オスカー・ミショーやその周辺についてのドキュメンタリー。前から見たいなーと思っていたけれど、なにせ中古のビデオですら100ドル以上したので手が出なかった。所が、先日アマゾンを徘徊していたら、このDVDが9.99ドルで売られていた!ビックリ&狂喜して、即効購入。オスカー・ミショー研究者の第一人者と言ってもいいでしょう...パール・ボウザーが監督した作品。彼女は大学で研究している訳ではありませんが、アフリカン・ディアスポラ・イメージ・コレクションの創設者。そこでは歴史的な黒人映画についての記念品等を保管している。そしてオスカー・ミショーについての本も執筆。
Writing Himself into History: Oscar Micheaux, His Silent Films, and His Audience
- 作者: Pearl Bowser,Louise Spence,Thulani Davis
- 出版社/メーカー: Rutgers Univ Pr
- 発売日: 2000/08/01
- メディア: ペーパーバック
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と前置きが長くなりましたが、この作品はPBSで放送された作品。日本で言うならNHKで放送された...と言う感じ。本とは違って基礎から分かりやすく解説。タイトルの「ミッドナイト・ランブル」というのは、1910年から1950年までアメリカの南部(南部だけでなくて南西部にも存在していたらしい)では黒人向けの映画館が500館近くあった。それらの映画館は大体夜中の12時から朝の2時まで(今みたいに2時間映画は無いのでショートを何本か上映していたんだと思う)、黒人が主役の映画を上映していた。それは「ミッドナイト・ランブル(夜中にぶらつく)」と呼ばれるようになっていた。この黒人向け映画館の存在はジム・クロウ法で苦しめられていた黒人を元気付ける避難所みたいな存在だったという。そこでは黒人が軍人として活躍する映画や、ケーキウォークを踊る黒人、タスキーギ大学で活躍する黒人、どたばたコメディの黒人などの映画が上映されていた。そして1915年に「The Birth of a Nation / 國民の創生 (1915)」が登場。この映画をきっかけに黒人へのリンチが増えた。その頃に作家としてデビューしていた元小作人のオスカー・ミショーは映画を作る事を決意し、自分の小説「Homesteader」を映画化。映画ではインターレイシャルの結婚、色の白い黒人そして濃い黒人等が描かれている。また当時戦争で戦った黒人が白人の暴徒に制服を着ているのに襲われた事件が発生し、それも映画に反映している。そしてすぐに「国民の創生」へのアンサーとして「Within Our Gates / 日本未公開 (1920)」を制作した。
という風にオスカー・ミショーとその年代を追っていくドキュメンタリーです。貴重な映像も多くて、9.99ドルとは得した気分。「Within Our Gates」までしか書きませんでしたが、ドキュメンタリーでは大体50年代まで追っていってます。しかも「The Bronze Buckaroo / 日本未公開 (1939)」等でしられる俳優ハーブ・ジェフリーズがインタビューに答えてます。本人の口からどうしてああいう映画を作っていたかが語られてます。それも中々泣ける。それは今度どこかで披露します。後、オスカー・ミショーの「Lying Lips / 日本未公開 (1939)」に出ていたエドナ・メエ・ハリスもインタビューに答えてます。
あ、先日から100本映画にまつわる人々の写真をTumblrにアップしてますので、そちらもよろしくどうぞ。
(4.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)