テキサス産ブルースを奏でる『Blues』
どういう経緯だったかは忘れてしまったけれど、一時期ブルース音楽に物凄くハマってしまい、それしか聞いていない時期が私にはあった。特にロバート・ジョンソンとかサン・ハウスとかのデルタ・ブルースが大好きだった。その近辺の南部に住んでいるので、いつかはロバート・ジョンソンのクロスロードなどのブルースの旅にとても行きたい・見たい気持ちはあるけれど、何時間も運転するのは私には無理!という訳で、日本なら観光地まで色んな交通手段があるけれど、アメリカだと自分で運転するのが主だから軽く行けなくて残念っす。南部とか特に交通機関無いし。という訳で、今回の映画はその名もタイトルが『ブルース』!ちゃんとブルース音楽も関係していたりします。
テキサス州のヒューストン。そこで強盗が遭った。ヘッド(スティーヴ・コーネル)とチャイル(タイ・ホッジス)がコンビニ強盗し、ヒューストン市警マーティン(ピーター・ゲイル)が追っていた。2人が駆け込んだのが開店前のナイト・クラブ「ブルース」だった。そこではマイクチェックを行うラッパーのリル・ポーキー(ラーマン・ジャマール)、コメディアン兼音響のチャールズ(マーカス・フォルマー)、バーテンのリース(ロベルト・ウービナ)、店員のタラ(アリ・グレイナー)、ドアマンのグリフ(ライアン・ピアーズ・ウィリアムス)、みんなに親しみ込めて父さんと呼ばれているオーナー(ヘンリー・G・サンダース)、そしてその娘のディ(シドニー・タミア・ポワチエ)が居た。ヘッドとチャイルは彼らと警官のマーティンを人質に取り立てこもったが...
映画の宣伝文句は「現代の『狼たちの午後』」。しかしそんな感じは全く受けない。主役チャイルの演技力不足だと思う。観客を巻き込みストックホルム症候群にはしてくれなかった。私は終始「この2人悪いなー」としか思えなかった。デンゼル・ワシントンの『John Q / ジョンQ -最後の決断- (2002)』の時には、「アメリカの医療め!なんとかならないのか!!」と思いっきりデンゼル寄りに思えたのに。主役よりも、オーナー助けてあげてぇええ!と思ってしまいました。私が大好きなヘンリー・G・サンダースが演じたせいかな?凛として堂々としていてアメリカの頑固おやじ!って感じでカッコ良かったので余計。オーナーの娘の部分はあっさりしていてビックリした!演じたのは、名前でもバレているようにあの名優シドニー・ポワチエの愛娘。
店名が「ブルース」というだけでなく、オーナーが小さい頃に「ブルース」で演奏していたのがマディ・ウォーターズで、少年の頃のオーナーは隣で踊っていたという設定。そしてこの映画は時系列が行ったり来たりするので、その時系列の暗転的に使われているのがブルース歌詞の字幕。という訳で、ガッツリとブルースが使われている。
撮影はロサンジェルスみたいですが、舞台はヒューストン。警察官の制服とかパトカーがヒューストン。テキサスにもブルースは根付いているし、最近ではゲイリー・クラーク・ジュニアなんていうスターをテキサスは輩出している。監督のブランドン・ソニエがヒューストン出身。彼はこのようなインディ映画を何作か撮って、今現在はジェームス・スペイダーの人気TVシリーズ『ブラックリスト』の脚本家として活躍中。そしてヒューストンと言えば、最近起きた洪水ですね。早く復旧して欲しいと心から願っております。#HoustonStrong
Blues / 日本未公開 (2008)(3.5点:1578本目)