The Burial Of Kojo / 日本未公開 (2018) 1686本目
好きかも?好き。そしてこれ最高に好き!『The Burial of Kojo』
映画というのは不思議なもので、始まる前の前評判から「好きかも?」と思ったり、1コマ目から「好き」と感じてしまう映画があったり、ラスト1コマ目に「これ最高に好き!」と思ったりしちゃう映画もある。この映画の場合、それが全て当てはまった。『Selma / グローリー/明日への行進 (2014)』のエヴァ・デュヴァネイ監督の配給会社Arrayは、マイノリティと女性映像作家が作るインディペンデント映画を配給するために作られた。いや作られたというか、クラウドファンディングで成り立っている珍しい配給会社だ。なので、エヴァ・デュヴァネイ監督がこの映画の事をツイートしているのを見かけ、すぐに見たい!と思った。彼女がアップしていたスチール写真は「好きかも?」と思えるものだったから。という今回の作品は、ガーナ映画。ブリッツ・ジ・アンバサダーの名前で音楽活動もしているサム・ブリッツ・バザワレ監督作品。監督については後で詳しく。
エシ(シンシア・ダンクワ)の父コジョ(ジョセフ・オツィマン)は7年間同じ夢を見続けていた。海が地球を飲み込み、そして炎が燃え上がる夢。父コジョは村から海に囲まれた地に引っ越してきて、母に出会い、恋に落ち、結婚し、エシが生まれた。エシと父コジョは話をしたり遊んだりと仲が良い。でも暮らしは貧しかった。いつか父に置いていかれるのでは?とエシは思っていたが、父との貧しい生活に嫌気を感じ出ていったのは母だった。そして父コジョは兄弟のクワベネ(コビーナ・アミッサ=サム)と過去に色々あって非常に仲が悪かった。父コジョは、エシに鳥とカラスの話をする。生活する為に、コジョはクワベネに教えてもらった違法金採掘の仕事を始める...
と、プロット上手くまとめたつもりですが、まとまっていないかもです。起承転結が無いのかな?という位、最初は物語があるとも思えなかったので。それは割りとアフリカ映画あるあるかもしれません。ありそうで無い、無さそうである起承転結@アフリカ映画。でも一コマ目から凄く綺麗で「好き」って思った。娘の淡々としたナレーションがこれまた詩的というか、最初は中々把握し難い。で、いきなり繋がったー!となった時から、もう前のめりで観てましたね。私が好きな感じのアフリカ映画です。しかも最高に美しい絵と色彩。色使いが絶妙。サム・ブリッツ・バザワレ監督は、ガーナ生まれで、パブリック・エナミーのアルバム「It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back」に出会って人生が変わり、大人になってからアメリカに渡った人物。ラップのルーツがパブリック・エナミーという私との共通点もあってか、この映画の世界にどっぶりとハマってしまった。そして最近は、アフリカ生まれでアメリカに渡った映画監督が多く、彼らはとても色使いが上手い。『Restless City / 日本未公開 (2010)』とかのアンドリュー・ドスンム(ドサンム?)も同じく。しかもオシャレ。でも、私的にはかなりトラウマになるシーンもあった。『Sweet Sweetback's Baadasssss Song / スウィート・スウィートバック (1971)』以来の衝撃シーンだった。しかも『スイートバック』よりエグイ!私はぜーーーったいに無理な感じ。コジョ役の人が名演技過ぎる。フェイクでも私は無理。
起承転結がない感じが私が大好きな『Killer of Sheep / 日本未公開 (1977)』を思い出させ、時に『127時間』、そして『スウィート・スウィートバック』、『Restless City』、『Daratt / 日本未公開 (2006)』なんかもあったりで、最後には『The Burial of Kojo』の個性を見せつける。とんでもない秀作で「これ最高に好き!」となりました。
(5点満点:1686本目)