美しく、そして分かりやすい『Guava Island』
ドナルド・グローヴァー aka チャイルディッシュ・ガンビーノ。今や、映画&TV系のエミー賞やゴールデングローブ賞、更には音楽系のグラミー賞にまで顔を出す、立派なスターの座を確立した人である。即ち、何かを発表すれば、すぐに話題になるということ。そこまでいくのは、中々難しく凄いことである。と、『Mystery Team / 日本未公開 (2009)』や『Donald Glover : Weirdo / 日本未公開 (2012)』の頃からリアルタイムで見て追ってきた私は目頭が熱くなる... と、軽--くマウンティングしながら始めました。
地球に大地や食物や生き物が神によって存在するようになり、愛も生まれたが逆の争いも生まれた。それらの要因からかけ離れた場所も神は創造した。それはとても小さな島で、世界の中心に位置しており、グアバ島と呼ばれていた。グアバ島は神のマジックに満ち溢れており、グアバ島だけで採れる食物や珍しい生き物も存在した。その1つがクレイワーム(粘土ミミズ)。その繭からは最高のブルーシルクが出来る。そのシルクを見れば誰もが愛してしまう。しかし愛が生まれれば、争いも起こる... 現代のグアバ島では、レッド・カーゴ(ノンソー・アノジー)がグアバ島の財政を握っており、彼によって支配されていた。ラジオDJをしながら、レッド・カーゴの貨物船で働くデニ(ダニー・グローヴァー)。デニの隣の家に住み、小さいころからデニの演奏を聴いていた幼馴染で恋人の͡コニ(リアーナ)もレッド・カーゴが経営する縫製工場で働いていた。島の人たちはデニが開催するフェスティバルの開催を楽しみにしていたが、レッド・カーゴが仕事を休ませる訳にはいかないと、フェスティバルを中止するように脅してくる...
と、プロット部分長くなりましたね。ちゃんと説明した方が良いかと思って最初の部分を長くしました。1時間位の短いミュージカル作品。こちらの作品も、ドナルド・グローヴァーといえば...となった最強のコンビであるヒロ・ムライが監督している。そして『Atlanta / アトランタ (2016-Present)』同様に、弟のステファン・グローヴァーが脚本担当。ストーリー自体は、兄ドナルドや他のメンバーと共にアイデアを出し合っている。
私、これ見て一番最初に浮かんだのが『Black Orpheus / 黒いオルフェ (1959)』でした。歌と舞台ブラジルと物語と俳優が美しさで一体化する「芸術」作品。この作品も美しく、神が特別に創造した島の独特の雰囲気を醸し出している。そして分かりやすい色使い。レッド=悪、ブルー=善。財政で支配することで人々をも支配し、そして搾取するのがレッド・カーゴ。誰もを魅了するブルーシルク、そしてブルーのカーニバル衣装をまとう人々。レッドとブルーは、アメリカの星条旗にも使われているが、アメリカ人ならすぐにレッド=共和党、ブルー=民主党と分かる。その構図が分かりやすい。エミー賞の受賞スピーチもそうだったが、これは彼なりのトランプ批判なのだと感じた。
そして歌わないのが残念だったが、リアーナを上手く使っている。控えめながら、あの鋭い眼差しが放つラストシーンのセリフは説得力に満ちていて印象に残った。
(4.5点:1687本目)