この前のオスカー・ミショーに続き、クラシック映画を。しかもこちらはサイレント映画。という事で、この時代には既にオスカー・ミショーという自主制作の黒人映画監督が誕生しておりましたが、こちらは白人の監督・脚本・制作者が作った作品。でもオール・ブラック・キャスト。まあこの後にその手の映画は多くなる。黒人の観客を狙った...というか、黒人からもお金が取れるなって、やっと分かってそこに目をつけたというか... 20年代から40年代は特にこの手が多くなり「レイス映画」と呼ばれるようになる。でもそれも50年代に入ると、シドニー・ポワチエが登場して少し事情が変わる。という事で、この映画がそれ(レイス映画)の先駆け。この映画に続いて「Hallelujah! / ハレルヤ (1929)」が制作。ってか、私は「ハレルヤ」書いてなかったね。昔に見ているので早々に書こうと思う。
女の子ルイーズ(ルシア・リン・モーゼス)は色々と恵まれていなかった。育った環境が一番大きい。義父スパイク(ウィリアム・E・ぺタス)は、そんなルイーズに暴力まで振るう。たまたまその現場を目撃してしまったのが、アルヴィン(ハリー・ヘンダーソン)だった。アルヴィンはルイーズとは逆で育った環境も良く、家柄も良かった。正義心に溢れ、音楽の才能にも恵まれていた。そんなアルヴィンがルイーズを救うのは当然の事だった。ルイーズの事情を知った、アルヴィンが世話になっている下宿のおばさん(アン・ケネディ)は、そんな義父がいる家に帰らないで、うちの部屋を使いなさい、その代わりにお手伝いしてね、とルイーズを迎い入れた。そして恵まれないルイーズだが、美貌には恵まれていた。なので同情しているアルヴィンがルイーズに恋をしてしまうのは時間の問題だった。ルイーズはアルヴィンと結婚。幸せな結婚生活もつかの間。義父スパイクがお酒のツケをしているバーのオーナーであるエディ(ノーマン・ジョンストーン)は、前々から綺麗なルイーズをバーで働かせてお金儲けを考えていたのだ。エディはスパイクを脅し、ルイーズを連れ戻そうと考えていた。しかもアルヴィンは結婚した事を実家には隠していたのだった。まんまとエディとスパイクの策略がはまるが、もっと悪い事情へと向かっていくのだった...
昼ドラのようなメロドラマ。私が書いていない後の方が壮絶なのですよ。ここからまた色々と起きる。えー!っていう驚きね。その話しの展開が昼ドラ的なの。でもね、最後は悲しいね。ルイーズ、本当に恵まれていない!!やっぱり恋愛に関しては女性の方が情が強いかと...
そしてタイトルの「恥の傷跡」が、ルイーズを追い込んだ。アルヴィンの心の中に潜んでいたルイーズの出自への恥。それがルイーズに傷跡を残した。そしてその傷跡ゆえに、お金に執着して落ちていった自分への恥。そんな傷跡がルイーズを破壊していく切ないドラマ。でもルイーズが全然報われないので、観客もどう感情をコントロールしたらいいのか分からなくなってしまうのです。なんだかなーと、稲川淳二になってしまう。アルヴィンとは別にお金持ちな家族が登場するんだけど、そこの家長であるお父さんがそんなルイーズの姿を見て「我々同胞達は学ぶべき事が沢山ある!」って嘆くんだけど、それもなんだかなーと思ってしまう。上からだよね...と、金がそんなに人を偉くするのか!とね、思ってしまうんですよ。いや、お父さんいい人なんだけど... ちなみにそのお父さん役のローレンス・チェスナルトはオスカー・ミショー映画の常連俳優。
フィラデルフィアの映画制作社が制作。実はこの映画会社は、黒人のヴォードヴィル俳優・コメディアンであったシャーマン・ダドリー(生まれはテキサス)が設立した会社。舞台もフィラデルフィア!!
(4.5点/5点満点中:3/27/14:TV放映にて鑑賞)