やっぱりね、気になるから観てみたよ。「ジャンゴぉー♪」で始まるあのオープニング。やっぱりこの曲はかっこ良過ぎるんだわーと思っていたんだけど、こちらは物凄くドロドロした泥道を棺を引いて歩くジャンゴ。それだけで滅茶苦茶カッコいい!正面じゃなくて、後ろからのショットがね、これまたカッコいい。何か男(ジャンゴ)の疲れた感じが背中から溢れている。それがまた引いている棺の中身に対して、観客は想像を膨らませてしまう。西部劇なのにいきなり馬にも乗ってない。鞍を背中に担いでいる。馬も無いなんて何があったのー!!と想像しちゃいます。それにあの曲。男の哀愁を100倍に膨らませてるよ。
そんな何かを背負った男ジャンゴが、いきなり女性が酷い仕打をされている所に出くわしてしまう。俺は「北軍で戦ったんだ!」と言い、その冴えない女マリアを助けて、マリアを連れて近くの町に向かう。で、後で分かるのがジャンゴが「俺と一緒にいる女は死んでしまう運命だから」と、もう女なんてと思ってる。でも助けちゃうんだよね。しかもわざとマリアを嫉妬させるような事までする。他の女を選んじゃう。もうさ、そうなると女は「抱いてー」ってなるよね。とは言え、マリアにも見せ所があって、ジャンゴを助けるシーンもある。そうなると、ジャンゴもマリアに惚れちゃうんだろうね。
ジャンゴの最大の敵はジャクソンと言う南部の男。クー・クラックス・クランみたいに白じゃないけど赤い頭巾をかぶった集団をまとめている男。これがまた酷い男なんだ。メキシカンの男性を捕まえて、ライフル射撃のようにメキシカンを走らせて、それを狙い殺す。そんな事をやっている悪ーーーーーい男。本当なら思っちゃいけないけど、映画だし、お前なんかもっと酷い目にあって死んじまえー!!と心中で思ってしまう。上手いんだな、監督が。色々な物を背負っているジャンゴがジャクソンへの復讐を誓う。これに熱狂しない一般の庶民が居るんですか?
やばい、マカロニウエスタンの魅力にハマってしまった。ちなみにこの映画の魅力が分かるイタリアでは、「Django Unchained / ジャンゴ 繋がれざる者 (2012)」が絶賛大ヒット中だそうです。私が好きな映画評論家で監督でもあるデビット・ウォーカーは言ってたね。セルジオ・コルブッチ(この続・荒野の用心棒の監督でもある)の「ガンマン大連合」やダミアーノ・ダミアーニの「群盗荒野を裂く」を見て政治的な西部劇になれている労働階級のイタリア人には、「ジャンゴ 繋がれざる者」での狂乱的な血祭りの暴力は理解出来ると。そしてウォーカーはさらに「暴力描写やNワードという物に気が散ってしまい、ジャンゴの本当の意味を忘れてしまいがちである。奴隷制度を理解している黒人にとってのリベンジ・ファンタジー映画であり、白人観客にとっての和解する為の謝罪映画でもある。しかしそれ以上に娯楽映画である」と書いてた。私も書いたよね。「ジャンゴ 繋がれざる者」の本当の意味を理解出来る人は少ないって。ただこの「続・荒野の用心棒」を理解出来ない人は居ないと思う。黒人を主役にしただけで、そうなってしまうのさ。奴隷制度の問題は本当に奥が深いの。
「ジャンゴ 繋がれざる者」を2度目に見に行った時にチケット買おうと並んでいたら、堂々と私の目の前に割り込んだ南部の白人の老人が居た。その老人、てっきり「レ・ミゼラブル」でも見に行くのかと思えば「ジャンゴ!」って言っていて、驚きのあまりコケそうになった。意外とそういう奴が見に行くんだ。2度見たけど、黒人の観客は両方共になぜか若いカップルだけだった。後はみーーーんな白人。この辺の黒人は映画あんまり見ないのかな?と思ったけど「A Haunted House / 日本未公開 (2013)」の時には、割りと黒人の観客が多かった。そういえば私が注目している若手コメディアンが「ジャンゴ 繋がれざる者」公開時頃に「お金を払ってフィクションで奴隷がリベンジするのを見るか、それとも白人を実際に引っ叩いて奴隷みたいに逃げるか...」と。黒人の人達はファンタジーじゃなくて、そろそろ本気で償ってもらう事を望んでる証拠かもね。だから奴隷制度に現実味のないイタリアや、あとは日本でもヒットするだろうね。
とやっぱりあっちに話がずれた。でもあの割り込み老人、絶対に分かってないだろうねー。許してもらおうなんて絶対に思ってないよ。絶対に!!
リンクは特に無いですが、Allcinemaさんの解説が熱くて泣きそうになったのでシェア。
(5点満点:2/3/13:DVD鑑賞)