SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて

Grigris / 日本未公開 (2013) 1306本目

だーーーーーーーーーーい好きなんです、この映画の監督マハメット=サレー・ハルーン!アフリカのチャド出身の映画監督。この監督の作品で外した事ない!って位、『Abouna / 僕らの父さん (2002)』以来、ずっと好き!彼の良さは、物語がオリジナリティで独創的でありながら、なのに現実的でもあり、普遍的であり、そして人間の愛とは何なのか?を鋭く訴えかけてくる作品ばかり。ずーーーーーっとそう。それでいて、その人間には必ずある問題点、そして社会的な問題点なども訴えてくる。なのに...なのにその映像は美しく、時には甘美的で、幻想的で色鮮やか。こんな映画を撮れる人がいるのか!と思ってしまったのが、マハメット=サレー・ハルーンですね。最近ではカンヌ映画祭の常連。そのハルーン監督の最新作。こちらもカンヌに出展。そのカンヌでは、撮影技師が賞を受賞。ま、撮影技師については後でじっくり。

都会のクラブで踊っていたのが”グリグリ”と呼ばれる足の不自由な男だった。グリグリは地元の言葉で幸運のお守りを意味する。本名はスレイマン・デメ(スレイマン・デメ)で、お客は足の不自由さを感じないグリグリの踊りに夢中で、大盛況だった。しかし最近は貰えるチップも少しだけ減ってきた。しかもそれを折半する男も居た。そんな男に「グリグリから金巻き上げようとするなんて俺が許さねー!」と声を荒げるのが、街のヤクザ的な男ムサ(シリル・グエイ)だった。そんな男からもグリグリは愛されていた。クラブでも見かける女の子ミミ(アナイス・モノリー)が、グリグリの義父の写真スタジオにやってくる。モデルに募集する為だった。義父はモデルなんて!と馬鹿にしたが、グリグリはミミの為に一生懸命に写真を撮る。そんなミミに綺麗なストールをあげるグリグリ。ミミもグリグリの事が気になるようになる。しかし義父が病気で倒れてしまう。洗濯の仕事をする母の貯えはすぐに消える。グリグリはムサに声を掛け、ガソリンのもぐりという危険な仕事をするようになる。足の不自由なグリグリはもう少しで台無しにする所であった。しかし車の運転でムサに認められるようになる。ミミとも順調に近づいていくが、ミミの本当の仕事を知り、ムサには仕事を続けたかったらミミとは別れろと言われてしまう...

あれ?恋愛映画?と思うでしょ。所がそれだけじゃないんですよ!最後が凄いんです。何ていうか、あれ?これはウスマン・センベーヌへのオマージュ?って思ってしまいましたよ。ウスマン・センベーヌとは、セネガル出身の映画監督でアフリカ映画の父と言われている偉大な人物。その父の遺作となった『Moolaade / 母たちの村 (2004)』を思わせるんですよー!人の持つパワーとは何か?を思わされましたね。ミズーリ州ファーガソンやニューヨークのスタテンアイランドで起きた事件でもそうなんですが、銃を持っている奴、権力を持っている奴が強いのか?って事ですよ。結果的にそれによってマイク・ブラウンという青年は殺されてしまいましたが、この映画では違う。悪い奴が当然悪くて弱いんですよ!!人々のパワーは強い。だからファーガソンスタテンアイランドでのプロテスト、頑張って欲しい...と思ってしまいましたね。時期的にも。そして監督の宗教観も好感持てますね。モスリムと主人公の関係。

アフリカでは障害者に対してちゃんと保障されている訳ではない。それはやはり父のセンベーヌが昔『Borom sarret / 日本未公開 (1966)』が撮っていた通りだ。そういえばガーナの作品『Emmanuel's Gift / エマニュエルの贈り物 (2005)』もそうでしたよね。だけど、みんなポジティブ!無理な事なんて無いんだ!!と頑張っている。グリグリだってダンサーなんて無謀としか思えないんだけど、凄い才能。その足を自分だけの個性にしている。素晴らしい精神力ですよ。あの姿には感動と賞賛しかありません。そしてミミに対しても、ミミは綺麗だし世間を知りすぎていて、グリグリには無理だろ!って思うんだけど、そんなの関係ない!積極的だし何事にも偏見なんて無い。確かに彼を取り巻く環境が2人を後退させることはあっても、自分がそれに消極的になる事なんてない。グリグリに偏見が全くないのが良い!だから人に好かれる。義父も「俺の息子!」と可愛がってる位だし、お金貸すオジサン(ハルーン監督作にはお馴染みのユースフ・ジャオロ!)もついつい貸しちゃう。

で、ハルーン監督作品の楽しみと言えば、その映像の美しさですよね!『僕らの父さん』や『Daratt / 日本未公開 (2006)』はアブラハム・ハイレ・ビルが撮影技師。彼の映像は色彩鮮やかでそれはそれは美しかった!!『A Screaming Man / 終わりなき叫び (2010)』ではプールのシーンや最後の川のシーンなど、水のシーンが美しくてそして悲しくて印象的。今回はグリグリが踊る時の光と躍動感が美しかったですね!今回カンヌで賞を撮りましたが、私的にはアブラハム・ハイレ・ビルが一番好きかな?

日本ではまた映画祭とかだけになってしまうんでしょうけど、ハルーン監督作品は全部ちゃんと全国区で上映して貰いたいたい!これらがDVDでもいいから見れないなんて... 日本の配給会社は、日本をどんだけ映画砂漠にすれば気が済むんだよ!って事ですよ。

ってか今日の写真で思ったけど、ジブリル・ジオップ・マンベティの『Touki Bouki / トゥキ・ブゥキ / ハイエナの旅 (1973)』的でもあるね。バイクに角がついていたら完璧!今回の作品はアフリカ映画の先駆者たちへのオマージュを感じる!!

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(5点満点!:DVDにて鑑賞)