"30 for 30" No Crossover: The Trial of Allen Iverson / 日本未公開 (2010)
Cast >> Allen Iverson
Director >> Steve James
Producer >> Arunima Dhar
Genre >> Documentary
Country >> USA
総合ポイント >> 4.75/5点満点
Contents >> 5 Performance >> N/A Direct >> 5 Music >> 4
No justice
後にNBAのスーパースターとなるアレン・アイバーソンは、ヴァージニア州ハンプトンのべセル高校でフットボールとバスケットボールチームに属し、その両方を州チャンピオンへと導く活躍を見せていた。まだその高校に居た時の17歳の時のバレンタインデーの日に友達とボーリング場にいたアイバーソンは喧嘩に巻き込まれてしまった。白人の若者達と喧嘩になったが、逮捕されたのはアイバーソンをはじめとする黒人ばかりだった。同じハンプトン出身の映画監督スティーブ・ジェームスは、当時の町の様子を振り返る...
スティーブ・ジェームスと言えば、バスケットボールのドキュメンタリーの最高作品「フープ・ドリームス」の監督である。そのジェームスが撮るアイバーソン。ジェームスのドキュメンタリーの面白さは、ジェームス自身がドキュメンタリーの題材に対しての関係性ゆえの心の入れようなんだと思う。今回は自分が生まれ育った町で起きた事件ともいえる題材に迫る。アイバーソンのこの高校生の時に起こした事件のせいで、アイバーソンは素行が悪いという印象だった。普段の態度や服装も品の良さは感じない。私もそこらの表面しかみないオヤジ達と同じだったのだ。ジェームスが追うと別の角度のアイバーソンが見えてくる。彼も被害者だったのだ。マスコミは罪のない女性を殴る悪いアイバーソンを印象付ける。しかしそこには、アイバーソンが才能あった為の陰謀だったのかもしれないと、ジェームスは面白い方向に話を持っていって核心に迫っていた。たとえ白人の若者達が「Nワード」を先に発していたとしても、喧嘩両成敗。黒人側だけが逮捕されているのはどう冷静に考えても不公平である。それによってハンプトンの町が真っ二つに分かれていく。
あれからスーパースターとなり多くの物を手にしたアレン・アイバーソンは当時の事を忘れようと今でも必死だ。最後の彼の涙がそれを物語っている。確かに彼は弱さを持っていて、それに流されてしまったかもしれない。人々の欲望ゆえの陰謀。彼は未だに傷つきもがき苦しんでいる。
(9/1/11:DVDにて鑑賞)