VH1で放送されたドキュメンタリー。RZAとレイクウォンとスヌープ・ドックとトゥー・ショートとソルトン・ペパのペパとかがヒップホップとクラックの関係について語っています。後は本当のドラックディーラーだったロサンジェルスのフリーウェイ・リック・ロス(先日発作で緊急離陸した方ではなくて)とかニューヨークのエイジィー・ファイゾン(「Paid In Full / 日本未公開 (2002)」の元となった人)とかもクラックについて語っている。クラックとコカインと言えば、古くは「New Jack City / ニュー・ジャック・シティ (1991)」そして「American Gangster / アメリカン・ギャングスター (2007)」とかでも描かれていたように、ベイキングソーダ(重曹)を混ぜるのが一般化していた。それを考えだして最初にやりだしたのが、フリーウェイ・リック・ロスだったとは面白い。でもなんでベイキングソーダを混ぜるようになったかというと、クラックは金持ちの白人の為のクスリと言われていたほど高い麻薬だったのです。ベイキングソーダを混ぜる事で量を増やせるようになり、しかも効果が同じほど得られるのです。ストリートスマートとでも言おうか... ストリートスマートにはビジネスマンだけじゃなくて、科学者まで居たという事。
クラックとヒップホップは流行り始めたのが同じ時期と重なり、お互いがリンクしていくようになる。ラッパーの名前にクラックの隠語が多く使用されたり、ラップの詩にもクラックの事を歌ったラップも多い。またクラックが流行り始めた理由としては、レーガン大統領時代の失業率の増加だった。彼等は現実に行く場所を失い、麻薬という幻想に浸った。クラックは恐ろしい勢いで広がっていた。このドキュメンタリーでは「epidemic(異常発生)」という言葉を使っていたのが面白い。
そうなると政治も黙っていない。この前に書いたバスケットボール選手のレン・バイアスの件を機に政府は動きだし、クラックについては他の事件と比べて重罪が言い渡される法律が作られるのです。それによって、クラックなどの麻薬取引で富を得ていた者の多くが、監獄で生活する事になる。
しかしヒップホップの方は勢力を強めていく。彼等は成功した証としてゴールドチェーンをつけ始める。ニューヨークのダッパー・ダンは、偽のグッチやルイ・ヴィトンの生地で派手なレザージャケットから、車の内装まで作っていく。
80年代から90年代初期までの面白かったヒップホップの時代が見事に証言やアイスTの見事なナレーションで蘇っております。ただ...麻薬にはJust say no!ですな。
(4.5点/5点満点中;DVDにて鑑賞)