まだまだ続くよキング牧師おたく道。しかもこれは我らのデンゼル・ワシントンがナレーション。デンゼル・ミーツ・キング牧師... 何て言うか、これは私にとって盆と正月&鴨ねぎ状態!ヤヴァイっすよ。所でこのタイトル『ザ・マーチ』は何かというと、キング牧師が数々行った行進の中でも「ワシントン大行進」の事を指しております。なのでワシントン大行進の事だけを追う密なドキュメンタリー。
キング牧師がインタビューで7歳になる娘(ヨキちゃん:ヨランダ・キング)が、楽しみにしていたファン・タウンに行けない事をとても悲しんでいる。その理由はただ一つだけ。彼女の皮膚の色だった。というのを話している。そしてバーミングハムで4人の少女が教会に仕掛けられた爆発で亡くなった。キング牧師やA・フィリップ・ランドルフなどの黒人指導家たちは「南部の黒人問題というよりも、ワシントンDCに持っていき国の問題として認識してもらおう」という事で、ワシントンDCでの行進を企画する。
キング牧師はワシントン大行進を第2の奴隷解放宣言にしようと目論んでいた。なぜならワシントン大行進が行われた1963年は奴隷解放宣言から100年目だったのである。そしてキング牧師はあの「私には夢がある」のスピーチで、第2の奴隷解放宣言どころか、黒人だけでなく全世界の人々を感化させる素晴らしい歴史を残した訳ですね。うわ!カッコ良い!何このカッコ良さ!!という訳ですよ。そしてそのスピーチにも裏話があって、有名なのがキング牧師のご贔屓であるゴスペルシンガーのマヘリア・ジャクソンが「マーティン、貴方の夢を語りなさいな」と叫んだので、元々書いていたスピーチの原稿を閉じて「私には夢がある」を語り始めたという話ですよね。もう最高な話です。
そしてこの行進にはハリウッドから大物俳優が多数駆けつけた。マーロン・ブランドにスティーブ・マックイーンにチャールトン・ヘストン... この3人で映画作ったら今だったら幾ら掛かるよ!っていう凄い面子。っていうか、そんな映画観たいよ!しかもそれだけじゃなく、黒人エンターテイナーのサミー・デイビス・ジュニアにシドニー・ポワチエなども参加。音楽界からは若いボブ・ディランにジョーン・バエズも参加。この豪華さの影にはハリー・ベラフォンテありですよ。今でこそハリウッドはリベラルな政治発言をする人が増えてますよね。レオナルド・ディカプリオは環境問題に積極だったり、ジョージ・クルーニーもよく分からないけど何かやってますよねー。そういう人たちの先駆けがハリー・ベラフォンテ。この人のエンタメでの功績はその才能だけじゃなくて計り知れないです。親友のシドニー・ポワチエの自伝でも、それが良くわかりますよ。2人の一番好きなエピソードが、フリーダムライダーズ(黒人・白人混合でバスに乗り南部を旅)が逮捕されたので保釈金のお金も出す事になり、それを届ける為にベラフォンテにハメられてポワチエまで南部まで行く羽目になったという話。ベラフォンテは公民権運動界のハスラーですよ。超カッコ良い!で、ハリウッドからワシントンDCまでプライベートジェットでみんなを集めて行ったんだけど、その費用はずっとベラフォンテが出したんだと思っていたけれど、ブランドだかマックイーンだかヘストンだか誰かもお金出したらしい。ってこのドキュメンタリーで語られていたけど、誰だか忘れた!ちゃんとメモ取れば良かった。後で見直すね。(ちなみにセルマからモントゴメリーの行進の時にエンターテイナーを呼んだ時のチャーター便はベラフォンテ持ち)
で、このワシントン大行進はA・フィリップ・ランドルフと、その弟子であるベイヤード・ラスティンが計画・主催したものであります。とても平和的に有益に終わった大行進でありましたが、開催前は白人の人々は大挙して押し寄せる黒人たちが暴動を起こすに違いない!と思って恐れていたらしい。まったく酷い話ですよ!もう今と全然変わらないその偏見。で、キング牧師はその大行進の演説の中で「我々は決して満足などしない。我々黒人が言うの耐えないほどの恐怖に満ちた警官の暴力の犠牲者である限り」と語っていた。その演説から50年の今、未だに変わらない状況にも恐怖です!
(4.5点/5点満点中:6/1/15:DVDにて鑑賞)