Lying Lips / 日本未公開 (1939) 15本目
この前の「The Girl from Chicago / 日本未公開 (1932) 」に続いてオスカー・ミショーの作品です。実はこの2本とスペンサー・ウィリアムスの2作品(1作は監督、もう1作は出演のみ)の4本組で脅威の値段で発売しているのをアマゾンで見つけてしまい...4.99ドルですよ。あれ5.99ドルだったかな?いずれにしても、恐ろしい値段。びっくりしちゃうよね、マジで。貪欲にアマゾン張りしていたお陰っす。
この前の作品よりも保存状態は良く(それでも途中で思いっきり切れてますけどね)、編集具合もかなりいい感じ。第一に物語が分かりやすいメロドラマ!展開も分かりやすいです。こちらも歌に踊りと、かなりエンターテイメントな作品。主演のエルシーを演じたエドナ・メエ・ハリスは、後にこの作品を「この映画のメッセージはエンターテイメントという簡単な事よ」と語っています。当時にしては珍しく、女性のお風呂シーン等もあったりします。でもそのシーンはただ単に男性のお楽しみシーンじゃなくって、女性が独り言によって自分の気持ちを告白する大事なシーン。ハリスはオスカー・ミショーの思い出を「彼は俳優に対して絶対に叫んだりして怒ったりしない。ユーモアで分からせてくれる人だった。」と言っています。歴史的に優れていただけでなく、実際にも素敵な人だったんだろうなーと思います。実際にハリスが大手映画会社の作品「The Green Pastures / 緑の牧場 (1936)」に出演した時には週75ドルだったそうですが、ミショーは1日に10ドル支払っていたそう。でも、いつも支払いは映画が上映されてからかなり経ってから支払われたそう。ま、それでも多くの俳優がミショーの作品には続けて出演する事が多かったので、みんなミショーの男気に惚れていたのかもしれないですね。あくまでも想像ですけど。
所で... ジェームス・アール・ジョーンズ(と言えば「星の王子NYへ行く」のキングだね。ダースベーダーの声違うんかい!)の父で俳優のロバート・アール・ジョーンズが出ています。声はちょっと違うんですが、滑舌の良さですぐに分かりました。顔も似てるんですよ。親身になってくれる警官役で登場してます。お父さんもだいぶ活躍したようなんですが、所謂ハリウッドの赤狩り時代に仲間の俳優や監督等の名前を売るのが嫌で告白を拒否したので干されたらしいです。息子のジェームスとはロバートが家庭を捨てて家を出たので不仲だと聞いていたんですが、どうやら映画では共演しませんでしたが、舞台では共演していたらしいです。人に歴史あり。
分かりやすいメロドラマなんですが、これがまた南部に居たときに遡って複雑な人間関係があったりします。この時代のミショーは、ニューヨークやシカゴ等の都会を舞台にしながら、いつも南部のルーツを忘れていなかったようにも思います。丁度この映画の30年代−40年代は黒人が北部へ移る大移動が落ち着いてはいたけれど、それなりに北部の大都市では色々な問題を抱えていたんだろうなーと想像しながら見てました。映画に歴史ありですよ。
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(4.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)