The Watsons Go to Birmingham / 日本未公開 (2013) (TV) 1444本目
児童書が原作のTV映画。原作は、アメリカの図書館ならばどこでも必ず置いてあるんじゃないかな?っていう程、どこでも見かける。という事で、そんな有名な児童書の映画化の脚本を書いた一人がスパイク・リーの嫁トンヤ・ルイス・リー。
1963年ミシガン州フリントに住むワトソン一家。ミシガンの冬は厳しい。暖房が壊れて家族は身を寄せて暖を取っていた。12歳のケニー(ブライス・クライド・ジェンキンス)は真面目っこで、イジメられていた。しかし兄のバイロン(ハリソン・ナイト)は助けもしない。寧ろ一緒になってイジメていたのだ。バイロンの友達は不良が多く、バイロンも流されて学校をサボったりと、トラブル続きであった。業を煮やした両親(ウッド・ハリス&アニカ・ノニ・ローズ)は、夏に妻の実家であるアラバマ州バーミングハムに行くことにした。妻の実家の母サンズ(ラタンヤ・リチャードソン=ジャクソン)は厳しいので、改善しなければバイロンを置いていき、更生させる目的であった。口はうるさいけれど、家族思いの末っ子の女の子ジョーイ(スカイ・ジャクソン)を含む5人の旅が始まる。
1963年、アラバマ州バーミングハムでぴーーーーんときた貴方は立派な公民権運動マニアですよ。この作品は、実際にアラバマで起きた事をフィクションであるワトソン一家が経験した事になっていて面白い。1963年にアラバマ州バーミングハムで起きた事...それはあのコンドリーザ・ライスも経験したバーミングハム教会爆破事件ですね。スパイク・リーもドキュメンタリー映画『4 Little Girls / 日本未公開 (1997)』にしたあの事件です。このワトソン一家はその事件に遭遇してしまう訳です。この原作の上手い所は、それだけじゃなくて、ワトソン一家を北部のミシガンから深南部のアラバマに行かせた事で、読者である子供たちが当時の北部と南部の違いを浮彫にさせている。そしてエミット・ティル(参考映画)を直接描いてはいないけれど、この作品の主人公のケニーとバイロンに北部とは違う南部を経験させている。独特のルールを知らない怖さを描いているんですよね。で、原作には出てこないけれど、南部の従兄弟たちの存在も面白い。彼らは幼いながらも抗議行進に参加する子供たち。映画になっているのはアラバマ州のセルマ(そうあのセルマ)であったけれど、バーミングハムでもやはり子供たちの抗議行進があって、それを反映させている。メドガ―・エバースの暗殺もラジオで聞いたりする。そして1963年といえば、もう一つの大きなイベント...ワシントン大行進があった。それをテレビで見ていたりするのもいいですね!という訳で、キング牧師とかこの映画に出てきてもいいのに、実在した人で出てくるのは、ジェームス・バベル。『Selma / グローリー/明日への行進 (2014)』ではコモンが演じた役でしたね。今回の人が非常に良く似ておりました!セリフも少ないけど、(・∀・)イイ!!
主人公のケニーがメガネ姿が、『グッドモーニング, ベトナム』の時のフォレスト・ウィッテカーそのままだった!なので非常にこの役ぽさが出てましたね。お兄ちゃんも妹もベストキャスティング!従兄弟の1人が私の中で断然に注目を集めている『Dope / DOPE/ドープ!! (2015)』のマルコム事、シャミーク・ムーアだった!!テンション上がる。
所でその有名な原作を書いているのが、クリストファー・ポール・カーティス。彼の作品は彼の地元であるミシガン州フリントが舞台になる事が多い。今回もそう。そのフリントは今、水道水の汚染が広がっていて問題になっている。未だ完全普及せず。多くの有名人が水を寄付したりしている。っていうのを思い出しながら見ました。しかし、やっぱりアメリカの黒人の歴史は今どこに住んでいても、南部とは切っても切れない人が多いなーとも思いました。やっぱりルーツは南部だったりするよね。もちろん、それだけじゃないけど。
(4.25点/5点満点中:2/10/16:DVDにて鑑賞)