ビデオ録画していた作品で、未だDVD化されていない作品をDVDに落とすという作業をしていて、この作品をしている時に、ついついまた見てしまいました。
大好きなポール・ウィンフィールドが主役。ベトナム帰りのグリーンベレーを演じております。監督がこれまた大好きなオシー・デイビス。俳優としても大好きですが、監督・脚本家としても大好き。これを見ると、スパイク・リーが如何に影響を受けたか、良く分るんです。とは言え、ブラックスプロイテーション時代に作られた作品。この作品もモロにブラックスプロイテーション映画でもあります。ポール・ウィンフィールドにオシー・デイビスでブラックスプロイテーションというのは、どう考えても贅沢すぎる。なんで、オシー・デイビスがブラックスプロイテーションなんかをやるんだろう?と考えてみる。選択が無くて、仕方なかったのかなーとも思う。でもその中で、オシー・デイビスは自分の主張や意見をバリバリに入れてくる。だから、ポール・ウィンフィールドも出たのかもしれない。だから一癖も二癖もある、他とは違うブラックスプロイテーション映画に仕上がっているのです。その癖がたまらなくやみつきになります。
ポール・ウィンフィールド演じる元軍人のゴードンが、故郷のハーレムに戻ってみると、そこはドラッグに溺れた人々ばかりで、ピンプや売人が街を賑わしていた。ゴードンの帰りを待つ筈の妻もゴードンが居ない寂しさ故か、ドラッグに溺れ死んでいた。ハーレムの状況に嫌気を感じたゴードンが、元の仲間を集めて自警団を発足。彼らは軍での経験を生かして、ドラッグの売人を追い詰めていく。まず、設定が良い。ゴードンはたんなる軍人じゃなくて、エリートのグリーンベレー所属。ベトナムというドロドロした戦争から無事に帰ってきて、自身はドラッグにも溺れてない男。仲間にも、図書館に入り浸って勉強ばかりしているビーが居る。彼はラングストン・ヒューズよりもポール・ローレンス・ダンバーが好き。そういう台詞なんて、この映画には絶対に不要なのに、デイビスはわざと入れているように感じた。そのビーが、自警団を作った時には、グリーンベレーの制服じゃなくて、黒人部隊の昔のバッファローソルジャー風の制服を着ていたりする。ゴードンがハーレムの町を歩いていると「Free H Rap Brown(H・ラップ・ブラウンを解放せよ)」とか書いてある所をわざわざ通る。そういう細かい所に、オシー・デイビスイズムが見られるのが面白い。これは、完璧にスパイク・リーが手本にしている部分。最後も「Sweet Sweetback's Baadasssss Song / スウィート・スウィートバック (1971)」と同じで、「The Man」には屈しなかった!!
とは言え、今だったらオシー・デイビスも暴力や爆発を使って、こういう風に描く事は無かったかもねーとも思います。時代がそうさせたんだと思う。でも、時代がこのような映画を作らせたとしても、オシー・デイビスは自分を映画に残している。時代がどうでも自分の映画が作れるって事。そういう所がこの映画のカッコ良さですね。ブラックスプロイテーションだからという訳でなく!
ちなみに、私のサイトでポスターがない作品にデフォルトで使っている画像は、この映画のパロディ画像。気づいてました??
ちなみに、ちなみに...「Boomerang / ブーメラン (1992)」や「007/美しき獲物たち」等で強烈な印象を残しているグレース・ジョーンズ嬢のデビュー作。パイオツ出して頑張ってるのですよ!
(5点満点:ビデオにて鑑賞)