Cast >> Shirley Knight (Lula), Al Freeman Jr. (Clay) ...
Director >> Anthony Harvey
Writer >> Amiri Baraka
Producer >> Eugene Persson
Genre >> Drama
Country >> UK
総合ポイント >> 5/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 5 Direct >> 5 Music >> 5
I always lie
クレイ(アル・フリーマン・ジュニア)はあまり人の乗っていないニューヨークの地下鉄に乗っていた。ある駅で止まった時に、窓の向こう側に美しい女性ルラ(シェリー・ナイト)が立っていて、クレイを見つめ、誘惑するような仕草を見せた。一瞬の出来事で、電車は動こうとしていた。幻を見たと思っていたクレイは、次の瞬間にルラが同じ電車に乗り込んだのを知った。ルラはクレイに話しかけ、2人は話すようになるが...
リロイ・ジョーンズ(現アミリ・バラカ)の書いた戯曲の映画化。リロイ・ジョーンズは有名な詩人であり音楽についての造詣も深い。彼は前衛的で先鋭的な60年代のビート世代を駆け抜けた詩人。マルコムX暗殺を機にリロイ・ジョーンズからアミリ・バラカに変えてしまい、白人の妻と別れハーレムに移り住んでしまい、より先鋭的にブラックナショナリストとなってしまう。しかし、この戯曲はそのマルコムX暗殺前に書かれ、上演された作品の映画化。しかしアメリカでは映画化されずにイギリスに渡って映画化されている。
「ダッチマン」という奇妙なタイトルは「フライング・ダッチマン」という伝説から取られている。ジョーンズはこの舞台になった地下鉄こそが、現代の神話が堆積されていると言う。その地下鉄の電車の中で白人の女性と黒人の男性が繰り広げる神話の縮図が今回の物語。白人の女性は色目を使い、黒人男性に話しかける。しかし彼女は全くその男性には興味がない。会話だけで進められているが、最後には悲劇を迎える。そしてその犠牲者は黒人男性だ。そしてこのドラマでりんごが頻繁に食べられるのは、アダムとイヴの話から来ている。白人と黒人の関係をアダムとイヴに例え、その関係性をケインとアベルに引き継がれる問題としても考えられる。
タイトルの元になった「フライング・ダッチマン」はアフリカのケープタウン近海でオランダ人船長が呪われ、船長は幽霊として永遠に彷徨い続ける事になった。クレイ...つまり黒人男性の無念さは、幽霊として永遠に彷徨い続けるのだ。
(9/28/11:DVDにて鑑賞)