やっと書きました。って観たのがもう10日前だった。10日間何してたんでしょうね、全く。(んー、多分WC見てた)
インディペンデンス映画のパイオニアとも言われているジョン・カサヴェテスの監督デビュー作。ニューヨークで演劇のワークショップを開催していたカサヴェテス。今回の映画も実験的に即興で台詞をつけるという面白い試みで作られている。制作年は1959年だけど、実際には1957年にもう撮っていたとの事。この映画フィルムはかなり保存が悪かったのもあるし、最初に書いたようにインディペンデンスというのもあって、発見された時にはかなりフィルムは痛んでいたとの事。そこでUCLAが修復作業をしてリマスター。と言ってもその作業も大変。57年に撮ったフィルムと59年に撮ったフィルムの色具合も全然違っていて合わせたりと大変だった様子。UCLAはそういう部分で映画保存に貢献してますね。
で、何で私がジョン・カサヴェテスの映画を見たかというと、この映画は黒人の間にある皮膚の色の違い等も描いている作品であるからです。この当時はTragic mulatto(悲劇の混血)なんて言われていた皮膚の色の違いという黒人社会にとっての永遠のテーマです。3人の兄弟が主人公ですが、長男のヒューだけは混血ではない。とは言え、アメリカで血が混ざっていない黒人なんて居るのか?という事もありますが...でもヒューだけは、見た目が誰から見ても黒人という設定。下の2人が白人との混血。真ん中のベンという男は、白人の不良グループと付き合って仕事もロクにせずに、喧嘩やナンパばかりしている男。黒人である事を拒否している感じを受ける。一番下がレリアという女の子。上の2人の兄から随分と可愛がられている。彼女は黒人である事を拒否している訳じゃないけど、黒人でもあり白人でもある事を現実としてクールに捕らえている。でも白人男性に恋した時に少し変化してしまう。
と、真っ向から黒人社会を扱っているように思えるんですが、なぜかあまりブラックムービー関連の本には登場してこない作品ではあります。ブラックムービーじゃなくてアート関係の映画では好かれているみたいなんですけどね。時代的にも公民権運動が盛んになる前に作られた作品で、「Pinky / ピンキー (1949)」や「Imitation of Life / 模倣の人生 (1934)」等の悲劇の混血映画ブームも少し落ち着いた面白い時期に作られているんですけどね。殆どのブラックムービーの歴史本でもスルーされてます(もちろんスルーしてない本もあります)。ただ混血の2人を演じた俳優が実際に混血じゃなかったので、生の声という風には感じませんでしたね。どこかクール過ぎる台詞もあるし、逆に熱すぎる台詞もあった感じがします。この映画の中枢ともなり印象的なシーンでもあるレリアとトニーのラブシーンのあとの会話は上手すぎると感じた。ボーナス映像に寄れば、あれは監督が書いた脚本であるとの事。あのシーンのレリアは哲学者過ぎる。レリアは割りと時代を象徴するような刹那的な生き方をした女性かと思っていたのに、割りと考えている女性なのかとあの時思った。
(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)