(コートニー・ヴァンス)は、自分のようにイライジャもBBQ店を継ぐものだと思っている。しかし、本当の所は、ワインを突き詰めソムリエになりたいと思っていた。しかし、家族は「ソムリエって何?美味しいの?」という感じで、理解は全くされない。ソムリエ学校に通い始めるイライジャだったが、学校内、そして家族内でも距離が出来てきて...
珍しいですよね、メンフィス舞台!そこがまず気に入った。現代の普通ーーーの物語がメンフィスで起きている。って当たり前なのだけど、中々描かれることがない。そして、メンフィスだから、メンフィス出身のYo Gottiの曲が多め。でもそれだけじゃなくて、古くからのメンフィスも感じられる音楽が多い。それを用いて世代を描いているのも凄く良かった。そして、メンフィスといえば、ワインじゃなくて、当然BBQ!全米でも1位か2位を争うほどの知名度。メンフィスは、ドライBBQなんですよね。ドライBBQとは、スパイスだけで味付けるタイプ。BBQソースは焼く時には使わない。食べる時につける後付けパターン。メンフィスのBBQは本当ーーーーーーーーーーに美味しいので、是非行く機会があれば食べて欲しい。有名店とか沢山ありますが、どこも美味しい筈。種類があってどれを選んでいいのやら困った場合は、大抵「サンプラー(Sampler)」っていうのがあって、通常のリブにプルドポークやらブリスケットやソーセージが食べられると思いますって、映画の話に戻しましょう...
セリフがとにかく楽しい!もう本当に黒人の人たちの生の会話という感じ。「ソムリエ」って聞いた時の家族の反応は、我が家でもそのまま当てはまるほどに想像が容易い。NBAの地元チームであるメンフィス・グリズリーズについての会話も笑ってしまう。まだマイク・コンリーが居たころの会話。最近のワカンダは、ああいう使われ方するよね。
物語は父と息子の話。ありきたりかもしれないけれど、最後が凄くスマートで良いですよね。そこはありきたりじゃない。父と息子で息子に合わせて一緒にワインを飲むけれど、昔からのドミノ(昔から黒人はドミノをやると言わている)を2人でやるのも良い演出でした。熟成された古き良さと新しい新鮮な良さが、心地よく同居する作品。
(4.5点:1748本目)
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