クラシック映画。ポール・ニューマンとシドニー・ポワチエが共演。しかもポール・ニューマンの妻ジョアン・ウッドワードと、当時シドニー・ポワチエの愛人でもあったダイアン・キャロルがそれぞれの相手役を務めているダブルデート的な映画。見せつけられるんだー、これが。公私混同も...と言いたい所なんだけど、古典に相応しい名作。この映画のポワチエとダイアン・キャロルのワンシーンの写真のポストカード持ってます。2人共になんとも言えない顔をしていて好きなんですわ。この映画の素晴らしさは、もちろんキャスティングもですが、デューク・エリントンのサントラ、そしてなんと言ってもマーティン・リット監督でしょうか?白人監督が黒人の映画を撮る事にいつも反対しているスパイク・リーでさえ、「普通はそういうの嫌いだけど、マーティン・リットみたいに繊細に扱ってくれる監督は許せる」と前に語っていた。マーティン・リットは映画監督デビュー作「Edge of the City / 暴力波止場 (1957)」から一貫して黒人を同等に扱っている。「Sounder / サウンダー (1972)」は彼の名作中の名作。私の好きな映画のベスト10には必ず入る。
今回はポール・ニューマンとシドニー・ポワチエがアメリカからパリにやってきたジャズマン達を演じている。2人はパリの小さなクラブで演奏しているが、もちろん有名になる事を夢見ている。ニューマン演じるレムは作曲して認められたいと思っているが、イマイチ自信が無い。音楽が全てだけど、どうも現実から逃げてしまいがち。女性に対しても同じスタンス。音楽の為に深入りはしたくない。ポワチエ演じるエディはアメリカでの黒人差別の現状が嫌でパリに逃げてきていた。この頃のクインシー・ジョーンズがそうだったよね。そういえば「Ray / レイ (2004)」でもそんなシーンがありましたね。クインシーがレイ・チャールズにパリに来れば差別なんて気にならないぞって言うシーン。そして映画界でもMelvin Van Peebles (メルヴィン・ヴァン・ピーブルス)もこの頃にパリに移住しているよね。アメリカで成功したのに(メルヴィンはちょっと違うけど)、黒人差別で嫌な思いはしたくないとパリに移住する人が多かった時期と重なるんですね。と映画に話を戻すと、レムが「パリ・ブルース」という曲が出来た頃に、アメリカから人気のジャズマンのワイルドマン・ムーアがパリにやってくる。ワイルドマン・ムーアを演じたのがルイ・アームストロング。そうサッチモ。デューク・エリントンとサッチモ。わお。そのワイルドマン・ムーアに「パリ・ブルース」の楽譜を渡して、有名なベルナールに渡して欲しいと頼む。渡したのは、パリの駅。そこでたまたまレムと出会ったのが、ダイアン・キャロル演じるコニー。フランス語が分からなくて困っている所を助けたのがレム。そしてコニーと一緒にパリにやってきていたのが、ジョアン・ウッドワード演じるリリアン。レムは礼儀として2人を自分が演奏するクラブに来るように勧める。コニーは「パリにまで来てジャズなんて!」と嫌がるが、リリアンは「レム、カッコいいー」とコニーを連れて無理やりクラブに行くのです。まあハッキリ書いてしまえば、若い女の子が旅先で期待するようなロマンスを描いているわけですが... でもさすがマーティン・リット。大人の恋愛映画に仕立てております。社会的な問題を上手く取り入れている。だって、リリアンとコニーが普通に友達で一緒にパリに来るなんていうのは、60年代の初期では中々難しいですよ。しかもコニーは学校の先生で、リリアンは子持ち。レムとエディの関係も非常に良い。同等なんですよ。レムやリリアンが上から目線なんて事は絶対に無い。またドラック問題も扱っているのも良かった。
大人のラブストーリー。子供に分かるかなー。最後のリリアンの台詞とか最高よ。そして最後のシーンでパリの駅構内のワイルドマン・ムーアのポスターを張替えしているシーンも細かいけど、素晴らしい。
(5点満点:TV放映したものをDVD録画して鑑賞)