Wonderful World / 日本未公開 (2009) 700本目
ちょっとアフリカから一旦離れてみよう...という事で、マシュー・ブロデリックなら大丈夫だろうと手にとった作品。予備知識はどうやらマシュー・ブロデリックの相手役がサナー・レイサンという事で異人種恋愛のドラマらしいという事だけ。そういう訳でこの作品を選んだのに、何とサナー・レイサンが演じた役がセネガル出身の女性だった。逃れられないみたい。恐ろしや、アフリカ... これには私もびっくりした。
という訳で、作品。
マシュー・ブロデリックと言えば、若い女子には「セックス・アンド・ザ・シティのサラ・ジェシカ・パーカーの夫」なのかもしれない。授賞式でサラ・ジェシカ・パーカーにくっ付いている夫で、タキシード着せられている冴えない人。そんな印象かもしれない。しかし、80年代を当時流行っていた青春映画と共に過ごした今30-40代の中年には、2人の姿を見ると「フェリスも年取ったな」と思ってしまうのです。。マシューは「フェリスがある朝突然に」という80年代青春映画の金字塔で主役を演じていましたから。今は知名度こそは逆転夫婦となったかもしれないけれど、マシューはコンスタントにいい作品に出ている俳優というイメージがあります。ブロードウェイでも活躍し、若い頃からいい映画に出てましたね。「ウォー・ゲーム」とか「レディ・ホーク」とか。ゴジラのアメリカ版の時にはいい加減にしろよ!と思いましたが、中年になってからは「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!」とからしくて好きです。「グローリー」はその描かれ方に不満があるので、ノーコメントです。そのマシュー・ブロデリックの相手役がサナー・レイサンと聞いて、違和感あるなーとは思いました。実際に違和感はあります。
マシューが演じるのが冴えない中年。8年間、黙々と地味な脚本の校正の仕事をしている。毎日刺激的な事がある訳でもなく、別れた妻との間の娘に毎週会う事位。それも義務化していて、同じ事の繰り返し。娘も父の事は嫌いじゃないんだろうけど、つまらなそう。唯一の趣味がギター。でも馴染みの楽器屋さんで、閉店後に弾くくらい。車も普通。もう見せられている彼の生活全般がつまらなそう。だからと言って、自暴自棄になったりもしない。夜にマリファナやって気を紛らわす。そして、彼のルームメイトがセネガルからきたイブー。イブーを演じたのがマイケル・K・ウィリアムソン。テレビシリーズの「The Wire」でお馴染み。しかし彼が糖尿病で、突然倒れてしまう。この映画のオープニングは大きな車が、後ろに止まっている車のせいで中々出れず、何回も切り返してやっと出るシーンから始まります(つい最近私も同じ事をやりました。大量の汗かきました)。そのシーンがイブーが倒れた時にきいてきます。後ろに止めていたのがマシューの車。駐車違反で車を持っていかれてしまって、イブーを病院まで運ぶ事が出来ない。病院に運ぶのが手間取ったせいで、イブーは昏睡状態に。そこでマシューはそういえばイブーはよく妹の話してたなーという事で、妹に連絡してみる事に。同時に駐車違反で車を持っていかれたせいで、友人が昏睡状態に陥ったと訴える事に。自分で気持ち良く弁護したりして、何となく人生にも張り合いが出てきたが... ま、簡単にはいきません。このシーンが面白い。訴えた役人達がみんな似たり寄ったりなので、アメーバみたいに増えてるとか言ったりして。まー、彼等も冴えない中年なのです。で、イブーの病室に見舞いに行ってびっくり。セネガルから妹が来ていた。泊まるところもないので、イブーの部屋というかベットを使う事にした。ま、そこからマシューとサナーの不思議な異人種恋愛が始まるのです。そこまで長いね。
セネガルの現地のシーンがあるのだけど、明らかにセネガルじゃないのがバレバレだった。部屋の中もハワイアンキルトとかあって、違うでしょ... その辺の詰めの甘さにイラっとはしましたが、内容的には中々。サナー演じる女性が自己主張するのがいい。でも遅い気もする。マシュー演じたおっさんも諦めそうな感じなのに、諦めないで何とか人生頑張ってしまう所が憎めないかも。そんなアラフィフ(50代前後)のオッサン達への無理して頑張れというエールという訳でもなく、もう一度足元くらい見直してみたら?と無理してないエールなのがいいです。サナーも若い頃はアンニュイな感じの役が多かったけれど、最近はこういう明るい役も無理なく演じていていい感じです。アフリカ訛りは無理していた感じを受けましたが、ダンスの所はハツラツとしていてチャーミング。
(3.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)