Brian Banks / 日本未公開 (2019) 1724本目
知って欲しい、そして話を聞いて欲しい不屈の男『ブライアン・バンクス』
ブライアン・バンクスのことは、ずいぶん前から知っていて、ニュースで聞くたびに気を揉んでいた。もう最近では日常化し過ぎている気がする、冤罪により刑務所暮らしをした人の物語だ。その手の話の映画化も非常に多い。最近では、エヴァ・デュヴァネイ監督の『When They See Us / ボクらを見る目 (2019)』が成功したばかり。以前にそのような映画をまとめているので、こちらでどうぞ。その多くの中でも、特にブライアン・バンクスのことは気になっていた。私が好きなアメリカンフットボールの有望な選手だったこともあると思う。それでも、この映画で初めて知った事実が沢山あった。主演は、『Straight Outta Compton / ストレイト・アウタ・コンプトン (2015)』ではMCレン役だったオルディス・ホッジ。監督は、『The Nutty Professor / ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合 (1996)』のトム・シャドヤック。LA映画祭でワールドプレミアとなり、人気の為チケットが取れず、急きょ上映回数を増やしたほど。
ブライアン・バンクス(オルディス・ホッジ)は、カリフォルニアのロングビーチの高校でアメリカンフットボール選手として頭角を現していた。当時の地元の強豪大学USCの有名ヘッドコーチ(現NFLシアトル・シーホークスHC)のピート・キャロルから奨学金の打診もされている程だった。しかし、現在のブライアンは、法改訂で足にはGPSがつけられ、学校や公園に近寄ることができなかった。遡ること高校時代、学校で女子生徒に誘われてイチャイチャしていたが、途中で止めた。そのことが気にくわなかった相手の女子生徒が「ブライアンにレイプされた」と告白され、ブライアンは逮捕されてしまう。司法取引で罪を認めれば、刑期はなく保護観察だけで済むと言われ、未成年にも関わらず10分で司法取引をするかどうかの決断を迫れてしまう。ブライアンは5年の刑期を終えて出所するが、刑罰により職が見つからず苦労していた。そんな時、ブルックス(グレッグ・キニア)のカリフォルニア・イノセント・プロジェクトを知り、連絡を取るが...
私はずっとブライアンが刑期を遂行している途中で無罪を証明して、出所したのものだとばかり思っていたのです。5年の刑期を終わらせてから、無実を証明したのは知りませんでした。それにしても、アメリカという国は法律が守ってくれるのではなく、法律が人々を苦しめる恐ろしい国だなって、こういう映画を観る度に思ってしまう。弁護士も色々とあり過ぎる。ブルックスみたいな人もいれば、最初の弁護士みたいなダメな人もいる。その人たちに人生左右させられてしまう。もちろん、使えない検察も含めて。司法取引って本当に怖い。無実ならば絶対に司法取引をしない方が良い。でも、悪質な弁護士は仕事しない検察に上手く言いくるめられて司法取引を薦める。「もし有罪になったら終身刑だよ。絶対に無実だって証明できるの?」とかいう脅しを使って。私は上でリンクしている冤罪映画を死ぬほど見てきたので知っている。司法取引は絶対にダメ!麻薬と同じくらいダメ!でもね、観てきたからこそ知っている。司法取引に応じてしまうことも。アメリカの裁判の場合、『ボクらを見る目』の時のように検事側がでっち上げて有罪になってしまう時もあるので、司法取引が逃げ道になることもある。そして親身で良い弁護士はお金が掛かる。カリフォルニア・イノセント・プロジェクトみたいなところもある。でも、ブライアンみたいに「有望な選手だった」とか、そういう色がないと恐らく取り合ってもらえないんだ。アメリカというか、そういうのは全世界一緒だと思う。社会の恐ろしさ。
ブライアンを演じたオルディス・ホッジが良い。凄い選手ぽい体だし、頑張ってーとつい応援したくなる表情をみせてくれたりする。目が真っすぐで良いです。あ、モーガン・フリーマンが出ています。出演しているのを知らなかったので、すごくビックリした。この映画でのモーガン・フリーマンは、ディスカバリーチャンネルの時のモーガン・フリーマンみたいです。
何が自分を救うのか?やはり知識だと、この映画で思う。ヘイビアス・コーパスなんていう法律や、司法取引のこと、駄目な女の見分け方、味方につける人の見分け方、などなど、人生は豊富な知識が必要なのだ。そんな知識を養うためにも見て貰いたい作品。不屈のブライアン・バンクス、知って欲しい。
(3.75点:1724本目)
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