Almos' a Man / 日本未公開 (1976) (TV) 761本目
黒人作家の世界を牽引したリチャード・ライトのショートストーリー「The Man Who Was Almost a Man」がショートTV映画となった作品。以前にも書いたアーネスト・J・ゲインズの「The Sky Is Gray / 日本未公開 (1980)」と同じシリーズ。PBSで放送。こちらもアーネスト・J・ゲインズと同じく、リチャード・ライトが幼い頃に過ごした南部での物語。しかも「Roots / ルーツ (1977)」で一躍有名となったレヴァー・バートンのデビュー作。この作品の後すぐに「ルーツ」に出てます。そして監督はスタン・レイサン。今はデフ・コメディ・ジャムで有名。後はサナー・レイサンが娘。「The Sky is Gray」もレイサンが監督。70年代から80年代、そして今も活躍するアフリカ系アメリカ人の監督は非常に少ない。その中の1人。
元々のショートストーリーがしっかりしているだけあって、ショート映画だけどしっかりどっしりした重量感のある作品。少年の短絡的な部分、大人達が大人になろうとしている少年を押さえつけようとするが、少年はやっぱり大人になっていく。タイトルにもあるように「もう少しで大人だった男」というアンバランスな部分の描き方が上手い。これまた「もう少しで大人だった男」を演じたレヴァー・バートンが上手いことったら...。ママを演じたのが「Coming to America / 星の王子ニューヨークへ行く (1988)」でエディ・マーフィの母で御后を演じたマッジ・シンクレア。父親を演じたのが「ロボコップ」で御馴染みのロバート・ドクィ。
所でリチャード・ライトの原作のタイトルは「The Man Who Was Almost a Man」で、映画のタイトルはなぜか「Almos' a Man」。「Almost a Man」が訛った形でつけられている。映画のラストでも分かるように「大人になった男」ではなくて、「もう少しで大人だった男」な訳で、ラストで最終的に大人になった訳ではない。あのラストは大人になる入り口だった。いやラストはラストでは責任から逃げた訳でやっぱり子供のままなのである。でもあそこからあの少年は大人になる事を強要されるでしょうね。
このアメリカ文学の有名なショートストーリーをショートTV映画にした「アメリカン・ショート・ストーリー・コレクション」は全部で10作品。他にはF・スコット・フィッツジェラルドやウィリアム・フォークナー、アーネスト・ヘミングウェイ、シャーウッド・アンダーソン等。黒人作家はこのリチャード・ライトとアーネスト・J・ゲインズの2人。こちらに全ての作品のリストがあり。
(5点満点:DVDにて鑑賞)