A Dry White Season / 白く渇いた季節 (1989) 847本目
さすがユーザン・パルシー!と言った所でしょうか。素晴らしい!の一言に尽きる。まだ南アフリカではアパルトヘイト政策が行われていた頃に出来た作品。元々の原作があって、それはアフリカーナーが書いている。そしてユーザン・パルシーはこの映画をもって、歴史を築いた。先日も書いた通り、アフリカ系由来の女性として初めて大手スタジオとの契約で長編映画を撮る事になった。大手=白人資本である。そしてこの映画制作のきっかけになったであろう成功させた「Cry Freedom / 遠い夜明け (1987)」と同じく、白人の視点から描かれて当然だった。実際にこの映画もドナルド・サザーランドが主役のベンを演じているし、引退していたマーロン・ブランドが出演した事で、それが宣伝に使われ、多くの白人観客が見込まれていた。でもユーザン・パルシーは見事に自分の意見や視点を映画の中に取り入れているのです。
映画は1976年の南アフリカ。ソウェト蜂起に参加したのがジョナサン。ジョナサンの父がゴードン。真面目に働く男で、ジョナサンにはそういう活動には参加して貰いたくなかった。しかしジョナサンは、アフリカーンスの言葉ではなくて、自分達本来のバンツー語で学びたいと、ゴードンに反発。次の日には父が学校に行けという教えを背いて、運動に参加する。運動は平和的な物で、子供達が歌を歌いながら訴えるというものだったが、警察が銃や催涙ガスなどで攻撃してきて、沢山の子供達が亡くなった。ジョナサンは銃砲等からは逃れたが、殺された女の子を助けようとした所で捕まってしまう。ゴードンやママが黒人の活動家スタンリーと共に警察に行くが、記録が無いと言われる。探すが全然手がかりもない。そこでゴードンは務めている学校の先生であるベンに助けて欲しいと依頼する。実はオープニングはそのベンの息子とジョナサンが仲良く遊んでいるシーンから始まり、実はジョナサンはその前にも一回運悪く逮捕されている。その時にもゴードンはベンに助けを依頼している。ベンは快く引き受け、電話を掛けたりする。自分が言えば何とかなると思っていた。しかし敵はもっと強力だったのです。そうこうしている間に、ジョナサンは死んでいた。どこに埋めたのかもすら分からない。納得いかないゴードンが、自分で極秘で色々と調べる事にした。それが気に食わない警察側は今度はゴードンを逮捕して殺してしまう。そういう出来事の数々に、ベンはこの問題へ深くのめり込んでしまうのです。同じアフリカーナからは「お前もアフリカーナになれよ!」と言われたりする。妻や娘も出来れば、今の状態のままで居たいと願っている。でもジョナサンと遊んでいた息子は違った。ベンの唯一の理解者で協力者となるのです。私はそこの部分に心打たれましたね。未来の子供達はちゃんと分かってる!だからこそ未来は明るい。
先に書いたように、この映画の原作はアフリカーナーの作家によって書かれている。原作はより白人がヒロイックで中心だった。しかしユーザン・パルシーは、黒人の登場人物にもこの映画の重要なキャラクターにした。ラストの部分は原作とは違う。ラスト誰がこの結末に決断したのか?それによってパルシーはアフリカ黒人の視点を取り入れる事に成功させた。確かにこの映画は白人が主役でヒロイックではあるけれど、他のそれらとは全く違うのです。上手く作ったなーと感心。未来への展望が含まれているオープニングの2人の子供が遊ぶシーンは眩し過ぎる位に綺麗。
(5点満点:DVDにて鑑賞)