Kinyarwanda / キニアルワンダ (2011) 1024本目
今やインディペンデンス系映画祭の最高峰とも言えるのが、ロバート・レッドフォードのサンダンス映画祭。そこで観客賞に輝いた作品。でもこの映画を世界で一番最初に認めたのが日本。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2011で公開され、最優秀作品賞を受賞。いやー、日本の配給会社さん達が、アフリカの映画やアメリカのブラックムービーを悉く「売れない」と避けてらっしゃるのはその配給数で十分に感じております。面白くなくたって、デンゼルが主演なら公開はされる!その状況には悲しく、そして切なく思う。確かにデンゼルは素敵だ。でもたまにはつまんない映画にだって出るよ。でも日本には芸術を分別出来る人たちがまだまだ沢山残っているようですね。良かった!売りにだけ走るから、悪循環で見る目を養えない。もっと映画人を増やせるような配給をお願いしたいものです。
こちらもルワンダを描いた作品。「Hotel Rwanda / ホテル・ルワンダ (2004)」が興行的・批評的にも成功を収めて以来、ルワンダを描いた作品は多産され続けてきた。その映画の多くは、ルワンダ虐殺の残虐性が描かれ、そこで生まれたヒーロー達が偶像化された。しかしこの映画にはルワンダ虐殺で傷ついた人達や立ち直った人達の心が描かれている。ルワンダ虐殺をハイパーリンク方式で描いているのも面白い。あの虐殺によって多くの人と人の運命が交差していくのだから。主人公は、ティーンの男女、モスリムとその家族、そしてキリスト教説教師、そして嫉妬するフツ。冒頭はティーンの男女が遠くで銃声が聞こえる中、家に集まりみんなでパーティをしている。銃声を聞きたくないから、自然と音楽のボリュームは上げられ、彼等は大きな声で歌う。と、何てことないシーンなのだけど、これが後でこの若者達はフツとツチの両方がいる事が分かる。若者にとっては、フツとツチなんて関係ない...と思ったりもするのだけど、同じ年頃の男の子の中にはツチに物凄く今までの恨みを持っている子も居たりする。まあその辺が、このルワンダ虐殺の根の深い部分。
と、冒頭から何気ないシーンが多い。しかも最初は人物像を追うのがちょっと大変。でも最後は見事にそれが全て結びつく。ハイパーリンク方式を上手く使ったんです。最後は上手すぎで、ウォーと唸ってしまいました。タイトルが「ルワンダ語」っていうだけあって、台詞の使い方も上手い。国連の車が日本の中古車だったりするのが、日本人としては胸熱。まあ一番胸熱なのは、キリストの説教師を助けるモスリムの指導者達。映画だから必要以上に美しく描かれているのは分かっているけれど、今の中東の反アメリカのデモを見ていると、どうしてこうなってしまったの?としか思えない。たかが見知らぬ映画監督が作った映画一本で??アメリカを代表するようなスピルバーグとかルーカスとかが作った映画なら分かるけど... それに信仰心で人殺しちゃうなんて到底理解出来ないわ。だったらさ、この映画一本で、世界が幸せになってもいいじゃんか!と、能天気な映画好きの私は思う。というか願う。まあアメリカもアメリカで、この大事な時期に民主党だろうが共和党だろうが、一つになれないなんてダメだね。言葉が通じ合うからこそ、謝罪すれば許す事だって出来たのだ。
と思わせるような一体感のある映画。ルワンダはルワンダ語で一つになった。アメリカ版のDVDにも使われたイシュメル少年が印象的。小さいけれど、今日の写真もそのイシュメル君。
(5点満点:8/15/12:DVDにて鑑賞)