Naked Acts / 日本未公開 (1996) 634本目
もうすっかり秋ですね。今日なんて暖かいですが、風の吹き方だけはすっかり冬ですわ。秋なんで芸術ですよ。だからですかね?アート系の映画を立て続けに2本見ました。しかも2作共に女性の性がテーマ。私もいちよう女なので、女性の裸体には全く興味無いんですが、この週末この2作のお陰で?うんざりする程見てしまいました。いちよう書いておきますが、溜まってないです。更に言えば、下ネタは嫌いじゃないですが、特に好きという訳でもなく...どちらかと言うと内容の濃いものとかそればかりだとウンザリして引いてるタイプです。この映画の主人公もアメリカにおける黒人女性の性差別の歴史や個人的な歴史を背負い、下ネタとか大嫌いな女性なんです。というか、自分が裸になる事を拒みます。それは女性同士であってもなんです。
この映画の面白さは、その主人公の女性の母親が70年代のブラックスプロイテーション映画でバリバリにヒロインを演じていたという設定。と言えば、パム・グリアだってそうだったように、映画の中で裸体になる事が当たり前だった。それは主役の人気女優であっても...というか、脱ぐからこそ人気女優になれた。今でも余り変わらないかもしれないですね。ハリ・ベリーが「Monster's Ball / チョコレート (2001)」でオスカーを取ったのは、脱いだからこそと言う人もいます(私はそれだけじゃないとも信じているが)。しかもこの映画はそれだけじゃない。主人公のお婆ちゃんまでもが、映画女優だったという設定。あの主人公のお婆ちゃん世代だと、ジョセフィン・ベイカーかな?と思っていたら、お婆ちゃんの家には「ジョセフィン」というポスターが貼ってありました。名女優のジョセフィン・ベイカーも映画の中で脱いでましたものね。スクリーンに於ける黒人女優の歴史がすぐに解る設定。しかも、この主人公が家族の運命を辿るべく、まさに女優となろうとしているんですよ。そして知り合いの男性が監督する映画に出演。この映画と同じくアート系のインディペンデンスという設定も面白いですね。プロデューサーに小言を言われ喧嘩をしながら作っていきます。監督と言えども雇われているのでそんな権限もなく... 映画製作のドキュメンタリーのような不思議な感覚。
そして写真家として登場するのが、本物の有名写真家のレネー・コックス。スパイク・リーの「School Daze / スクール・デイズ (1988)」とかのポスターもやってます。ここでは映画の写真を担当する女性で、主人公の心を開く重要な役割として登場してきます。彼女自身の写真も、自身がヌードの被写体としてアートとして有名なんです。そのレネー・コックス演じる女性は脱がされる事と自分が自ら選択して脱ぐ意味は違うと説いているように感じました。
この映画も余り有名な俳優は出演しておりません。主人公の女優はレジーナ・キングやメイシー・グレイを思わせる個性的でありながら、何となくニア・ロングを思わせるチャーミングさもあったりして不思議な魅力の女優でした。また監督もこの作品一作品のみの女流監督。ブログもやっているようで中々面白い。本人がこの映画について語っています。スパイク・リーの女性描写については、私と同じ意見ぽいですわ。
黒人女性への性に対するステレオタイプ、そして同じ人種内でもあるステレオタイプ等を描写していて興味深い秋にはぴったりな小粒ですがアートな映画かな。
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(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)