地震びっくりしたー。それは後で。実は、この感想をサイトの方にアップしていたら、グラグラって。この映画の祟りじゃないんですかね??ちょっと怖かったです。
ま、この映画は沢山のイワクつき。監督はビル・ガンという黒人の監督で俳優や脚本なんかも書いていた人なんですが、この映画はドライブイン用にとズタズタに切られ再構成されタイトルを変えられた作品なんです。監督の思い通りに完成されなかったんですね。しかも時代がブラックスプロイテーションとセックスプロイテーションの全盛期という事で、それだけの目的で再構成されたらしいんです。きっと製作側は、監督が黒人という事でブラックスプロイテーションみたいに出来上がるだろうと期待していたのに、思ったよりも出来ちゃってる...みたいな?思惑と違うぞみたいな??リズムも遅いぞみたいな??確かに沢山エロいシーンはありますが、私が見た監督の思い通りの完全版ではそんなにイヤらしく感じませんでした。かなり激しいシーンですが、綺麗だなーってかんじなんですよ。撮影技師がジェームス・E・ヒントンという黒人の撮影技師の先駆者のような方。この完全版のDVDは、そのヒントンに捧げられていて「初の黒人撮影技師」と書かれていたんですが、本当かどうかは定かじゃないです。メルヴィン・ヴァン・ピープルスの「Don't Play Us Cheap / 日本未公開 (1973)」も撮影技師としてではじゃないんですが、参加していたりします。同時期の作品なんですが、メルヴィン・ヴァン・ピープルス的な挑戦的で前衛的な匂いもプンプンするんですよ。オープニングとかカッコいい。作り方とかも一筋縄ではいかない感じでした。余計な物が足されているような感じがするのですが、それはかなり見る物にとって苦痛となるかもしれないんですが、私はそういうのも好きです。余計な物が後々には余計な物じゃないって分かるんですわ。フランス語を話す主人公や子供も、その時は余計な物に感じるかもしれないし、良く分からない仮面を被った白人の紳士とか、最初に出てくる牧師とか... でもこれらが後からきいてくるんですよね。物語の伏線にはなってないんだけど、後でなるほどねーと思ったりします。
でも流れは遅いです。それは苦痛になる方も居るかもしれない。でもこの独特のリズムとか、私はたまらなく好きだったりします。黒人でバンパイアと言えば「Blacula / 吸血鬼ブラキュラ (1972)」が一番有名ですが、それが正統派だったら、こちらはアンダーグランドな個性派ですね。何度も書きますが、一筋縄ではいかないです。ホラーらしい気持ち悪さや居心地の悪さを感じるんですが、私は逆に命の活力みたいのを感じてしまったんです。これはキリストとバンパイアの関係みたいのもあるのかもしれないですね。陰と陽というか、全ては紙一重じゃないか?と。一般的にはバンパイアに血を吸われる被害者は、その時に快楽を感じるとされてますよね?キリストとタブーというか。でもこの映画のバンパイアは、バンパイアという言葉が一度も劇中では言われませんし、日中に外も歩けるし牙もありません。バンパイアを演じたのが、ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデット」にて黒人として始めてホラー映画の主役を演じたデュアン・ジョーンズです。セクシーなんですわ。
音の使い方も絶妙。足音から普通に映画音楽まで中々です。音楽を担当し俳優としてもこの映画に出演しているのが、サム・ウェイモン。ニーナ・シモンの兄である。牧師役で登場するのだけど、中々熱のこもった演技を見せてくれてます。
ホラー映画は基本的に、私の心臓がチキンな為苦手なんですが、こういうのなら幾らでも見られます。ホラーらしいホラーでありながら、それを逸脱している不思議なホラー映画です。色んなタブーに果敢にチャレンジしている感じがしましたし、監督の伝えたい事が沢山詰まってますね。最後のヒロインの笑顔が中々不気味。
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(5点満点:DVDにて貧血気味に鑑賞)