という訳で、オスカー・ミショーの作品を!オスカー・ミショーについては、リンク先を読んでください。まあ一言だけ書くなら黒人映画のパイオニア。そんなミショーの作品は残念ながらフィルムが現存している作品が少なく、残っていた少ない作品のひとつがこの作品。オールトーキーではあるが、なにせ残っていたフィルムの状態が良くなかったのもあり、これは今まで観たミショー映画の中でもかなり観難い作品でした。音声も潰れた感じで聞き取り難いし(ネイティブでない上にもちろん字幕なんてなし)、画像自体もかなり雑で悪い。正直、誰が誰なのか確認するのも難しいレベル。なので何回も巻き戻しながら観ました。でも残っていたのが奇跡に近いレベルだからね、観れるだけでも感謝です!
学校が終わり夏休みに入った6月。南部の黒人大学を卒業したポール(ソール・ジョンソン)は、リロイ(”スリック”・チェスター)から一緒にシカゴに行かないか?と誘われる。シカゴに着いたポールは、ナイトクラブでシンガーをしているダイナ(ビー・フリーマン)と出会い、すぐに恋に落ちてしまう。しかもプロポーズまでしてしまう入れよう。しかしダイナはそんなポールからのプロポーズを受け入れられなかった。なぜならダイナはそのナイトクラブのオーナーの妻であり、そしてポールを誘ったリロイと不倫関係にあったからだ。ダイナに振られたポールはエヴァリン(エセル・モーゼス)と出会い、食事をする。それを知ったダイナは嫉妬する。ダイナはリロイを使い、ポールを酔わせそして薬で気を失っている間に、ポールのお金を盗む事を企んだ。上手くいったダイナとリロイだったが、2人の不倫関係が夫にバレてしまい...
この頃はまだまだグレード・マイグレーションと言われる南部の黒人が北部や西部に仕事を求めて移動する時期でした。以前に読んだポール・ローレンス・ダンバーの「The Sport of the Gods」も時期は違うけれど、同じように南部から移動した黒人一家の物語。都会で翻弄されてしまう人々。都会には誘惑が多いんですかね?都会の女は悪く描かれがち。でも、この映画では都会でもいい人は居るもので、メイドの女性がそうでしたね。ミショーは同胞に「仕事を求めて、またはジム・クロウ法から逃れて都会に出るのはいいけど、都会にも色々な誘惑や事が待ち受けているから気をつけてね」と言いたかったのでしょう。
そしてこの時代の女性は情が厚いですね。「The Scar of Shame / 日本未公開 (1927)」の時にも感じましたけど... 今ならとことん悪女か、もしくは英雄的なヒロインとして描かれてしまう。情があるからこそ、殺気だっていて、だからこそ哀しい女でしたね。演じたのは、ビー・フリーマン。オスカー・ミショーの作品だけに出ていた女優さん。セピアのメイ・ウエストなんて呼ばれていたらしい。メイ・ウエストはマリリン・モンロー以前にセックス・シンボルだった女優さん。グラマラス。なんていうか、今でいうならニッキー・ミナージみたいな。この映画では歌も披露してますしね!という事で、この時代のナイトクラブの映像を入れているのも、この時代の映画の楽しみな所。ミショーだけでなく、同じく黒人監督だったスペンサー・ウィリアムスの映画などでもそう。タップや踊りや歌が見れます。
あ、中国人が出てくるのが驚きでしたね!この時代の黒人映画だと、白人か黒人か...でしたから。
(4点/5点満点中:4/20/14:DVDにて鑑賞)