愛。それには私から「彼」への愛という意味ももちろん含まれているが、断然に「彼」からの愛を感じた。
という事で、8月12日に川崎クラブチッタでのブーツィ・コリンズのライブに行ってきた。盟友バーニー・ウォレルを引き連れての来日。ファンクの神が私が生まれ育った故郷に君臨するのでは、出迎えなければ失礼...と気合入れてチケットも取った。その甲斐あって、割といい席が取れた。席が左に2つずれていれば最高だったけど。
始まった途端に泣きそうになった。
サンダーバード調なアニメになったマザーシップ。それでもう釘付けにされ、あの世界に飛んで行ってしまった。途中にはコーネル・ウエスト氏まで出演していた。周りは思い思いのブーツィのTシャツやパーラメントやファンカデリックのTシャツを着た(中にはあの星型サングラスや光るサングラスも)真面目ファンク野郎達とXXLのブカブカなTシャツやフットボールジャージのヒップホップ系兄ちゃん達が混ざっていた。しかしやっぱり一番お洒落でカッコいいのは「彼」。全身金色のスーツで登場。息子のOuiwey Collinsがトーキョー!と繰り返す中、ブーツィはちゃんとカワサキー!と言ってくれたのも感激した。あの街に生まれ育った事をあんなに誇らしく思った日は無い。チッタには大きな星が天井にくっつている。チッタこそ「彼」の為のハコ。
途中機材トラブルでギター等の音が出なくなる事があったが、さすがの大御所は見事にアカペラで乗り切る。本当にさすがでありました。
さすがに今年に還暦を迎える「彼」は、衣装替えで居なくなる事が多かった。しかし他のメンバーが層厚く盛り上げる。そして「彼」が舞台に上がると、観客のボルテージも上がりっぱなし。パーラメントの曲から新譜の曲からジミー・ヘンドリックスやスライの曲まで。途中、彼は「バーニー、バーニー」と盟友の名を呼んで古くからの友人が居るのがよっぽど嬉しいのか楽しそうに演奏していた。そしてジミヘンのシャツに衣替えしたり、ジェームス・ブラウンのトリビュートビデオを流したりと、「彼」が世話になった人々への感謝を決して忘れる事なかった。この川崎という地ですら。
そして「彼」は「Touch」という曲で、みんなにタッチしたいんだと言い、花道を降りてくる。みんな必死に「彼」を触ろうする。もちろん私もだ。私はとっさにあのファンクが奏でられる「彼」の腕を触った。思っていたよりもガッチリとした随分と男前な腕だった。そして「彼」の胸を飛び込んだ。彼は私を引き寄せ、がっちりと私の頭を彼の脇にいれた。その瞬間に私のピアスは取れたが、近くに居たパーラメントのTシャツを着ていたお兄さんが一緒に探してくれた。愛のある人ばかりである。世の中には握手券をCDに挿入して、CDの売り上げを伸ばすという商法もある中、「彼」は自ら観客の元へやってくる。男だろうが女だろうが関係なく「彼」は腕の中にブーツィジラ達を愛で包み込む。
ただ残念なのが言葉の壁を感じた。「彼」は素晴らしいメッセージを伝え、時にはかなり面白い事を話してくれたのだが、みんなポカーンとしていた。「彼」は日本人のジミーさんという人を呼んで通訳させる。「It's Official, Family approved, One Nation Under a Groove」を観客にもアカペラさせたけど、ただ単に「One Nation Under a Groove」を繰り返しているだけの人もいた。世界が混沌としてきている中「彼」は、「公式だ。ファンクファミリーが承認したんだ。一つのグルーブの下にはたった一つの国家しかないんだ」って言う。
夫は仕事で居なかったので、子供と2人で行きました。子供は人生初のライブが「彼」と、なんとも贅沢。うちの子も随分と楽しんだようで、「最高だった」と言ってました。もうティーンエイジャーなので、少し距離を感じる事も多くなりましたが、この日ばかりはよくしゃべっていた。
全ては「彼」の愛がなせる業。ありがとう、ブーツィ...