去年の暮れにひっそりの限定公開されていたらしいのですが、本当??知りませんでした。先週やっとDVD化。
アラバマ州ハーモニーという小さな街が舞台のブルースミュージシャンとジューク・ジョイント経営者のドラマ。第2次世界大戦後の事です。だから台詞にも日本が出てくるのですが、残念ながら敵国だったので、日本人が聞くと悲しくなります。主人公の若いギタープレイヤーが戦争で日本に滞在していたという設定で、その彼が「日本人はこんなに小さかった」と10歳児位の背の高さを手で示すんです。確かに私は小さいが、阿部ちゃん(寛)はデカイぞ!と心の中で叫ぶ...
ま、そんな事もありましたが... 「The Brother from Another Planet / ブラザー・フロム・アナザー・プラネット (1984)」等で御なじみのインディペンデンス界の巨匠ジョン・セイルズが監督です。といっても、ブラザ・フロム...位しか私は知らないですけど。物語は確かに面白い!ブルースが好きなのもあるのかもしれないけど、アラバマっていう設定が良かったのもしれないですね。ミシシッピやアーカンソー(この地名は映画の中でも何回も出てくる)程のブルースのメッカでもないので、大スター達が来てくれる訳でもなく... でもジュークジョイントは存在するし、ちゃんとローカルなミュージシャンも居るっていう感じで。撮影もアラバマの町で行ったそうで、中々その雰囲気が出ていていい。
ただちょっと長いかな??途中で出てくるショーン・パトリック・トーマスとかケル・ミッチェルの部分は無くても良かったかも??詰め込み過ぎた感じもした。
でも、本物のブルースミュージシャンが多数参加していて、その中でもケヴ・モの役が面白かったと思う。何となく「The Brother from Another Planet / ブラザー・フロム・アナザー・プラネット (1984)」を思わせる。不思議な役。それがブルースの雰囲気にピッタリ。ダニー・グローバー演じる経営者はブルースのピアノマンだったりする。けれど、なぜかギタープレイヤーを毛嫌いしている。その辺も映画の中で徐々に説明されていくのだけど、ギター対ピアノっていうのが、舞台となった街ハーモニーとかけてあったり、もう一つのテーマでもある過去対未来っていうのも、やはりハーモニーにかけてあるのかな?と思いました。
私が一番痺れたシーンは、牢獄の中で若者ソニーが歌う「ミッドナイト・スペシャル」。この前(↓参照)、レッドベリーの映画見たばかりなので、グッと来ました。後は、その若者ソニーが最後にギター弾くシーンかな。何で人々がエレクトリックギターに夢中になっていったか、分かる様。
バーサ・メエという役をルース・ブラウンが演じる予定でした。でも撮影前に他界してしまって残念ながら実現ならず。シンガーであるメーブル・ジョンがその代わり。これが中々の好演!!出番は少しなのですが、存在感があって素晴らしい。素晴らしいと言えば、リサ・ゲイ・ハミルトンも好演。ダニー・グローバーのかすれた感じが、役のイメージそのもの。
しかし今じゃ、こんな事したら速攻インターネットでジュークジョイントの経営者達は吊るし上げされちゃうんだろうな... 今じゃ、残念ながら成立しない話。今は失った物も多いね。
(4.75点/5点満点中;DVDにて鑑賞)