ずっと見たかったんですが、去年の12月に発売される随分前からリクエストしているのに、全然手元に届かず... 届いたのはつい先日。こんなに待ったのは今までで最長かもしれない。半年以上って!「The BEST OF SOUL 2009」もこの作品を見てからと思っていたのですが、全然届かないので痺れを切らして以前に更新しました。でも作品は待った甲斐があって、最高でした。というか、どんだけモハメド・アリっていう男はドラマがあるのでしょうか...
今回はタイトル通り「アリと対戦した」男達が語る物語。それぞれに全く違ったドラマがあって面白い。しかも年代別に追っていくから分かりやすいし、時代背景も掴みやすい。まだチャンピオンではなく挑戦者だった時代、まだカシアス・クレイだった時代、チャンピオンとして絶頂期を迎えていた時代、モハメド・アリとなった時代、マルコムXと仲が良かった時代、そしてそのマルコムと決別した時代、ベトナムへの反戦として徴兵を拒否してボクシングが出来なかった時代、そしてザイール74の「キンシャサの奇跡」、そして引退、パーキンソン病との戦い。
モハメド・アリという男はランニングしているだけでドラマになるアスリート。きっと10年...いや100年に一度の希代で唯一無二のボクサー。しかしそんなボクサーと対戦した方にもそれぞれのドラマや事情があって、それぞれが違った趣で話すのを聞いているだけで面白い。でも共通しているのは、みんなモハメド・アリを尊敬しているという事。中でも私の気を引いたのはやっぱりケン・ノートンですね。ケン・ノートンは悪名高い「Mandingo / マンディンゴ (1975)」や「Drum / ドラム (1976)」なんていう映画にも出てますからね。しかしモハメド・アリと対戦するまでは無名で、シングルファーザーとして何とか息子を食べさせていた事実を聞くとなんとも言えない感情が襲ってきます。しかも声もカスカスで歩くのもやっとなあのマンディンゴを見るなんて思ってもいませんでした。そのマンディンゴで立派に息子を育てて、息子も別のフィールドで頑張ったので、マンディンゴの事は忘れたいと思った。他の人も話したり記憶がちゃんとしている人も居れば、かなり話すのもやっとな人も多くて、ボクシングの大変さを思い知らされます。でもラストにそれぞれがモハメド・アリを語る部分はそれぞれが様々な表情をし、様々な言葉でアリを語る。あれを見ると、リングの上で戦った男達にしか分からないボクシングの美しさみたいのを感じます。
モハメド・アリの凄い所は一度負けても、リベンジでは絶対に勝つ所。もちろん引退前はそうはいかないけれどね。しかし本当にモハメド・アリは尽きない。あと映画も20-30本は軽く作れてしまいそう。いや作って欲しい。
この作品は本が原作。
- 作者: スティーブンブラント,Stephen Brunt,三室毅彦
- 出版社/メーカー: MCプレス
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
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(5点満点:DVDにてランブル鑑賞)