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Nappily Ever After / おとぎ話を忘れたくて (2018) (VOD) 1655本目

むかし、むかし、ある所に美人の坊主が『おとぎ話を忘れたくて』

黒人女性と髪。黒人という単語を取り除いた女性と髪というだけで大変なのだ。私自身、毎日お風呂上りに乾かす度に「もういっそのこと坊主にしたい!」が口癖である。とにかく面倒臭い。掃除したら出てくる私の髪の毛にもイラっとする。黒人女性はもっと深刻だ。なぜか世の中では女性はすらっと伸びた直毛が良いとされている。いわゆる、白人の価値観に合わせたものである。彼女たちの髪は通常直毛には伸びないし、長く伸びない人もいる。祖先で白人やネイティヴアメリカンやその他直毛の人種の血が入った場合、長く伸びたり、時には直毛に伸びる場合もある。でもそうじゃない場合、縮れた髪を指す「ナッピー」という言葉が使われる。何年か前にアメリカの人気DJが、大学の女子バスケットボールチームを指し「ナッピーな頭をした売春婦」と呼び大ヒンシュクで干され、現在その人気DJの行方は知らない。おとぎ話の事を英語で「Happily Ever After」というが、それにナッピーを掛けた『Nappily Ever After』を。

むかし、むかし…… 1993年ジョージア州アトランタという所で、11歳のヴァイオレットは、水着で遊んでいた。お母さん(リン・ホイットフィールド)に伸ばしてもらった髪型を濡らす訳にはいかず、プールの外で遊んでいた。けれど、どうしても我慢出来なくてプールに飛び込んでしまった。嬉しくて楽しかったが、案の定、髪型が戻ってしまい、白人の子供たちに「チ、チ、チ、チア!」と笑われてしまう。ナッピーではおとぎ話の主人公にはなれない…… そう、信じていた。そして大人になったヴァイオレット(サナー・レイサン)は、付き合っている医者の恋人クリント(リッキー・ウィトル)がいた。もうすぐ誕生日を控えているヴァイオレットは、クリントがティファニーのジュエリーボックスを隠しているのを見つけて、プロポーズされると思い有頂天になっていた。ハンサムで医者という理想的な男性のクリントとの結婚は、ヴァイオレットにとっておとぎ話そのもの。そんな大事な日に、ふとしたトラブルで水を被ってしまうヴァイオレット。ナッピーになった髪を大至急で直してくれる所を探し出向いたのが、ウィル(リリク・ベント)の美容院。ウィルの娘で生意気なゾーイ(ダリア・ジョンズ)のミスでヴァイオレットの髪がまた...

とまあ、どう読んでも女性向けのラブコメって感じですよね。でもこれこそ男性に観て貰いたい!と思う、女性と髪の悲喜劇。出川哲郎がシャンプーのコマーシャルで女性に「大変ですねー」って言ってましたが、「リアルガチで大変ですからー!!!」という感じです。男性でも笑えるシーンは多いと思うし、男性への悪口とか一切ないし、面白いと思ってくれると思うんですよね。なにより、主人公のサナー・レイサンが魅力的。若い頃の『Love & Basketball / ワン・オン・ワン ファイナル・ゲーム (2000)』の方が見た目は魅力的だったかもだけど、今は人間的に魅力的。ルックスだけじゃない良い女優さんになったわーと思います。この映画のポスターでも分かるように、レイサンが途中坊主になるわけですが、自分の自身を取り戻していくシーンが最高に好き。女友達が「コモン(シンガー兼俳優)が坊主をセクシーにしたと思っていたけど、貴方に比べると全然!」と言ってくれるのも好き。セリフも良かった。っていうか、あの世代はコモンなんですね。私の世代だとマイケル・ジョーダンとデイモン・ウェイアンズです!その更に上の世代だとアイザック・ヘイズですよねー。(私、自称坊主ソムリエ)そして、『ゴーストバスターズ』などで知られるアーニー・ハドソンが笑わせてくれます。レイサンのパパ役。そして気難しい&コントロールフリークなママ役をやらせたらブラックムービー界で一番のリン・ホイットフィールドの真骨頂がここでも。もし、ブラックムービーで、今放送している朝ドラ『まんぷく』をリメイクしたら、松坂慶子が演じているお母さん役は絶対にリン・ホイットフィールドにやらせたい!と思うわけ(リンが鈴で...)です。という訳で、原作本も読みたくなりました。

この映画を理解するのに、クリス・ロックのドキュメンタリー『Good Hair / グッド・ヘアー 〜アフロはどこに消えた?〜 (2009)』を観る事をお勧めします。これを見ると、黒人女性と髪の関係がより分かりやすくなると思います。ま、観なくても分かるけれど。

こういう元気になれるおとぎ話は好き。誰でもおとぎ話の主人公になれる!私もサナー・レイサンほど頭の形が良ければ、リアルガチで坊主にしたいなーと思う今日この頃。

Nappily Ever After / おとぎ話を忘れたくて (2018)(4.25点:1655本目)