Shelter / 日本未公開 (2015) 1426本目
見た目やJ.A.R.V.I.S.の声から察するにキッチリしてそうな俳優ポール・ベタニーが初監督に挑んだ作品。やっぱり思った通りキッチリとしている映画です。ベタニーは監督もやってみたかったらしいが、キッチリした性格故に踏み出す勇気が出なかった。ある時、ロン・ハワード監督に「監督を上手くやる秘密が知りたい!」と直談判したら、「そんなものはない!間違えたらぐずぐずしないで進むのみ!」と言われて決心して作った映画がこれ。『キャプテン・アメリカ』などで知られるアンソニー・マッキーと、我々だと『Higher Learning / ハイヤー・ラーニング (1995)』で見た事あるかな?私世代ですと、ロードショーとかスクリーンの表紙でもお馴染みのキッチリ眉毛のジェニファー・コネリーが主演。
タヒア(アンソニー・マッキー)は留置所の中に居た。ペーパーワークをする為にオフィサーの前に居た。タヒアはナイジェリアからの移民で今はニューヨークに居る。今回は犯罪を犯した訳じゃないので、すぐに出して貰えた。タヒアはホームレスなのだ。自分の所有物がある場所に行ったら荒らされていた。仲間だと思っていた男はタヒアのブーツも取っていた。知り合いの居るモスクに行く。知り合いはタヒアが来る事を歓迎していたが、タヒアは俺の居場所じゃないと去っていく。夜になり雨が降っていた。町の中で女性が自分のジャケットを着ていた。盗まれたのだ。タヒアはその女性を何となく影から追いかける。たどり着いた所は橋の下。女はクスリでハイになって寝てしまった。朝。逆にタヒアの方がゆっくり寝てしまい、女に存在を気づかれた。しかし2人の会話は全くなかった。タヒアはまたその女の後を追う。夕方になってムカついた女はタヒアに突っかかる。そして橋から飛び降りようとした。タヒアは止めた。同じ場所で2人は寝た。そしてそんな2人の生活が何となく始まる。女の名前はハンナ(ジェニファー・コネリー)。タヒアと同じホームレスの女性だ。
最後のクレジットを見る限り、きっとポール・ベタニーが近所で見かけたホームレスのカップルを見て浮かんだ作品である事が察しられる。ホームレスが題材となった映画は今までもあった。ジェイミー・フォックスとロバート・ダウニー・ジュニアの『The Soloist / 路上のソリスト (2009)』もそうだろうし、『The Pursuit of Happyness / 幸せのちから (2006)』も一種のホームレスが題材映画ではある。あまり知られていないけれど『Everything's Jake / 日本未公開 (2000)』は面白い映画だった。今回のこの映画はホームレスの過酷な生活をこれでもかという位冷たく描いている。ニューヨークの冬は辛くて冷たい。そしてニューヨークのお役所関係や医者も冷たい。アメリカぽくない!位に冷たい。アメリカ人はもうちょっと融通がきくのになーとは思った。でも冷たい方がこの映画では面白いので、とても冷たい。そしてあのおっさん!!あああぁああああああぁあ最悪!非道最悪。稀にみる鬼キャラ。うわぁああああ!ってなった。
まあこういう映画に相応しく、ジェニファー・コネリー演じた女性がハマってしまったのが、ダウナー系のヘロイン。やっぱりそうだよね。こういう映画じゃ、コカインはあり得ない!ジェニファーの骨骨具合と凄い血管が妙なリアリティ。
やっぱりキッチリしてそうなポール・ベタニーが撮ると、こういうキッチリした美しい映像になるのね!というのが、スクリーンから溢れ出ております。もう雨とか水の使い方が美しい。とにかく美しい。エンパイアステートビルの色とかその使い方とか美しい。物語というか、とても詩的だった。とにかく美しさが印象に残る作品。ホームレスなのでお風呂とかの問題もあって、普通なら美しく見せるのは難しい筈なんだけど、俳優2人の感じが全然下品じゃなくて、とにかく美しくて至る所が綺麗。
(4点/5点満点中:11/13/15:VODにて鑑賞)