4月の雨の度に思い出す残虐で非道な虐殺『ルワンダ 流血の4月』
ルワンダ虐殺の描いた『Hotel Rwanda / ホテル・ルワンダ (2004)』は、アカデミー賞などにもノミネートされ注目を集めた作品。こちらも作品も同じくルワンダ虐殺を描いている。有料チャンネルHBOが制作し放映権を獲得していたが、その後に公共放送局PBSが放送するという異例の事が起きた作品。『ホテル・ルワンダ』が2004年の作品で、こちらが2005年なので、『ホテル・ルワンダ』の話題で作られた作品に思われてしまうかもしれないけれど(私の杞憂ならばいいけれど)、たまたま公開が先だったのが『ホテル・ルワンダ』で、恐らくほぼ同時期にプロジェクトが進んでいたと思われる。『ホテル・ルワンダ』は2004年12月からアメリカで公開、こちらは2005年2月にベルリン映画祭でプレミア上映されている。『ホテル・ルワンダ』の話題でその後に作られた...とは日程上考えにくい。
1994年4月。4月に入るとルワンダは雨期を迎える。そんな頃、フツ出身のルワンダ大統領ジュベナール・ハビャリマナとフツ出身のブルンジ大統領シプリアン・ンタリャミラの2人を乗せた旅客機が撃墜された。それをきっかけにツチ族とフツの穏健派が虐殺されるようになった。RTLMというラジオ局が煽動し、一般人がマチューテなどを手にして虐殺に加わったのだ。そのラジオ局で働いているオノレ(オリス・アーヒューロ)、その兄弟オーガスティン(イドリス・エルバ)は軍人であった。オーガスティンの妻はツチ族。2人の子供たちもツチの血を引くものとして、見つかれば殺される事になる。RTLMで働いているオノレは、フツが通行止めをしている所でも顔パスで通行できるので、オーガスティンはオノレに頼んで妻と子供たちを避難させてほしいと頼む。オノレは家族の為と引き受けるが...
ハイチ出身の名監督ラウル・ペック監督作品。『Lumumba / ルムンバの叫び (2000)』などで政治的な作品にも定評のある監督だ。その監督が挑んだルワンダ虐殺。2人の兄弟を通じて描いているのが上手い所だ。同じフツで家族でありながら、この事で引き裂かれてしまう。そしてこの家族だけで、加害者・被害者・その間で苦悩する者を描いている。これでもか!という位に視覚で恐怖感を感じさせる所、そしてじっくりと観客の心に訴えかける所、そんな2つがこの映画には存在していて、物凄く心が揺さぶられる。
毎年雨期の4月になるとルワンダの人々はこれ思い出すかと思うと辛い。そしてオーガスティンの「いつか(フツとかツチでなく)ルワンダ人となればいい」というセリフが忘れられず、一生心に残りそうだ。ルワンダの全ての人がそう思う日が来る事を願わずにはいられない。
Sometimes in April / ルワンダ 流血の4月 (2005) (TV)(4.75点:1595本目)