恐らく黒人同性愛映画人としては、『The Watermelon Woman / ウォーターメロン・ウーマン (1996)』のシェリル・デュニエと並ぶ位有名。ん?映画人というか、活動家として有名。ん?詩人として有名。という風に色々な肩書を持っていたのが、この映画の監督マーロン・リッグス。彼は1994年に亡くなっている。その死までの道のりを自ら撮ったのが『Black is... Black Ain't / 日本未公開 (1994)』だった。このドキュメンタリー映画も、所謂過去の映像やインタビューで語るという普通のドキュメンタリーとは全然違う前衛的なドキュメンタリー。リッグスらしく、詩があり、歌があり、踊りがあり、それらでメッセージを伝えていく作品。
私が一押しのLGBTQ映画『Brother to Brother / 日本未公開 (2004)』というタイトルにもなった「Brother to Brother」から始まる。いきなり、がぁあああああーーーーっと来ますよ。あなた何書いてるの?って感じでしょうが、観れば意味が分かります(にやり)。とんでもない位個性的な間の連続。そして詩。圧倒されていると、今度は幻想的な踊り。こういう感じは、マーロン・リッグスとイギリスのアイザック・ジュリエン位しか出来ないだろうなーと。一瞬で彼らの世界観になってしまう。そしてその世界観に惹かれていく。この映画とそのアイザック・ジュリエンの『Looking for Langston / ルッキング・フォー・ラングストン (1989)』が同じ年に作られているっていうのが奇跡!アイザック・ジュリエンは日本でも有名だけど、マーロン・リッグスの方はイマイチ。この2人は本当に多才で芸術肌。
マスコミに作られた白人崇拝。それに踊らされていた自分。だが、同じ黒人男性に自分と同じ怒りを見つけ、そして黒人としてのプライドを取り戻していく。黒人男性が黒人男性を愛する事が革命的と語る。
というのを、マーロン・リッグスにしか出来ない感覚・視覚・言葉で語っていく。これね、分からない人には全く理解出来ない。そういう人達には残念ですねとしか言えない。分かると、最高に楽しいから。
Tongues Untied / 日本未公開 (1989)(4.75点:1542本目)