I call it F-F-F: Fashion-Forward Philanthropy, I know how to spell 'philanthropy'... branding, though.

『Sorry to Bother You / ホワイト・ボイス (2018)』のブーツ・ライリー監督最新作。前作に続いてラキース・スタンフィールドも出演。今回の主演は『Nope / ノープ (2022)』のキキ・パーマー。共演には『Zola / ゾラ (2021)』のテイラー・ペイジ、『Whitney Houston: I Wanna Dance with Somebody / ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY (2022)』のナオミ・アッキー、そしてベテランのデミ・ムーアらが名を連ねる。キキ・パーマーは製作総指揮に加え、劇中歌も担当。2026年SXSWのオープニング作品としてワールドプレミア上映された。
サンフランシスコのベイエリアで、コルベット(キキ・パーマー)、マライア(テイラー・ペイジ)、シャーデー(ナオミ・アッキー)は、クリスティー・スミス(デミ・ムーア)がオーナーである「メトロ・デザイナー」店で洋服を万引きし、転売する「ベルベット・ギャング」と呼ばれるグループを結成していた。スミスは、そんな彼女たちを「下品なアーバンのビッチたち」と呼び煽った。3人は復讐のために、従業員としてメトロに侵入する。するとメトロの服を作っている中国の工場の現状を知り...
あらすじを少しぼかしているので伝わりにくいかもしれないが、本作はかなりファンタジー寄りの作風。ファンタジーというか、「SFも入っているの?」と感じるほど。ブーツ・ライリー監督らしく、奇想天外でありながら社会的なメッセージがぎっしり詰まっている。もちろん彼らしく騒々しく、そしてギョッとするほど大胆な形で表現されている。ポスターや予告編からも分かる通り、ビビッドな色使いが強烈で目を引く。
劇中に登場する女性たちの名前は、マライア(・キャリー)、シャーデー、そしてコルベット。コルベットは恐らくプリンスの曲名(「Little Red Corvette」)かな? 劇中のセリフからコルベットの本名が別にあることが分かるので、他の二人も同様に自分たちの好きな名前を名乗っているのかもしれない。タイトルの「Boosters」の意味も、作中でしっかり説明してくれるのでここでは伏せておく。
テーマとして描かれるのは「持てる者と持たざる者」。難しく言えば、資本主義が行き着く先の問題。その中に信仰心の危うさなども描かれている。こう書くと難解に思えるかもしれないが、鑑賞中に「ん?」となる場面があったとすれば、それはメッセージ性ではなくライリー監督らしい過激な下ネタに対してなので、テーマ自体は非常にわかりやすい。とにかく面白いのだ。ラキース・スタンフィールドは登場するだけでズルいレベルの存在感があり、思わず笑ってしまう。「よく真顔で演じられるな」と感心するほど設定からして最高だ。ドン・チードルに至っては、最後のエンドロールを見るまで出演に気づかなかったほど、流石の化けっぷり。デミ・ムーアの悪役ぶりも実に見事で、自分自身のキャリアをセルフオマージュしたかのようなキャラクター作りが最高。さらに、あの美声だけとはいえヴィゴ・モーテンセンが出演しているのにも驚き。
冒頭からSNSなどでも感じる虚栄、見栄、自己顕示欲を巧みに表現していると感じさせられるし、それだけでなく純粋に思わず笑ってしまう仕上がりになっている。「持たざる者たち」は、気づいた時には闘わなければならない。それはいつの時代も変わらない。タイトルのように「Boosters」を愛すること(肯定)は難しいが、少なくともこの映画と、劇中のコルベットたちのことは大好き。
I Love Boosters / 日本未公開 (2026)
(4.5点/5点満点中)