という訳で、「Pariah / アリーケの詩(うた) (2011)」を観たうえで気になった女流監督シェリル・デュニエの短編集を。1本づつやると大変だし、気がつけば私の100本映画も100本所か、1000本目間近なんですよ。これを一本ずつカウントしてしまうと、1000本に到達しちゃうのもある。3分くらいしかないのもあるしね。
シェリル・デュニエはテンプル大で学び、映画の世界に入った。ラトガース大学で美術学修士号取得。今は母校テンプル大学で教えている。彼女はこの映画の世界に入った時からオープンなレズビアン。最初の作品「Janine / 日本未公開 (1990)」は、高校時代に出会った女性について語っている。仲の良かったジーニーにレズビアンを告白してから変わったという話。次の作品が「She Don't Fade / 日本未公開 (1991)」。こちらは物語。中々面白かった。この映画の続編が「The Potluck and the Passion / 日本未公開 (1993)」。1年後の記念日にポットラックでお祝いするという作品。女ならではのギトギトとした関係がレズビアンにもある。中でもよく出来ていたのが「Greetings from Africa / 日本未公開 (1996)」。90年代初期によく見られた芸術志向な作品。「Chameleon Street / 日本未公開 (1989)」を彷彿とさせる。
シェリル・デュニエの初期作品はスパイクの初期作品のように本人が演じている。実際にシェリルの事を「レズビアン版のスパイク・リー」なんて呼んでいる人たちも居る。見た目も何となくスパイクぽい雰囲気。この前にチラっと書いた通り、アリス・ウォーカーの書いた「カラー・パープル」は小さい頃から抑圧されたセリーが、夫の愛人であるシャグと出会い愛し、そしてセリーの人生を無茶苦茶にした「ミスター**」とですら、セリーはシャグを愛したという共通点で友情を築いていく。でもまあスピルバーグの映画「The Color Purple / カラーパープル (1985)」にはその部分は全く描かれませんでした。たんなる容易いキスの描写だけ。だから映画は着地点が見えずに、ミスター**は悪い奴で、セリーの性解放も描かれずにイマイチだった。そんな所に現れたのが、このシェリル・デュニエ。ある程度スパイク・リーの「She's Gotta Have It / シーズ・ガッタ・ハヴ・イット (1986)」の出現で、黒人女性は性解放されたが、レズビアンである事までは開放されていなかった。シェリル・デュニエは「The Watermelon Woman / ウォーターメロン・ウーマン (1996)」にて、オープンに公表している初のメジャー会社制作による黒人レズビアン監督となった訳です。でもその後のメジャー作品「My Baby's Daddy / マイ・ベイビーズ・ダディ (2004)」は、どうにもこうにも面白くない映画だったよね。
感想は下のリストにて。
Janine / 日本未公開 (1990) 3/5点満点
She Don't Fade / 日本未公開 (1991) 3.75/5点満点
Vanilla Sex / 日本未公開 (1991) 3/5点満点
Untitled Portrait / 日本未公開 (1993) 3/5点満点
The Potluck and the Passion / 日本未公開 (1993) 3.75/5点満点
Greetings from Africa / 日本未公開 (1996) 3.75/5点満点
(4/27/12:DVDにて鑑賞)