Get on Up / 日本未公開 (2014) 1263本目
たったったった...Get Up, GET ON UP!ジェームス・ブラウン、ヒズ・バッド・セルフ、ショービズ界一の働き者、ミスター・ダイナマイト、セックス・マシーン、ミスター・プリーズ・プリーズ、プリーズ、ソウル・ブラザー・ナンバー・ワン、キング・オブ・ファンク、そしてゴッドファーザー・オブ・ソウル... どんなニックネームが付けられようとも、彼はジェームス・ブラウンである。そしてそれ故にミスター俺様でもある。そんなジェームス・ブラウンの自伝映画。
1988年、ジョージア州オーガスタ(JBの故郷)にある自分の会社に車で向かうジェームス・ブラウン(チャドウィック・ボーズマン)。そこでトイレを使用した女性が気に食わず、車に乗せてあったショットガンを取り出して会社に戻った。ミーティングで集まっていた人々に向かって話し始めるジェームス・ブラウン(以下JB)。天井に向かって発砲した。その音を聞いてパトカーのサイレンが聞こえてきた。「じゃあ逃げなきゃ」と車に戻り逃げるが、JBにはそれまでの様々なことが思い出されていた...
もうさ、こういう自伝映画だと必ず言われるのが、「○○を演じるなんて無理!」とか「予告見たけど全然違うじゃん!」とか「しょせん物まね映画」とか...まあ見る前から文句言うのが普通よね。そんな”あまのじゃく”またの名を”へそ曲がり”に思いっきりぶつけたい映画がこれ!ちなみに前者2つはうちの夫が言っていた事。落ち着いて取りあえず見てください!という事です。自伝映画の良さって、その題材となった偉大な人々の功績を改めて振り返る事が出来て、しかも一緒に擬似体験出来る事だよね。残念ながらJBの伝説のアポロコンサートは幾ら頑張っても、もう見ることは出来ない。でも映画ならそれが再現出来る。そりゃ本人のパフォの方がいいのは決まってるよ。でもJBはライブアルバムを沢山残してくれたので、彼の声で再現出来るという素晴らしさ。しかも演じる俳優によっては、JBの情熱や魂を呼び起こす事すら出来る!しかもJBはあそこまでトップに上り詰めたので、普通の人には無いそれなりの自信...人はエゴと言うけれど...それがあったからこそ、トップに君臨出来たのだ。何ていったって、ミスター俺様!ですから!!そういうのを全て包み込んだチャドウィック・ボーズマンのJBはJBそのものでしたよ。って、よーく思い出してください!たった1年前の『42 / 42〜世界を変えた男〜 (2013)』では、逆ミスター俺様であるとても我慢に我慢を重ねたジャッキー・ロビンソンを演じていたんですからね!いやー、オスカーあるでしょう!!
そしてそんなミスター俺様を支えたのが、ボビー・バード。まだ20代なりたての頃に、仕事場で先輩にJBについて仕事中に1時間半位教えてもらってたんですよ(いい会社!)。その時にJBでこれだけは聴け!というアルバムは?とか色々質問してね。その時に私はその先輩の男性に「ちょっと待って!このバックボーカルも凄くない?」という話をしたのを思い出しましたねー。20歳そこそこの姉ちゃんがJBのバックボーカルも凄い事に気づいた私も偉くないですか?この映画ではボビー・バードとの愛憎劇を大きく描いている。そのせいか、ボビー・バードとの出会いのシーンは盛ってありましたけど... 私は自伝本版の方が好きかな。お母さんとお父さんの話もかなり盛られてますね。お父さんは映画では悪く描かれ過ぎで、お母さんは良く描かれ過ぎ!リトル・リチャードの所も盛られてますねー。と、かなり盛られております。「Say It Loud – I'm Black and I'm Proud」は、子供がほぼ黒人の子たちでしたね。自伝本によると、集まったのは白人とアジア系ばかりだった...というオチが好きなので、それはがっかりかなー。私だったら違うエピソードを取るかなーとか、私ならここはこう描くかなーというのは若干あった。あと、実際にはボビー・バードが長身なんだけど、映画ではJBの方が若干高いのが残念かな?細かいんですけど。でもボビー・バードを演じたネルサン・エリスも素晴らしかった!なんていうか、チャドウィック・ボーズマンは『42』でアンドレ・ホランドを引き立てたように、この映画でもネルサン・エリスを引き立てますわ。逆にメイシオ・パーカーはコメディ俳優のクレイグ・ロビンソンが演じたので、どうもコミックリリーフになりがちでしたね。
時系列がいったり来たりで結構ややっこしいかも?とは思う。一様字幕で何年の何処って出てくるけど、中々面倒。深南部の昔の話に戻った時にロバート・ジョンソンが掛かってた。お母さんがイケナイ女になっている所でね。でも確かお父さんがブルース好きで、ロバート・ジョンソンも好きなんだよね。JBはブルース嫌いらしいけど...
でもジェームス・ブラウン的には、一番世話してもらって「パップ(父さん)」と呼んでいたベン・バートをダン・エイクロイドが演じた事は嬉しいんじゃないかなー。『ブルース・ブラザーズ』の事は感謝しているみたいだからね。逆に後でダン・エイクロイドがダン・エイクロイドとして出るんじゃないか?とも期待したんだけど... そしてこの映画のプレミアをアポロ劇場で開催したのも嬉しい筈!
という事で、前に映画秘宝さんで書かせて頂いたJBが『Ski Party』という映画に出ている映像とか、『The T.A.M.I. Show / ビート・パレード (1964)』のパフォ、下で書いたボストンでのライブ映像とかはYoutubeで見て勉強しておくと面白いと思いますよー。
『Ski Party』のJBとフェイマス・フレイムス
『TAMI Show』
「ボストン・ガーデン1968」
私はチャドウィック・ボーズマンがJBの魂を呼び起こしてくれた事が本当に嬉しいよ。劇場で一緒に見ていたオジサン(子沢山)が滅茶苦茶好きみたいで、いちいち合いの手入れていた。台詞にも「その通り!」とか「あーは!」とか、音楽にも「続けろ、JB!!」とか... ブーツィー・コリンズは更に好きなのか、ブーツィー役は台詞もないのに、そのエピソードだけで「いえーい!」って拍手していた。なんかJBファンの魂を熱くさせるんですわ。JB=魂。何ていったって「ゴッドファーザー・オブ・ソウル」なんですから!
(4.25点/5点満点中:8/1/14:劇場にて鑑賞)