Edge of the City / 暴力波止場 (1957) 1185本目
こちらのクラシック映画で今年の映画開き。ジョン・カサヴェテス、シドニー・ポワチエ、ルビー・ディ、ジャック・ウォーデン、マーティン・リットと名前を並べただけで、もう名作なのは当たり前でしょう!!スパイク・リーは黒人監督以外が黒人テーマの作品を撮ると、物凄くこき下ろすけど、マーティン・リットだけは別!と、あのスパイク・リーも彼の撮った作品の黒人像を褒めるほど。そのマーティン・リットの初長編作品。なのにもう凄い!
ジョン・カサヴェテス演じたアクセルは、夜に何かに逃れるように波止場に着く。チャーリー(ジャック・ウォーデン)という男のツテで仕事を探していたのだった。しかし夜も遅くて、チャーリーも帰宅済み。アクセルは野宿した。朝になって、気のいい男が起こしてくれた。そしてまた事務所に出向き、チャーリーもやってきた。チャーリーは不可解な顔をしていたが、アクセルの調子に合わせ、仕事を世話し、そのチャーリーの班で波止場で列車に荷物を積む作業員として働く事になった。しかし、世の中そんなに甘くは無かった。チャーリーからしっかりとピンはねされる事を即効で知るアクセル。しかもチャーリーは人使いも荒くて人間的に嫌な奴。事務所で調子を合わせてくれたのは、ただ単にピンはね目的。がっかりするアレックス。しかもチャーリーは色々とうるさい。そんな時に優しく声を掛けてくるのが、朝起こしてくれた気のいい男性トミー(シドニー・ポワチエ)だった。トミーもチャーリーと同じく班のリーダー。チャーリーからこきを使われているアレックスを見て、「俺の班で働けよ、事務所に話しておいたから」と、アレックスに声を掛ける。最初はトミーの優しさに戸惑うアレックスだったが、次第にトミーに心を開いていく。しかしそれを横で見ていたチャーリーは気に入らず、余計にアレックスやトミーにちょっかい出すのだった。そしてアレックスには秘密があり、チャーリーはそれを知り...
まー、このシドニー・ポワチエが陽気で優しくて最高!そしてシドニー・ポワチエの妻を演じさせたらピカ一のルビー・ディも当然ながらの安定感!これまたジョン・カサヴェテスが最強ね。もうラストシーンの表情とか、鬼の形相で凄い。ジャック・ウォーデンの最低男も最高です。
なんでスパイク・リーがマーティン・リットだけは認めているか?ですよね。まあ先輩(マーティン・リット)に上から目線かもしれませんが、彼が撮ってきた黒人像ってとっても自然。所謂、マジカル・ニグロとかビック・マミー的な「白人の為に尽くしますよ」感が丸でない。彼の撮る映画はいつも両者が同等。今回のこの映画では、ポワチエ演じたトミーが、カサヴェテス演じたアレックスにあそこまで尽くすことないじゃん!と感じてしまう人も居るかもだけど、それはルビー・ディの台詞にヒントが隠されている。トミーは友人を求めていた。リーダー格のトミーは他の労働者とは垣根があったのかもしれない。最後の方に明らかになるけど、そこで働く人たちはみんなよそよそしくて、仕事してお金さえもらえればいい人たち。トミーはそれを一番感じていたんでしょうね。でもアレックスは心を開いてくれた。そしてアレックスは、トミーを必要以上に黒人だと感じさせない人物でもあった。だからこそ、最後はアレックスに託す事が出来た。
名作ですな。この話でもう一回観たい!この映画を今リメイクしたら?と思ってしまい、勝手にキャスティングを考えてみた。ジョン・カサヴェテス→ベン・アフレック、ルビー・ディ→当然ケリー・ワシントン!、ジャック・ウォーデン→ラッセル・クロウ、そしてシドニー・ポワチエ→デンゼル・ワシントンと思いきや、意外とイドリス・エルバかなー。デンゼルも最高なのは分かっているけど、この世代にやらせたい!!キウェテル・イジョフォーやジェイミー・フォックスも浮かんだけど、ペントコスト司令官の上司ぷりが、また見たい!
(4.75点/5点満点中:1/3/14:DVDにて鑑賞)