また例の気味悪い映画館で観て来た。今回は広い映画館の中に一人。なので映画にかなり集中出来たね。古い映画館なので、映画の中でシーンとなる場面になると、隣で上映中の音が聞こえてくるけどね。映画はとーーーーってもチャーミング。面白かったけど、日本じゃ上映はまず無いだろうねーという作品ではあります。
ニューヨークを舞台にしたグラフィティ映画。でもそのグラフィティを楽しみに観に行くと、肩透かしを食らう。グラフィティがメインの一つではあるけれど、グラフィティ自体は「Wild Style / ワイルド・スタイル (1983)」程出てこない。どちらかというと、グラフィティで有名になろうとしている男女2人の成長期がメイン。マルコムとソフィアの2人は、良い感じの作品を描いたのに、すぐにライバルによって滅茶苦茶にされてしまう。野球のニューヨーク・メッツのホームグランドには、メッツの選手がホームランを打つとアップルが現れるホームランアップルがある。ライバルへの仕返しに、そのホームランアップルにグラフティを描くことを思いつく。しかしそれには500ドルが必要。それぞれがお金を調達する事で話はついたけれど、お互いにそれが中々上手く進まない。ソフィアは自転車盗まれるし、ライバルに捕まってお金は取られるし、Tシャツにタグされる始末。マルコムは、マリファナの配達人をしてお金を稼ごうとしたけど、今までサボったりで元締めに門前払い。門番している下っ端を上手く言いくるめて、マリファナを配達。その配達先が、白人のリッチな女の子ジーニーのアパートだった。2人はマリファナ吸っている間に良い感じになって、マルコムはジーニーは自分に気があると思い込む。そして彼女がお金を隠している場所も知っていて、その鍵はジーニーがネックレスにしていた。それさえ手に入れば...と単純な妄想で、盗もうとするけれど...
所で、タイトルはノートリアスB.I.Gの曲からって分かるよね?「戦利品をよこせ」という事。戦利品とは、戦ってもらったものじゃなくて、盗品をさらに盗むって事。盗んできた物だから、足が付きにくい。ビギーも同タイトルのラップの歌詞の中で「分かってるって。説明は不要。奴隷船で連れてこられて以来、ずっとマザーファッカー共から盗んでるからな」と。ずっと搾取されてきたので、白人からは盗んでも気が引かない。そのメンタリティはこの映画でも見られる。何にも苦労(してないように見える)白人のお金持ち、しかもその子はマルコムの心を踏みつけたのもあって余計に、彼等には羞恥心は無くなる。そして夢に夢中過ぎるのもある。でもとあるシーンで、そんな2人が「俺たち何やってんだろ?」と素になるシーンがある。そこが良いよね。そこから2人が変わっていくんですよ。彼等にとって本当に必要なのは何か?と。
2人の性格も面白い。女の子のソフィアは男の子並、いやそれ以上に言葉使いも悪く、勝気。着ている服とか髪型を見ても、周りの男の子を全く意識していない。しかも何か汚いw。一方のマルコムは、のほほーんとして抜けている。でも饒舌。人懐っこい。マルコムが靴を忘れて、ずっと靴下だけでニューヨーク中を歩いているのも、なんかチャーミング。この靴の部分は上手かったね。後でああやって靴が巡ってくる。悪い事ばかりじゃー無いんだ。
で、感想にも書いたように、この映画はキックスターターというウェブサイト発。キックスターターは、一般人が気に入った案件に投資出来るシステム。私も幾つか投資している。このサイトの良さは1ドルや5ドルでも投資出来る所。そして投資した一般人には投資額によって、何かおまけ的な見返りがある。インディ映画祭の最高峰サンダンス映画祭。そのサンダンスよりも、より小規模で個性的な作品が並ぶSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)祭にこの映画は出展された。SXSWは映画だけでなく音楽の面でも話題。新しいエンターテイメントのミクスチャー祭。そしてそこで審査員賞を受賞している。さらには「Precious: Based on the Novel Push by Sapphire / プレシャス (2009)」や「Thunder Soul / 日本未公開 (2010)」のように、もう作品自体が完成した後に、有名人が宣伝の為に制作者に名乗り出た。その人は、監督のジョナサン・デミ。SXSWで公開され、ジョナサン・デミが目をつけた。それによって、今回限定ではあるけれど、劇場公開にまで至った訳です。なんていうか、全てが新感覚。映画は、割と今まで通りの作りなんだけどね。とにかくチャーミング!!
(4.75点/5点満点中:4/29/13:劇場にて鑑賞)