今年のまとめ的な感じから、完全に「Django Unchained / ジャンゴ 繋がれざる者 (2012)」に焦点を合わせて、これからは黒人ウェスタンをおさらいしようかと思ってます。で、とりあえずは家にある作品から片っ端から見ようかと。まあ「ジャンゴ 繋がれざる者」は、イタリアの「続・荒野の用心棒(1966)」という作品を元にしているので、本来ならそっちを見なくちゃいけないんですが、手元にないので後日また。しかもマイケル・ジェイ・ホワイトせんせーが「Black Dynamite / 日本未公開 (2009)」の続編は、ウェスタンのジャンルになると語っているので、それもあるしね!!
という訳でこの作品を。この映画の主役ボブを演じたハーブ・ジェフリーズは、黒人として唯一ウェスタン俳優として知られている人物。1937−1939年で「Harlem on the Prairie / 日本未公開 (1937)」、「Two-Gun Man from Harlem / 日本未公開 (1938)」、「The Bronze Buckaroo / 日本未公開 (1939)」、「Harlem Rides the Range / 日本未公開 (1939)」という4本のウェスタン映画の主役を務めている。しかもただのウェスタン俳優ではなくて、歌うカーボーイとしても有名。ジェフリーズは映画から離れた40年代に、なんとあのデューク・エリントンのバンドでボーカルを務めた事もある人物。凄いよね。しかもこの映画はオールブラックキャストで、しかもオールスターと言ってもいい程。ジェフリーズの他に、スペンサー・ウィリアムスやフローノイ・ミラーが出演。監督こそは白人だけど、スペンサー・ウィリアムスとフローノイ・ミラーが脚本を書いている。当時じゃ珍しい。スペンサー・ウィリアムスは黒人から悪評高い「アモス・アンド・アンディ」という、黒人のステレオタイプをバカにした番組でアンディを演じていた有名な人だけど、実際には「The Blood of Jesus / 日本未公開 (1941)」という当時の黒人とクリスチャンを描いた作品を作ったりしていた人。当時、黒人が監督を任されるというのは希少。そんな彼がなんで「アモス・アンド・アンディ」なんていう番組に出るようになったのか、私には謎。まあ多分というか絶対、当時の黒人俳優にはそういう作品と役しかなかったんだよね。まあ今もそんなに変わらなくて、ちょっと良くなった位なものだけどね。
この映画は主役が黒人じゃなくても良いくらい、普通のウェスタン作品。たまたま町に流れついた男達が、事件に絡まれて、ヒロインと恋に落ち、そして事件も解決。でもこの映画の裏側にあるストーリーは黒人ならではである。この映画が撮影された牧場は、ロサンジェルスでビジネスマンをしていた黒人のN.B.マーレイという人物が所有していた牧場。「N.B. Murray's Dude Ranch」として知られており、あのレナ・ホーンやジョー・ルイスにハティ・マクダニエルズが休暇で利用していた黒人用の牧場。まあ黒人用と言っても、黒人が白人のを使う事は許されなかったけれど、白人が黒人のを使う事は平気なので、クラーク・ゲーブルも訪れた事があるらしい。ちなみに1937年から1939年の間の4本の作品のうち、3本は同じ監督。制作会社はみんなバラバラ。でも大体みんな同じような顔ぶれ。この時代にハーブ・ジェフリーズが出た「Rhythm Rodeo / 日本未公開 (1938)」という作品は主役じゃないぽい。その作品はしかも黒人のジョージ・ランドルが監督・脚本という作品。3本はこの牧場で撮影されている。ちなみにロサンジェルスの外れのカリフォルニアにある。なので、タイトルは「ハーレム」となっているけど、ぜーーーーーんぜんハーレム関係ない!ハーブ・ジェフリーズもハーレム出身じゃないし。まあ「ハーレム」つけておけば、黒人映画だと分かるでしょ!的なノリかもしれない。
ちなみにこの映画は権利切れしているので、無料でダウンロードして見れるよ。
というか、凄いのはハーブ・ジェフリーズは現在99歳!96歳位まで、普通に舞台に立っていたらしいよ。感激しちゃうわ。
(3.25点/5点満点中:Unknown, 12/20/12:DVDにて鑑賞)