次の日に『Get on Up / ジェームス・ブラウン〜最高の魂(ソウル)を持つ男 (2014)』の公開が控えていたので見ましたー。多分、この出来事は自伝映画でも大きく取り上げられるだろうなーとは思っていたので。思っていた程ではありませんが、案の定ちゃんと取り上げられておりました!という事で見ておいて正解でしたー。しかもあの大事な場面の台詞とか覚えていたので、うわーぉ!そのままじゃんかーと思いました。ジェームス・ブラウンの台詞は一緒だけど、事実はちょっと違うけどね。
タイトルの「ジェームス・ブラウンがボストンを救った夜」とは、1968年4月5日の夜を指す。マサチューセッツ州ボストンのガーデンでその日にコンサートを控えていたのだ。しかし、その前日の4月4日に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が暗殺されてしまう。キング牧師は公民権運動を率いた人物で、黒人の人々にとっての希望だった。そのキング牧師が暗殺された事は、黒人の人々にとっての悪夢でもあったのだ。その4日の夜は全米の各地で暴動が起きた。特に大暴動になったのが、NYやワシントンDCやシカゴやボストンという大都市であった。ボストンにはロクスベリーという黒人移住地区がある(ここから有名になったのがボビー・ブラウンも居たあのニュー・エディションである!)。しかもボストンという町はキング牧師にとって特別な町でもあった。公民権運動を開始する前の学生時代にはボストンで大学に通い、そして後の伴侶となるコレッタにあったのもボストンだったのだ。そのボストンの市長になったばかりのケビン・ホワイトは、ジェームス・ブラウン(以下JB)にコンサートの中止を呼びかけた。しかしJBは違った。コンサートに来てくれた人々だけでも暴動を止めるように自分の口から語り掛けたいと思っていたのだ。市長はボストンで黒人初の市会議員となったトム・アトキンスにほぼ丸投げする。市としては、コンサート会場からロクスベリーまでには距離があるので、コンサート会場があるダウンタウンに黒人が集まる事は危険だと判断したのだ。出来ればロクスベリー内で治めたい。しかしアトキンスは市長に「コンサートが中止になったら余計に暴動になる」と説得した。その間にこのコンサートをTV中継するという案も出た。そうすれば家でコンサートを見る事が出来て、暴動も出来ないというのだ。その話はJBが知らない所で進められていた。市はチケットの販売を中止し、払い戻しまで始める。怒ったJBは払い戻し分を市で負担するように詰め寄った。しかもJBは契約上、その日はTVに出演出来ない事になっていた。しかしボストン市がチケットの損害をJBに補償する事で、JB側もTV出演OKになるように進められた。しかし、始まる予定だった時間を大幅に過ぎてしまった。突然決まった事なので、テクニカルな問題もあった。そしてやっと始まったコンサート。ステージにはいつものバンドメンバーだけでなく、警察官の姿もあるという異様な状況であった。ショーは無事に進み、終わりが近づく頃、興奮した観客がステージに上がり始めてしまう。その観客を乱暴に突き放す警官達。こんな場面をTV中継出来ないと思ったJBは、演奏をストップさせ、警官に向かって「待て!」と叫ぶ。「こいつらは一緒に踊りたいだけなんだ」と警官を宥めた。それでも興奮する観客は次々とステージに上がってくる。そうするとJBは「待て、待つんだ!俺達はみんな黒人だろ?俺達の見栄えが悪くなってしまう。そんな事はしたくない筈だ」と少年達を宥め、彼等はステージを降りて行った。そして演奏を続け、ステージは無事に終わった。コンサートが平和的に終了したというだけではなかった。予想されていたボストンでの暴動はなかったのだった!他の大都市ではその夜も火災や暴動が続いていたのに...
という事で、もちろんJBの前にも政治的な活動をしていたアーティストは多いですが、こういう絶大的なパワーを持ったのはJBが最初と言ってもいいでしょう!自伝映画の中では3-4分位でアッサリ終わってしまいますが...自伝映画の方では犬いたけど、このドキュメンタリーでは犬は居なかったように見えますわ。この映画ではフレッド・ウェズリーとかアル・シャープトンとかアンドリュー・ヤングとかコーネル・ウエストなど等が当時を語っております!
(4.5点/5点満点中:7/31/14:DVDにて鑑賞)