Cast >> Ali Barkai (Atim), Youssouf Djaoro (Nassara), Aziza Hisseine (Aicha), Khayar Oumar Defallah (Gumar Abatcha), Djibril Ibrahim (Moussa) ...
Director >> Mahamat-Saleh Haroun
Writer >> Mahamat-Saleh Haroun
Producer >> Mahamat-Saleh Haroun, Sebastien Delloye, Diana Elbaum, Simon Field, Keith Griffiths, Abderrahmane Sissako
Genre >> Drama
Country >> Chad
総合ポイント >> 5/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 5 Direct >> 5 Music >> 5
There are so many ways to depict war
40年も続いたチャドでの内戦の戦犯が政府によって恩赦される事がラジオで伝えられた。それに怒ったのが16歳になるアティム(アリ・バーカイ)の盲目のおじいちゃんだった。アティムとは孤児の意味。生まれる前に父を亡くしたアティムはそのおじいちゃんによって育てられた。おじいちゃんはかつてアティムの父が手にしていた銃をアティムに手渡し、今こそ父を殺したナサラ(ユースフ・ジャオロ)を殺すときだと命令した。アティムはナサラの住むンジャメナに向かうのだった...
アフリカのチャド出身のマハマット=サレー・ハルーン監督の作品。彼の作品は今まで数々の映画祭で愛されてきた。今回の映画もまた映画祭で愛されている。それには理由がある。アフリカの映画は内戦の悲惨さが描かれている事が多い。しかしそれは実は外国資産のアフリカ映画であって、アフリカ人によるアフリカ映画はアフリカに多くある昔から伝わる口語物語が映画になる事の方が多い。しかし今回はチャドにある内戦についてストレートに語られているように見える。が、しかしである。戦争の悲惨さはその銃や暴力によって命を奪われた人々を映せば、その様子は一目瞭然である。しかし、ハルーン監督はそのような試みはしない。確かに銃というものが物語には密接に絡んでくるが、「死」を見せるという事以上の描写によって戦争の恐ろしさを浮き彫りにしている。チャドの内戦によって運命が翻弄された16歳の少年の心の美しさをもって、戦争とは何か?人間の美とは何かを訴えかけてくる。そして今回も撮影技師のアブラハム・ハイレ・ビルの映像美と共に人々の心に入り込んでくる。
マハメット=サレー・ハルーン監督が映画人や映画ファンに愛される理由は、やはり美しさだ。彼の映像の美しさは、そのスクリーンで語られている人々の心の美しさを物語っている。その物語の饒舌さと美しさは、観客を飽きさせる事はない。そして最後には必ず明るい希望を持たせてくれる。
(5/9/10:DVDにて鑑賞)