SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて

Buck and the Preacher / ブラック・ライダー (1972) 1092本目

ハリー・ベラフォンテの誕生日に観てみました。シドニー・ポワチエハリー・ベラフォンテのダブル主演のウエスタン。2人共、本当に凄い!としか言いようがない程に凄い。圧倒的。シドニー・ポワチエの初監督作品でもある。この映画を観て、改めて2人は本当に仲が良い!と思ったんだけど、この映画を撮影する前の2年間ほど、会話もない程に喧嘩してたらしいw。1968年にキング牧師が亡くなった時に、その葬式の事でポワチエとベラフォンテは意見が食い違い喧嘩。ベラフォンテはキング牧師の未亡人となったコレッタ・スコット・キングを葬式でずっと傍について慰めていたのでも有名な程、キング牧師とベラフォンテは仲が良かった。本人は否定するだろうけど、ポワチエはベラフォンテとキング牧師の仲の良さに嫉妬していた部分もあるんじゃないかな?女子ぽい思考かもしれないけど、男子にもあるでしょ、少しは??

シドニー・ポワチエポール・ニューマンスティーブ・マックイーンバーブラ・ストライサンドと共に「ファースト・アーティスト」という会社を設立。同じエージェントだったのもあって、そこのエージェントと人達が彼等のクリエイティブな部分を保護する目的と、彼等に映画を作らせたいという理由があって会社を作られた。ベラフォンテに電話も掛けられず意固地になっていたポワチエだったけど、ある日突然ベラフォンテから電話がかかってくる。その電話の内容が「まだ荒削りだけど、いい脚本がある」という内容で、ポワチエはこの映画の脚本を手に入れる。一度は喧嘩したけど、やっぱり親友。すぐに溝は埋まった訳です。でもポワチエはプリーチャーというベラフォンテが演じた役を演じたかったらしい。でも喧嘩してたので、何となく譲ったらしいw。で、2人はジョセフ・サージェントという監督を雇う。後に「A Lesson Before Dying / ジェファーソン/冤罪の死刑囚 (1999) (TV)」等の名作を作る監督。でも、初日からポワチエとベラフォンテは「何か違う」と思い、サージェントを解雇。新しい監督が決まらずに、ベラフォンテが「いつやるか?今でしょ!」的にポワチエに勧めて、ポワチエが指揮を執るようになり、そのまま監督に就任。初監督となった訳です。

ベラフォンテが気に入ったこの物語は、南北戦争後の黒人が描かれている。南北戦争後に奴隷開放宣言にて開放され、そして40エイカーとラバが与えられる筈だった黒人達。しかし彼等がそれらを手にする事はなかった。ならば自分達で開拓していこうと、奴隷が開放されたとは言え差別的な南部から離れようとする。しかし、自分達の土地に入ってくるのを嫌がる白人や、バウンティハンター達から執拗な嫌がらせを受けたり、仕舞いには殺されたりもする。そういう開拓黒人達を無事に新しい土地まで案内するのが、ポワチエ演じるバックだった。そういう事をしているので、バックはもちろん白人から追われている。命辛々逃げたけれど、馬でバレてしまうので、楽しそうに川で水浴びをしていた旅牧師プリーチャーから馬を買おうとするも抵抗され、結局奪っていく。バックの馬を乗っていたプリーチャーは、白人達に間違えて攻撃されるも、牧師らしく饒舌に何とか逃げ切るが、バックの首には500ドルという大金がかかっている事を知り...

音楽はジャズのベニー・カーター。洗練されたジャズが男ぽい西部劇と合うのか?と思ったけれど、物凄く合っている!!かなりヘビーなジャズ。とにかく聴いてくれ!

このカッコいいヘビーな曲に合わせて、馬に乗ったカッコいいポワチエが登場するシーンを想像するだけでも、鳥肌でしょ?

脚本は白人の人が書いたんだけど、ネイティブアメリカンに向かって言うポワチエの台詞に「俺たちの最大の敵は白人であなた達と同じなんだ!」というのもあったりする。サージェント監督を解雇した理由に、「彼ならエンターテイメントテイストの高い面白い典型的なアメリカンウエスタン作品になったと思う。でも我々の映画はそれ以上のものを求めていたんだ」と語っている。更に「今まで映画では描かれなかった黒人とネイティブアメリカンの関係、そしてルイジアナから死を恐れずに、奴隷主人もいない約束された土地へと開拓していく黒人の姿を描きたかった」とも語っている。彼等黒人達の歴史も、この映画と共に威厳と共に生き残ったのです。

ちなみにこのバックとプリーチャーは、ジャンゴよりも前に白人への復讐を果たしている。しかもポワチエは白人女性を平手打ちまでしている!!マニアのタランティーノなので、この映画も観ている筈なのに、なんでこのタイトルが出てこないんだろう??と不思議に思う。ちなみにこの映画では「Nワード」はもちろんゼロ。ちなみになぜか「Django Unchained / ジャンゴ 繋がれざる者 (2012)」は黒人観客から拒絶されているようだけど、この作品では黒人観客は喜びで狂喜したという。「ジャンゴ」も好きだけど、威厳と共に生き残るのは、やっぱりこの作品かなー。

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(5点満点:3/1/13:DVDにて鑑賞)