クロスロードで魂を売ってギターの才能の手に入れたという伝説を持つロバート・ジョンソンをはじめ、ブルースには沢山のシビレる逸話や伝説が存在する。この映画のタイトル『Bessie』のベッシー・スミスもその一人である。何といっても、そのブルースの女帝という愛称を持つ女性なのだ。そんな女性の半生を追うだけで楽しい映画になる事は保証されたものなのだ。
テネシー州に生まれたベッシー。今ではそこはチャタヌーガという名前の街になっているが、昔は通りの名前もなく「ブルー・グース・ホロー」と呼ばれたテネシー川の畔の貧しい黒人街で生まれ育った。両親を早くに亡くし、とても厳しい姉の元で育った。兄のクラレンス(トリー・キトルス)がヴォードヴィルに参加、ベッシーもヴォードヴィルに参加して歌っていた。他のヴォードヴィルのオーディションを受けるも、肌の色が紙バック(バッグテストと呼ばれていた)よりも黒すぎるのでアウト。そんな時にマ・レイニー(モニーク)に会いに行く。マ・レイニーは人気のブルースシンガー。まだまだ青いベッシーにブルースの母マ・レイニーはこう言う。「ブルースってものは、あんたを知る人々の事じゃなくて、あんなが人々を知っているかどうかだ」と。ベッシーはマ・レイニーのヴォードヴィルに参加し、シンガーとして成長していく。しかしいつかは、その師匠を追い越す時がやってくる。ベッシーは自分のショーを完成させていき、瞬く間に成功させた。そこに現れたのが、ジャック・ジー(マイケル・K・ウィリアムス)だった。オーディションに来たという。しかしその男は歌えもしなければ、踊りも出来ない。なんとベッシーの彼氏になりたいとオーディションに来たのだったwww
って、ほらね!あらすじちょっとだけでも、もう面白いでしょ!!時代背景書くのを忘れてしまいましたが、ベッシーは1894年4月生まれと言われている。というのも、当時の事は国勢調査が頼り。私も夏に夫のルーツ調べで国勢調査調べしましたが、まあーーーーいい加減!誕生日とか滅茶苦茶高田順次(テキトー)です!年代によって書いてある事が違うのは基本。名前のスペルとか違うのも当たり前の世界。という訳で、大体その辺に生まれたようです。この時代の雰囲気とかの描写も素晴らしいです!彼らの時代のヴォードヴィルも垣間見られます。今ならプライベートジェットがセレブのステータスなら、昔はプライベート列車だったんだ!!と、その列車の外装とか内装とかも列車マニアには嬉しい筈(多分)。
まあ何が素晴らしいかって、俳優陣ですね。先日行われたTV界最高峰と言われるエミー賞でもTV映画部門で作品賞を獲得!って、書くのが前後しちゃいましたが、この映画はHBOが制作のTV映画なんです。エミー賞では、主演のクイーン・ラティファを含めて、マイケル・K・ウィリアムスにモニークもノミネート!3人共に素晴らしかった。マイケル・K・ウィリアムスは登場シーンも面白くて最高。他のカンディ・アレクサンダーとかトリー・キトルスも最高でしたよ。後は、チャールズ・S・ダットンね。彼はブロードウェイで、オーガスト・ウィルソンがマ・レイニーを題材にして書いた戯曲「Ma Rainey's Black Bottom」にて評価され有名となった俳優。今回はマ・レイニーの夫パ・レイニーを演じております。舞台では別のトランぺッター役。ま、今回は出番は少ないですけどね。でも立派なマ・レイニー関連芸人ですね。そして、マイク・エプス。私はこの人がこんな立派な俳優になるとは思いもしなかったよ。彼のリチャード・プライヤーの自伝映画、非常に楽しみにしております!!
って、クイーン・ラティファ姉さーーーんーーー!私は、びっくらしましたよ!全裸!全裸がぁあああ!!と書いた所で、誰も見たいと思う人はいないかもですけど... エミー賞は逃しましたが、クイーン・ラティファにしか演じられないベッシー・スミスを完璧に演じておりますよ。喧嘩が強かったベッシーに、女性も愛したベッシーを完璧に!ラブシーンも素敵だった。女性同士のラブシーンって、どうしてもエロくなってしまうじゃないですか?エロくない可愛らしくて無邪気なラブシーン。
この映画は落としどころが素晴らしいんですよね。閉じ方が最高。
そしてね、この映画観ると... ものすごーーーくマ・レイニーの自伝映画も観たくなりますわ!!!モニークとチャールズ・S・ダットンで作るべきだね、早急に!!!
(4.5点/5点満点中:9/29/15:DVDにて鑑賞)