先週のロサンジェルスタイムスの日曜版の映画部門では面白い記事があった。
「Black Like Them」という題で、映画やテレビで今までに黒人俳優が演じてきた大統領についての記事。冒頭で、クリス・ロックが監督した「Head of State」の黒人の大統領が決まり白人が一斉に家から飛び出してクレイジーになるシーンを引用、そしてDVDの特典になっているクリス・ロックの「私が生きている内に黒人大統領の姿を見られるか分からない」という発言も載せられている。ちなみにクリス・ロックの映画「Head of State」の製作は2003年。5年前の話。そのクリス・ロックも今ではバラク・オバマの支援をして資金集めの手伝いもしている。
今や映画やテレビの世界では黒人が大統領になる事は珍しい事でない。その件について、UCLAのラルフ・J・バンチ・アフリカ系アメリカン学センターの学者ダーネル・ハントは「ポピュラーカルチャーは、もはや楽しむ為の物ではなくて、我々に本当の事をリハーサルする機会を与えてくれている。だから我々は我々がどういう感じで、またどんな風になるのかも想像出来る」と語っている。
見せ掛けの黒人大統領は7歳のサミー・デイビス・ジュニアが演じた「Rufus Jones for President / 日本未公開 (1933)」が最古になるかもしれない。タイム誌の記者のポイントとしては、テレビシリーズ「24」の成功を挙げている。俳優デニス・ヘイスバートが演じたデビット・パーマーの影響も大きいと。演じたヘイスバートは「率直に正直に話すと、私が演じ脚本家が書いたあの役は黒人大統領もありうるという事を多くのアメリカ人達の目を開かせる事になったと思う。」と語った。更に「いつも(物語は)道理にかなっていて、私はあの役を偽者のようには演じなかった」と語った。
デニス・ヘイスバートの役や、モーガン・フリーマンが「ディープ・インパクト」で演じた大統領役は、白人にとって(黒人大統領を迎い入れる事を)より拒否感を感じずに、『可能かもしれない』という風に思わせたのかもしれないとも書かれている。
しかし「24」のデビット・パーマーは暗殺によって命を落としている。その事については、デニス・ヘイスバートも怒りを顕わにしている。「24」のプロデューサーは、「番組はサスペンスなので仕方ない事」と語っている。その後のシーズンでデビット・パーマーの弟も登場して大統領になっているが、彼も暗殺されそうになっている。
同じ「24」のプロデューサーは「黒人の大統領をドラマに入れる事は、アメリカの素晴らしい展望は示されています。そしてジャック・バウワーという英雄が、その候補者の信じる物を支えるとは、素晴らしい愛国心だと思います」と語っている。
また「Head of State」の製作に関わった脚本家のアリ・リロイは、「Head of State 2」のエンディングを考えている。「黒人大統領が上手くいって、そして今度は白人の候補者と争う事になるんだ。そして今度は黒人が家から飛び出してこう叫ぶんだ『ノー、また白人の男は嫌だ!』とね。」
というか私が思うに「24」や「ディープインパクト」見てない白人でもオバマを支援している人は沢山いると思う。逆に言えば、「24」や「ディープインパクト」見ている黒人でもオバマを支援しないという人もいると思う。人種というより本質を求める人が増えて来た事かもしれないと思う方が無難では?