私、音楽は何でも聞きます。ソウル&ヒップホップ好きにしては、割りとロックも精通しているつもり。でもロックでも最近のよりは、割りとブルースから派生したような人達が好き。ローリングストーンズの日本初公演は兄と行った。兄とは凄い仲いい訳じゃないので、お陰で初めて仲いい兄弟みたいな思い出が出来ました。コンサート後には、当時人気だったなんでんかんでんのラーメンに連れて行ってもらった。仲は普通なんですが、洋楽とプロレスとあしたのジョーに関しては、兄からの影響をモロに受けています。兄のお陰で洋楽聞くのが早かったですし。ちなみにこの前書いたスケーターの元彼とはU2のライブに行った事もある。聞かない音楽はカントリーとブルーグラスとかそんな感じでしょうか?細かく分けたら、アンビエントとかケルティックとかは良く分かりません。あ、何でもじゃなかったですね。
そんな感じですがブルースにはまるのは遅かったです。若い頃にはイマイチ分かってませんでしたし。音楽関係の仕事をしていたのですが、先輩でギタープレイヤーでもある男性達がロバート・ジョンソンの話をしていたのを小耳に挟んだ。確か1996年の「The Complete Recordings」の再発の時だったと思う。子供扱いされていた私は(確かに子供だったし)、「おめーにはまだ早えーよ」と言われて会話に入れてもらえなかった。でもその前に「Crossroads / クロスロード (1986)」とか見ているので、ロバート・ジョンソンの名前は知っていた。クロスロード伝説も映画から何となく。それからロバート・ジョンソン=大人の音楽でした。でもその肝心のロバート・ジョンソンは27歳という若さでこの世を去っています。私はとっくのとうに彼の享年を越してしまった。大人の音楽だと信じていた彼の曲は20代そこそこのジョンソンが歌っていたんですよね。でも彼の歌には年齢とかそういうものを超越した深い味がある。彼の色々な伝説もあって、本当は存在していなかったんじゃないか?とまで思わせる。このドキュメンタリーは、その彼の足跡を追っていきます。普通ならあっさりとそのミステリアスな物も崩れてしまうでしょう。でもロバート・ジョンソンは最後の最後までミステリアス。調べれば調べる程にミステリアスになっていく。存在そのものが伝説であり、ブルースそのものだったと思います。墓さえ分かれば、今だったら掘り起こして検死とか出来ると思う。そのミステリアスな死とか子孫とか全部分かる。でも、ロバート・ジョンソンはそれすら許さなかった。やっぱり伝説なんですよね。
ロバート・ジョンソンの曲の中でもお気に入りなのが「Love In Vain」です。そのタイトルも切ないけれど感じいいですよね。その歌詞に出てくるウィリー・メイ。私の中ではAunjanue Ellis (アンジャンヌ・エリス)みたいな人を勝手に想像していました。今回は時を経てウィリー・メイ本人がロバート・ジョンソンの思い出を語ってます。想像しすぎでした。金歯の光るオバサマでした。いや昔はエリスみたいだったかもしれない。でもその彼女がジョンソンとの思い出を思い出しながら「愛してたわよ」と言ってくれます。ジョンソンのプレイボーイ度が分かるんですよね。
またロバート・ジョンソンを追う事でデルタブルースが見えてきます。バイブルベルト(南部のキリスト地帯)で悪魔の音楽と言われたブルースを歌い続けた人々。「Leadbelly / 日本未公開 (1976)」でもそうでしたが、南部で活躍していたミュージシャン達の過酷さも垣間見られます。ロバート・ジョンソンが色々回っていた頃って、そういえばちょうど映画監督のオスカー・ミショーもフィルムかついで各地を回っていた頃と同じなんですよね。またこの1920年代から1930年代と言えば、ハーレムではコットンクラブが全盛期だった頃。同じ頃にブルースミュージシャンはギターかついでコツコツと旅をしながら小さなジュークジョイントやホームパーティを回っていたんですよね。ニューヨークの華やかな文化の裏には彼等の姿がある。でも彼等の才能はロックという子孫を残したりして功績を残していく。しかも海を渡ってキース・リチャーズやエリック・クラプトンという人々にDNAを産み落としていく。
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(4.5点/5点満点中:DVDにて鑑賞)