Mugabe and the White African / 日本未公開 (2009) 821本目
アフリカのジンバブエの大統領ロバート・ムガベ。1987年から大統領となり、ジンバブエを独裁している男。2010年に発表された世界最悪の独裁者ランキングでも北朝鮮の金正日に続いて第2位を獲得するという暴君ぶり。先日もジンバブエのコメディ映画が映倫という理由で政府介入が入り、上映を禁止された事を書いた。そのムガベが、ジンバブエに住む白人農夫から訴えられた。ムガベは「ジンバブエはアフリカである。ジンバブエの物はジンバブエ人達に」という考えの下、白人が購入したジンバブエの土地を取り上げる事にしたのだ。その白人農夫マイク・キャンベルはその政策は違法だという事で訴える。ジンバブエの裁判ではもちろん訴えを却下。そこでマイク・キャンベルは南部アフリカ開発共同体に助けを求めて、南アフリカの黒人女性弁護士の力を借りる事になる。その白人農夫マイク・キャンベルの戦いを描いたドキュメンタリー映画である。
マイク・キャンベルは70歳代。そのキャンベルは1974年にジンバブエのマウント・キャメルにある3000エーカーの土地を購入。現在では娘と結婚したベンと共に、500人の労働を抱えている大農園として成功させている。しかしジンバブエ政府は2000年に白人が所有している土地の権利の凍結を発表。すぐに土地から出て行くように発表。他の白人農夫達は、執拗な嫌がらせを受けたりしている。それは政府からというのもあるだろうが、貧しい黒人達はその土地が戻れば自分達も少し分けて貰えるという事から、一部が暴動化しているのもある。マイク・キャンベルの所にも夜に怪しい人物が訪れて、銃で威嚇したりしているし、政府側に居る男が訪れて、彼らを脅迫したりしている。この男の言い分が今のアフリカの独裁の影にある物を見せ付けられる。彼は「もう白人なんて俺達には必要ねえ。白人なんて早く出て行け。今はアジアなんだよ。中国とインドの方がまだフレンドリーだ」とマイクを威嚇する。また、ムガベの選挙での対戦相手が怪我させられている場面もある。そしてマイク・キャンベルの家族ももちろん暴力の犠牲になる。彼らは見張りをつけているが、マイクと妻とベンは誘拐され暴力を受ける。マイクの指すべてが折られていた。大事な裁判にはマイクはベットの上で行く事が出来なかった。その裁判で、マイクは勝利する。マイクは「俺だってジンバブエ人なんだ」と語る。また「何にもしなかったら、勝つ事も出来ない」と語っている。
今まで映画で描かれた差別は、白人が黒人にしてきた残虐な行為ばかりが描かれてきた。今回は、黒人が白人に差別するという事が描かれている。そして今回は決して逆差別ではない。ジンバブエに於ける白人はマイノリティである。力関係で発生する差別についてのドキュメンタリー映画なのだ。この映画はジンバブエを植民地にしていたイギリスで絶賛されている。またイギリスはムガベを執拗に批判しているところもある。もちろんムガベの独裁は褒められた物じゃないし、早く退陣して欲しいと思うけど、このドキュメンタリーは黒人から受けた白人への差別について一方的に描かれ過ぎかな?とも感じる。マイク・キャンベルがそうだとは思わないけれど、元々ジンバブエの土地を南ローデシア時代に白人の独裁者が黒人から土地を取りあげて、白人へ渡し大農園が出来た訳ですから...ね??その辺の歴史関係も描いてくれていたら、なぜに貧しい黒人が政府よりなのかもはっきりと分かるのにと、私は思いました。イギリスの方か世界的には力関係では上ですから... ね??
(4点/5点満点中:DVDにて鑑賞)